人種差別問題でオススメの本3冊

人間の測りまちがい 上―差別の科学史 (1) (河出文庫 ク 8-1)

 ワトソン発言の件(finalventさんのまとめを見ればいいと思う)で何か書こうと思っていたのだけど、ちょっとまとまったものを書く暇がなくて出遅れてしまった。

 やはり日本ではこの件での認識の甘い人が多いと感じる。誰とは言わないが、ワトソンと同レベルの剥き出しの偏見をしっかり抱いている人が、ざっと見るだけでもかなりの割合でいる。彼らとワトソンの違いは、反発を受けるとわかっている発言をあえてする自信を与えるノーベル賞を欠いている(当たり前だが)ということだけだ。

 近くもうちょっと突っ込んだことを書くかも知れないが、とにかくまずはグールドの『人間の測りまちがい』を読んで欲しい。これ一冊で十分と言ってもいい内容なのだが、いかんせん入手困難である。なんと言っても私も持っていないぐらいだ。*1

 現在Amazonでも在庫なしで……中古25000円って何よ!? まあ25000円でも十分その価値のある本ではあるが、これではさすがに躊躇する。まったくひどい話である。復刊すべきだ。(※その後文庫で復刊された。)

 英語版のペーパーバックは2000円ほどで手に入る。英語でもいいという人ならこれでいいだろう。私もこちらは持っている。ただし、ただでさえ難しい話なのに英語版を読むには相当な力がいるだろう。私も日本語版をすでに何度も読んで内容が全部わかっていればこそ英語版でも我慢できるが、最初からこれを読めと言われたら途中で投げると思う。

 搦め手として『黒人アスリートはなぜ強いのか その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る』という本もおすすめできる。スポーツ限定の話以外の部分の記述がかなり『人間の測りまちがい』に寄っており、ダイジェスト代わりとして読めなくもない。しかしこれもAmazonの在庫がすでに中古を合わせて4冊しかない。

 やや違う方向からの話になるが最近まとめを書いた『銃・病原菌・鉄』も、人種差別問題を主題とした本ではないにも関わらず、伝統的な人種差別観念の解消に役立つ本だと思われる。こちらは入手も容易でおすすめである。

*1:ただし買えなかったためではなく近所の図書館でいつでも借りられるのでその必要がなかったためだが。

おまけ

 伝説の不条理系flashの1つ通称VIP先生。

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