星新一『ある戦い』

星新一 ショートショート1001

 太陽系外からの突然の侵略軍に敗北寸前の地球。敵ミサイルの攻撃になすすべもない司令官と部下たちの部屋に、長く地面に埋まっていたとおぼしき古びた金属筒入りの古文書が飛び込んできた。

「……勝つか負けるかの場合には、体当たりの精神以外に、勝利への道はない。爆弾もろとも敵にぶつかる。一機をもって一艦を葬るのである……」

 司令官は直ちに命令を下し、争って志願した部下たちは見事形勢を逆転させ侵略軍を全滅させた。

「それにしても、なんで、あんな簡単な方法に気がつかなかったのだろう。もっと早く知りさえしていれば、損害が少なくてすんだのに」
「それは仕方ないよ。どの図書館にも、あの戦法を記した本が残っていなかったのだから。あるいは、過去のある時期に思想統制が行われ、全て抹消されたのかもしれない」
「いずれにせよ。あのタイムカプセルが出現してくれて助かった。おかげで、貴重なる地球の文明を、守り抜くことができたのだから。どんな祖先が、あの文章を書いたのだろうか。今では知りようがないが、きっと、思想統制に反抗した、自由主義者だったのだろうな」
 勝利をおさめたとはいうものの、地上の破壊も凄まじかった。まず、方々に倒れている戦友たちを収容しなければならない。これは、あまり楽な仕事ではないのだ。油まみれになってもげている首や手足を拾い、腹からこぼれている歯車、ネジ、電線、それに細かな電子部品などを集めて回らなければならないのだから。

 を見て思い出した話。2ちゃんすんなとは言わんけど星新一ぐらい目を通してからにしようぜ、と。ああそれにしても返す返すも見事な二段落ちよ。

おまけ

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