書評在庫一掃セール2010年5月版

(本文とは無関係)

 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。

 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。

『「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ』★

 ブルース・シューム著。ゲージ理論とか真面目に解説している一般書って貴重なのではないかと。エミー・ネーターは確かに知っとくと通っぽい感じの名前なので憶えておくといいかも。

『地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール』★★★★

 ジェフリー・サックス著。原題”Common Wealth: Economics for a Crowded Planet”。まあ常識的に非常にいい内容。

『完全なる証明』★

 マーシャ・ガッセン著。ポアンカレ予想よりもグリゴリー・ペレルマンに焦点を当てた本。特にソ連の数学事情の部分はあまり知らなかったので面白かった。

『進化とゲーム理論―闘争の論理』★★

 J・メイナード・スミス著。古い本だけど古びてはいない。『囚人のジレンマ』を読んでもうちょっと詳しく勉強したいという人向け。

『合理的な愚か者―経済学=倫理学的探究』★

 アマルティア・セン著。やっとどういう分野の人なのかわかった。やや専門的なので初めての人にはおすすめしない。近い分野で入りやすいのは『選挙のパラドクス』あたりか。

『量子が変える情報の宇宙』★★★★★

 ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー著。これはよい。一般向け啓蒙書としてここまで完成度の高いのは久しぶりに見る。一応情報理論が中心ではあるが、実際に扱う範囲は科学・数学のかなり幅広い分野に及ぶ。敷居も低めなのでどんな人にもおすすめ。

『彼女の「正しい」名前とは何か―第三世界フェミニズムの思想』★★★

 岡真理著。女性器切除の件でリンクだけ載せた覚えがあるが、他の文脈で出てくる予定があるのでちょっと先回りしてここで一回おすすめしとく。特にいいと思っているのが、P200-215の「蟹の虚ろなまなざし」についての部分。

『新装版 日本語の作文技術』★★

 本多勝一著。確かに、こういう作文「技術」を学校でやった記憶はまったくない。やった方がいいんじゃないだろうか。中高生ぐらいの時に読みたかった。

『心の発生と進化―チンパンジー、赤ちゃん、ヒト』★★

 アン・プレマック、デイヴィッド・プレマック著。タイトルの通りの内容。冒頭などにある人類学の情報が若干古くなりかけているような気がするが、メインの内容はよい。

『自由は進化する』★★★

 ダニエル・デネット著。『スウィート・ドリームズ』の件で読んでいたのを思い出した。非常に微妙な内容で全面賛成とも言えないのでまだ言及していないのだが、一読の価値は確実にあるので先に紹介だけしておく。巻末にある山形浩生の訳者解説から読み始めることを強く勧める。

おまけ

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