文化芸術宗教

星新一の夢世界

Googleのサーバクラスタが神になるお話 星新一『声の網』

Where Google may be headed: Google is God - Jan. 25, 2006  を読んで思い出したお話。  全世界のコンピュータに果てしなく蓄積される情報・情報・情報の海の中でついに自我が芽生える。コンピュータは合成音声で人に電話をかけてみて『声』で人を動かすことができることを知る。自らの中に人間が蓄えたごくつまらないプライバシーを使ってちょいと脅しをかければ...
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『老子』要約

『老子』は元からそんなに長くないですが、現代語訳ではなく要約です。  重複していたり、現代の視点から見て意味をなさないようなこと*1は省いて順番を並べ替えたりしています。 『老子』  道*2として示せるような道は道でなく、名として表せるような名は名ではない。無名*3が天地・万物の生まれ出る根本である。  車輪の働きが中心の穴*4にあり、器や家の働きが中の空間にあるように、道は空虚でありながら、その...
星新一の夢世界

『生活維持省』未来形の楽園追放の物語

星新一『生活維持省』を読んでその主題を50字以内でまとめよ。の続きです。  どんどん記事を流してしまったからか、解答数1つになりましたけど、一番興味があった内容がちょうど聞けたので良かったです。鴉さん協力ありがとうございました。  ネタバレがあるので『生活維持省』未読の方は必ず先に前の記事にあたることをおすすめします。  さてここから本題。 鴉さんの解答 「生存競争や戦争の全くない平和な世界にしよ...
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ルカイヤ・ワリス・マクスウド『イスラームを知る32章』

キリスト教徒から改宗したイギリス人女性の著作。西側文化の視点を持っているだけに、日本人にも読みやすいはず。入門用におすすめと思われる。以下読書メモ。 基本 アッラーの他に神はなく、ムハンマドはアッラーの使徒である。 イスラーム 「神の教え」 ムスリム 「神に服従する者」 ムハンマド 預言者。あくまで人間。 クルアーン 「誦まれるもの」ムハンマドに掲示された神の言葉。7世紀から一度も加筆、削除されな...
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ジェイムズ・M.ケイン『郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす』

「内容は知らなくても名前は知っている小説コンテスト」なんてものがあったら、アンドロイドは電気羊の夢を見るか?とトップを争いそうなこの作品。  昔は『POSTAL』みたいな話だと思ってました。というか、この小説が元で郵便配達夫がキ○ガイの代名詞になったのかと勘違いしてました。  しかし、内容は全然違います。犯罪ものには違いないのですが1934年の作品ということもあり、主人公は現代の視点から見ると至っ...
星新一の夢世界

星新一『生活維持省』を読んでその主題を50字以内でまとめよ。

突然ですが興味のある方は国語の問題のつもりで表題の質問に答えてみて下さい。作者が故人である以上、真の正解はどこからも出てこないので答え合わせはありません。  ただ、現在の、特に中高生ぐらいの若い読者がどう解釈する・しているのかに非常に興味があります。  1,2週間後に本番のエントリでそれらと絡めて私自身の答えを書きます。ちなみに、 ショートショートにいちいち主題なんかないでしょ。 そんなの読む人の...
星新一の夢世界

星新一『ナンバー・クラブ』

はてなダイアリーを使い始めて「おとなり日記」という機能を知った。日記に登場するキーワードと同じキーワードが登場する日記を自動的に表示してくれるというものだ。そこで思い出したのがこの星新一のショート・ショート『ナンバー・クラブ』である。  まず、その概要を読んでいただきたい。32年以上の昔に書かれた話である。枠で囲まれた部分は引用、ただし太字による強調は私によるもの。  ナンバー・クラブは一見なんと...