2014 4/6

『スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選』★

 グレッグ・イーガン他著。ほぼイーガンの目的。まあまあ面白かった。

『刑事司法とジェンダー』★

 牧野雅子著。確かApeman氏経由。教科書的だけどいい。

『異端の統計学 ベイズ』★

 シャロン・バーチュ・マグレイン著。面白い。

『クライシス・キャラバン―紛争地における人道援助の真実』★

 リンダ・ポルマン著。愉快な話ではないけども。

『ドラゴン桜』★★★

 三田紀房著。予想より面白かった。実はちゃんとした内容に独特の絵。分野は違うが『ナニワ金融道』を連想させるものがある。

『オルドビス紀・シルル紀の生物』★

 土屋健著、群馬県立自然史博物館監修。どうしても前巻の方が面白く感じてしまうが、こちらもいい。

『ナチスのキッチン』★

 藤原辰史著。感想は山形浩生にほぼ同じ。『ナチス・ドイツの有機農業』はとても良かったのだが。

『魍魎の揺りかご』★

 三部けい著。『僕だけがいない街』から作者つながりで。絵で書くB級ハリウッド映画。セプテントリオン+バイオハザードな感じ。本当にいろんな意味でプロフェッショナリズムを感じるわー。

『ビッグデータの正体 情報の産業革命が世界のすべてを変える』★★★★

 ビクター・マイヤー=ショーンベルガー著、ケネス・クキエ著。IT業界の人間だと全く新しい知見はないと思うが、それでもまとまり具合が素晴らしい。原題”BIG DATA – A Revolution That Will Transform How We Live, Work, and Think”(ビッグデータ – 我々がどう生き、働き、考えるかを変える革命)。邦題はいまひとつ。

『明日の記憶』★

 荻原浩著。渡辺謙の映画がすごく良かったので。本も悪くないけど映画の方が良さそう。

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2014 1/4

『そして日本経済が世界の希望になる』★

 ポール・クルーグマン著。アベノミクスに関するインタビュー本。密度は薄いので元々クルーグマンとリフレ政策に興味がある人だけどうぞ。

『決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景』★

 山内進著。面白い。

『選択の科学』★

 シーナ・アイエンガー著。すでに他のルートで知っていた話も多いが面白い。

『食品偽装の歴史』★

 ビー・ウィルソン著。流行りなので。何にでも歴史はあるのだな。そして、現代はなんだかんだ言って恵まれているのだな。

『ヤバい統計学』★★★

 カイザー・ファング著。原題”NUMBERS RULE YOUR WORLD”(『数が(あなたの)世界を支配する』)。普通に良い数字・統計リテラシーもの。邦題は酷い。ただの便乗。

『食べられないために―― 逃げる虫、だます虫、戦う虫』★

 ギルバート・ウォルドバウアー著。面白い。内容は例によってshorebird先生にお任せ。

『亡びゆく言語を話す最後の人々』★★★

 K.デイヴィッド ハリソン著。読んでて愉快な話ではないが重要。

『子どもの頃の思い出は本物か: 記憶に裏切られるとき』★★★★

 カール・サバー著。『抑圧された記憶の神話』とかなり重複するけど、やっぱり怖面白い。

『人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生』★★★★

 ノルベルト・ヘーリング著。原題”Economics 2.0″。邦題だとインセンティブの話中心に聞こえるがそうではなく、経済全般の優れた啓蒙書。

『卍とハーケンクロイツ―卍に隠された十字架と聖徳の光』★★★★★

 中垣顕實著。素晴らしい。卍を一緒くたに禁止するのがある種西欧中心主義的傲慢だというぐらいは当然認識していたが、ドイツ語ハーケンクロイツ(鉤十字)の直訳ではなくSwastikaを用いていること自体が、クロス(十字架)の要素を隠す欺瞞ではないかとの指摘は目鱗。

『大富豪のお金の教え』★★

 パン・ヒョンチョル著。ありがちな駄本のような邦題が残念。原題は”The Disciplines of the Rich for their Kids”(『(その)子供たちのための金持ちの規律』)。ビル・ゲイツは親の代から只者じゃなかったのね。

『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』★★★★★

 ウィリアム.C・デメント著。科学トリビア集のようなタイトルになっているが、違う。睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害の決定版的な本だ。いびきや昼間の眠気などに心当たりのある人はもちろん、そうでない人も是非。

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2012 10/7

聖別された肉体―オカルト人種論とナチズム (ロサ・ミスティカ叢書)

 読んだのはだいぶ前だが『アイアン・スカイ』で思い出した。

 内容は副題通りで、ここでは詳しくは説明しないけどかなりおすすめ。

 あとがきの

 本書の前提を成すのは、公認文化の背後に見え隠れする広義の意味でのオカルティズムの理解を欠いては、その文化の本質には到達できないという認識である。

 という部分は深い。

 自分の書いているガイア教シリーズにも通じるものがある。この本は直接には使用する予定はないけど。

おまけ

 アーリアン学説→サンスクリット語

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2012 10/6

 「月からナチスが攻めてくる!」ってだけで、なんかSFで不謹慎でおバカと、私の守備範囲に重なってる感じだったので見た。

 思ったよりずっとよくできている。普通に面白かった。予算に困ってた(らしい)割にはそれほど安っぽく見えなかったし。

 ただ不謹慎や下品に関しては一歩踏み込みが足りない気がしたし、逆に例のネットネタの取り入れなどはさすがに勇み足でちょっと浮いてた気がするかな。

 そういえば字幕監修に町山智浩がクレジットされていた。だから何だというわけではないが。

参考リンク

おまけ

 なんとなく。

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2010 4/6

健康帝国ナチス

 と合わせて“いまここにいるナチス”三部作と私が勝手に命名しておすすめしている本の中の一冊。全体の趣旨がよくわかるように序文から抜粋。

 本書はファシズムについての本である。と同時に、科学についての本でもある。おそらく我々はどちらに関してもかなりの知識があり、また恐怖の写真の数々を見ている。

(中略)

 しかし、ダッハウ〔強制収容所のあった所〕の囚人が有機栽培で育てた花からハチミツを作っていたこと、ナチスの健康促進派が世界最大規模の反タバコ運動をおこなったこと、などはおそらくほとんど知られていないのではないか。世界の先端を行くナチスのガン撲滅運動により、アスベスト(石綿)、タバコ、発ガン性の農薬や食品着色料の禁止まで、広範な規制がおこなわれたことをどれだけの人が知っているか?

(中略)

 私はこの本で違った意味のショックと嫌悪感を感じていただきたいのである。(中略)ナチスの医学はことによると今日「先進的」ないし社会意識が高いと見なされうるものであり、しかもそれがナチスのイデオロギーの延長上にあるというのもまた不愉快なことなのである。ナチス・ドイツの栄養学者たちは防腐剤や石油を原料とした着色料を使わない食品の重要性を強調していた。ナチス・ドイツの保健活動家たちは、ビタミンと繊維が豊富な全粒食品を強力に推奨した。党員の中には環境保護活動家も、菜食主義者も多かった。絶滅危惧種を保護し、動物の福祉を守ろうという意識も高まっていた。ナチスの医師たちは医薬品やX線の使いすぎを懸念し、劣悪な職場環境に対する警告をおこない、医師は患者に対し正直に情報を与えるべきだと主張していた。もっとも、「人種的に不適な」あるいは無価値な相手に対してはこれは適用されないのだったが。

(中略)

 ナチスのタバコ撲滅キャンペーンを、あるいはガン征圧のための国民健康運動を、我々はどう考えるべきなのだろうか? アスベストの害やX線・ラジウム被曝への警告を、食品の安全性を確保し食品の虚偽広告を排する運動を、どう理解すればいいのか?

(中略)

 ナチス・ドイツの科学を歴史的に扱うということになると、まがりなりにも科学が滅びなかったのは不屈の知性の証しである、という話になりがちだ。しかし私はむしろ、次のように問いかけたいのである。ファシズムのもとでも元気に栄える科学とはいったい何なのか? 少なくともある種の科学を強力に支援したドイツ・ファシズムとはどういうものだったのか? 歴史のこうした一面がこれまでまったく顧みられることがなかったのはなぜか?

(中略)

 こうした視点から見ると第三帝国の「善い科学」がイデオロギーに染まらない英雄的行為ではなく、まさにヘルベルト・メルテンが「無責任な純粋さ」と言ってのけた、その精神状態をやすやすと受け入れた結果と見えてくるのである。

(中略)

 ナチスの指導者たちがタバコに反対していた、ナチスの公衆衛生担当者たちがアスベストの発ガン作用を警戒していた、ということを知るとき、歴史の見方は変わるのだろうか? 変わる、と私は思う。我々がふつう考えている以上にナチズムというのは込みいったもので、まことしやかな、そして妙に魅力的な側面すらもっているのである。「我々」と「奴ら」とを隔てる壁はそれほど高くないのである。

(中略)

 歴史家の仕事のひとつは、一見脈絡のないところから一定のパターンを見つけだすことである。雑多なものがより大きな真実を指し示していることがある。だから私がこの本でとくに扱いたいのはナチスの恐怖ではなく(中略)、むしろふつうはファシズムと関連づけて考えられることのない、たとえば飲食物、化学物質・放射性物質、工場の衛生管理、アルコール・薬物嗜好の排除といった面である。ファシズムの知られざる一面、現代の嫌煙運動、食品・飲料水の安全キャンペーン、運動および予防医学の振興へとつながる一面である。

 ナチズムそのものを私はある種の実験、排他的な健康ユートピアを実現するための壮大な実験として扱うことになる。このユートピア構想は、ファシズムのよく知られた集団殺戮の側面と無縁ではない。ドイツの工場の空気と水からアスベストと鉛を除去しようというのと、ドイツ国家からユダヤ人を一掃しようというのは同じ発想だ。ナチス・イデオロギーは国家の環境浄化と人種浄化を結びつけた。

(中略)

 歴史や社会哲学の専門家はこれまで、ファシズムの悪の面を資本主義のせいだ、全体主義のせいだ、軍国主義、反ユダヤ主義、「権威的な人格」のせいだと言って片づけようとしてきた。そのすべては核心的なものであるけれど、それですべてが説明できるわけではない。(中略)この時代の残虐な犯罪と、公衆衛生の分野における(今は顧みられることもない)先駆的業績との、謎のギャップをつなぐ橋となるのがこの健康ユートピア願望なのではないかと思うのである。

(中略)

 こうした事実に驚くのはかまわない。が、だからといって今日自分か何を食べ、どう働くかを変えることはできないだろう。あるいは、それも変えるべきなのか? じつは、私がこの本を書いたひとつの理由は、その答えを得るためである。ことによると、必要なのは、かつて科学と道徳を結びつけていた、そして今ではもうすり切れそうになっている絆をあっさりと切断してしまうことなのかもしれないのだが、よくわからない。平生私は、科学に価値判断はないとか、あってはならないと主張するタイプの人間ではないのだが、それでもなお、ナチスがかつてガン研究のパイオニアであったのならば、それはなぜか、そのことがどういう意味をもっているのかを知るべきだと考えている。

関連リンク

関連図書

おまけ

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2009 12/6

『イングロリアス・バスターズ』映画大作戦! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝)

 正直クエンティン・タランティーノはそんなに好きではなかった。嫌いだったと言っても過言ではない。それでもこれはやられた。ハマりすぎ。

 ちょうど山口貴由の『シグルイ』を初めて読んだときとか、岩明均の『ヒストリエ』を初めて読んだときのような、後から考えると最初からこれしかなかったように思えてしまうハマりぐあい。

 タランティーノと言えば何だ? マンガチックな演出だ。そして、ナチというのは、そもそもとてもマンガチックな存在だ。*1

 タランティーノと言えば何だ? 暴力と残酷シーンだ。そして、そもそも戦争ほど暴力的で残酷なものがあるか。

 タランティーノと言えば何だ? 緊張感のあるセリフのやりとりだ。そして、そもそも人間狩りやスパイの尋問よりも緊張感のあるセリフのやりとりなんてありうるか。

 個人的にたった1つの問題はブラピ。ブラピの演技は悪くなく、むしろ最高だったので彼の責任とは言えないのだが、彼が画面に出るたびにどうしても「ああ、ブラピだなあ。これはハリウッド映画なんだ。」と一瞬現実に引き戻されてしまうのだ。

 ついでにもう一つ個人的な感想を言わせてもらえれば、悪役スキーとしてランダ大佐がたまらない。近年希に見るインパクトのある映画の悪役キャラではあるまいか。

 R15+指定で、それ総統相当のグロシーンは確かにあるが、そこがクリアできるすべての人に絶対おすすめ。

*1:もちろん、ナチズムや優生学というのは当時の科学水準からするとそれなりの論理的整合性があったのであり、見くびりすぎるのは危険だという話はできるのだが、それはそれで別の話として。

おまけ

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2009 3/21

ワルキューレ

 金返せというほどではないが、あまりオススメできるポイントもなかったような。トム・クルーズなら何でもいいという方にしか。そうでない人にはこれを見るより『ヒトラー 最期の12日間』の方を推薦する。

おまけ

 ワルキューレ→ワルキューレの伝説

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2008 11/7

ナチス・ドイツの有機農業―「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」 (KASHIWA学術ライブラリー)

 今もシュタイナー教育などに名を残し、真面目に受け取っている人もいるルドルフ・シュタイナーと有機農法の話から始まって、自然を愛し全ての生命と共生しようという思想がなぜ大量殺人のような結果を生んだのかを巡る話に繋がっていく。

 私はこれとかこれとかナチスネタには目がないのだが、この本と『ナチスと動物』『健康帝国ナチス』の2冊はどれも素晴らしく、“いまここにいるナチス”三部作とでも勝手に命名しておすすめしたい。

 現代のディープエコロジーのような考え方や、日本のフードファディズムめいたトンデモ食育にもしっかり残っているナチスの影響。ついでに戦前日本はオカルト的自然観と民族主義の点でナチスドイツに本当に瓜二つだったんだということもよくわかるぞ。

参考リンク

おすすめ類書

おまけ

 健康→禁煙→タバコ

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