大木幸介『毒物雑学事典―ヘビ毒から発ガン物質まで』

毒物雑学事典―ヘビ毒から発ガン物質まで (ブルーバックス (B‐569))

 これを見て思い出した本(上の記事はネタっぽいがこの本は真面目な内容である)。個人的にブルーバックスの中で最も好きな本の一冊でもある。

 見開き2ページが1項目の読みやすいコラム形式で古今東西ありとあらゆる毒物が扱われている。項目を適当に拾い上げてみただけでもこれだけある。

 ヘビ・サソリ・ハチ・カエル・イソギンチャクなどの動物毒。昆虫・貝の毒。「河豚は食いたし命は惜しし」で有名なフグ毒テトロドトキシン。トリカブト・毒キノコ、ソクラテスが仰いだ毒ニンジン、ストリキニーネ、KGBが暗殺に使ったリシン。モルヒネ・ヘロイン・コカイン・LSD・カフェイン・アルコール・ニコチンといった麻薬。破傷風菌・ボツリヌス菌・炭疽菌・コレラ菌が作る毒素。発癌物質アフラトキシン・ベンツピレン。催奇性のDES・サリドマイド。鉛・ヒ素・クロム、水俣病の有機水銀、イタイイタイ病のカドミウム等の重金属毒。安定性故の毒性アスベスト。各種放射性物質。有機化合物のPCB・ベンゾール・トルエン。あまりに有名な青酸カリ。不完全燃焼の一酸化炭素。最強の化学兵器神経ガス、サリン・タブン・ソマン・VX。そしてあのダイオキシン。

 見ているだけでも体調が悪くなりそうなラインナップであるが、各項目につけられているウノ・カマキリ氏のコミカルな挿絵がうまく“毒”(そのまんまだ・笑)を中和する役割を果たしていて楽しく読める。

 しかも、楽しいと言ってもどれ1つとしてただの興味本位な取り上げ方ではなく、科学的・社会的両面から非常に有用な雑学と思想が盛り込まれている。科学ニュースリテラシーの向上という観点からも是非ともお薦めしたい。

 ちなみに1984年初版発行となっているので科学データが古くなっているものもありそうだが、今読み返しても特に気になるほどではない。

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