2006 5/12

ジグソーパズル

 そんなの見ればわかるだろ、と突っ込むのはちょっと待っていただきたい。ドラクエ・FFに代表される日本式の万人向けRPGにおいておおむね望ましいとされている難易度の変化は、

序盤 中盤 終盤
易しい 難しい 易しい

 というものだった。たぶん今もそうだろう。

 最初から難しいとプレイヤーは引き込まれる前に投げ出してしまう。だから序盤は必要ならばガイドラインやチュートリアルもつけて難易度的にはとても簡単にしてすらすらと進ませなければならない。

 中盤以降はプレイヤーはすでにある程度ゲームに引き込まれているし、それまでのプレイを無駄にするのが惜しいという意識が働くので、少々詰まっても投げることはなくなる。

 だから頭を使うミニゲーム・レベル上げの必要な強敵・重苦しいイベントなどを設定しても大丈夫になる。

 終盤は伝説の武器を取ったり究極の呪文を覚えたり能力がインフレして再び簡単になる。中盤の苦労をバネにカタルシスを得るときだ。

 怒濤のラストイベントでテンションが上がっていて早くエンディングの余韻に浸りたいぜー! と思っているのにラスボス戦に負けてまたやり直しになっては興醒めだ。

 ジグソーパズルをゲームをして見た場合、この基本に実によく合致している。

 通常ジグソーパズルを始めるときは、まず端のピースをそれ以外のピースから分けて外枠を作るところから始め、続いて全体図の中で特徴的な図や色になっている場所を作るだろう。このあたりまでがガイドラインやチュートリアルの存在する序盤に当たる。

 簡単にはめられるピースがなくなり徐々に行き詰まってくるが、外枠と一部の部品だけ完成して拡がっている状態のジグソーパズルを壊して片付けるわけにもいかないので完成を目指して頑張るしかない。これが中盤に当たる。

 そして終盤になって残りピースが少なくなると可能性が急に少なくなって怒濤のクライマックスが訪れる。うおおおお! つかむピースつかむピースどれもピタリとはまる! 俺って天才!? もうすぐ完成だぜええええ! やったあああああああ!! というわけだ。

 見事なまでにRPGで望ましいとされている難度の分布に沿っているわけだ。だからなんだというわけではないが、このことはジグソーパズルがいつまでも廃れずに生き残っている理由と無関係とは思えないのである。

by 木戸孝紀 tags:


“ジグソーパズルのゲームデザイン”へのコメント 6

  1. 1. フェア

    >うおおおお! つかむピースつか>むピースどれもピタリとはまる!> 俺って天才!? もうすぐ完成>だぜええええ! やったあああああああ!! というわけだ。
    ……。オヤシロさまって、結構ハイテンションな人?

  2. 2. UIENGINEだ

     いつも楽しく読ませてもらっています。長文コメント失礼します。
     こと人間の行動面、その動機付けの点から考察。(前職での専門分野)
     序盤はゲームをすること自体を動機付ける仕組が取り入れられます。人間をゲームにはまらせるには、最初に可能な限り短い間隔でドキドキやワクワクを発生させなければなりません。RPGではありませんがスーパマリオの1-1が最高です。
     中盤が難しいのは私は少し違う解釈しますが、これは飲んだときにでも。
     最後が簡単なのは次回作を買わせるためでしょう。終盤が簡単なことでプレイヤーは万能感を得、「俺は無敵」と勘違いします。そのためのインフレであり、無理矢理エンディングへと引っ張ります。終盤が簡単である必要は無いと思いますが、簡単にするのは次回作購入への動機付けかと思いますがどうでしょうか?

  3. 3. 木戸孝紀

    >フェアさん
    私は個人的にはジグソーパズルはそんなに好きではありませんのでそんなにハイテンションにはなりませええええええええええん! ただの言葉のあやですううううう!!
    >UIENGINEださん
    う?ん、次回作を買わせるためというのは考えたこと無かったですね。エンディングから次回作までというのは間がありすぎでは。次回作が出なくてもラスボスが度外れて強くてラストイベント何度もやり直すようなことはよくないと思いますし。まあ結局その作品が面白ければ次回作が売れるのだから同じかも知れませんが。

  4. 4. 日日紀

    こんにちは。
    終盤の難易度について、映画「アマデウス」で、
    "終盤を盛り上げないと観客は拍手をしてくれない"
    って台詞を思い出しました。
    ラストでの行き詰まりを想像すると、
    「もうストーリー的にはボスを倒すだけ」
    なので未知の要素は少なく、
    パズルで言えば、「後一個はめれば終わるのに何故かはまらない!なんでじゃ!」という状態で、
    全体の完成図は既に見えているので今まで以上に頑張るには値しないものの、
    "クリアできなかったゲーム"という「不快」な感情で記憶に残ってしまい
    ユーザー側のゲーム自体の評価を下げてしまうことになるのではないかと。
    であれば、終盤は「盛り上がり、かつ易しい」がベターかなという気がするのです。

  5. 5. 木戸孝紀

    「アマデウス」も大好きですけどそんな台詞ありましたっけ。覚えてない……(笑)。終盤で詰まると悪い理由はそれもありそうですね。

  6. 6. 日日紀

    サリエリの台詞だったと思いますが、細かいニュアンスは違うかも?です。
    その後過剰にクライマックスを盛り上げたサリエリのオペラと、絶賛する皇帝のシーンに続いたと記憶しています。
    まあ、この手法は凡庸な者の視点ってことで、後世に残る名作になるかどうかは別問題というところでしょうけども(笑)

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