人間

おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年11月版

『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』★  松本敏治著。方言は、ほとんどが人間から(苦手な)人間関係や心情を伴う形でもたらされるため、主にテレビから言葉を覚えることになるからではないか、という説。なかなか面白い。 『東方鈴奈庵 〜 Forbidden Scrollery.(7)』★★  春河もえ著、ZUN原作。完結。当然ネタ切れ感は否めないものの、最後まで一定のクオ...
科学技術哲学

『人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想』

人間と動物の病気を一緒にみる  バーバラ・N・ホロウィッツ著、キャスリン・バウアーズ著。原題"Zoobiquity The Astonishing Connection Between Human and Animal Health"(汎動物学 人間と動物の健康の間の驚くべきつながり)。  (人間の)医学は獣医学からもっと学ぶことがあるという本。素晴らしく面白かった。進化医学・進化病理学・進化心理...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2014年7月版

『フェッセンデンの宇宙』★★  エドモンド・ハミルトン著。昔読んだはずだが思い出したくなって。なんと言っても表題作がオススメ。ドラえもんにもこれが元ネタと思われるエピソードがあるぐらい有名。 『スエズ運河を消せ―トリックで戦った男たち』★  デヴィッド・フィッシャー著。興味深い。 『「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!』★★★  NATROM著。お馴染み(?...
政治経済社会

ダン・アリエリー『不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」』

以前『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』を紹介した、ダン・アリエリーの本。  行動経済学の部分はすでに一度は読んだことがほとんどなのだけど、作者の人格――全身大やけどという経験にも深く影響されている――に好感が持てる。  最高級に面白いし、生活の上でも心がければ役に立ちそうなことが多い。  たとえば、順応を考慮すると、楽しいことは切れ切れに、苦しいことは一気にやった...
科学技術哲学

ダンバー数人委員会

陰謀論(ウォッチ)業界でよく見る(?)悪の秘密結社の名前に三百人委員会というものがある。  30人委員会や3000人委員会でなく、3万人委員会でも3億人委員会でもなく、あくまで300人委員会であり、300という数がロビン・ダンバーいうところのダンバー数の上限あたりにほぼ一致するのは興味深い。  利害でまとまったひとつのグループとして、人間が自然に想像できる限界の数がちょうどそれぐらいであるというこ...
科学技術哲学

エドワード・O・ウィルソン『人間の本性について』

エドワード・オズボーン・ウィルソンのピュリツァー賞受賞作。内容はタイトル通りで、賞に相応しい素晴らしさ。  私が生まれた年の本だが、いま見てもそれほど古びていない。問題になりそうなほど古いのは、同性愛を擁護するのにヘルパー説に頼っているところぐらいか。  同じ人間が『創造』みたいなすっとこどっこいな本を書いたとは、なかなか信じられないほどだが、この本のラストには、それに繋がった問題意識がすでに見ら...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年7月版

『ホロコーストを知らなかったという嘘―ドイツ市民はどこまで知っていたのか』★  フランク・バヨール著、ディータァ・ポール著。みんな薄々わかっていることながら、まあタイトル通り。 『図解・感覚器の進化』★★★★  岩堀修明著。久しぶりにすごくいいブルーバックス。図解多し。おすすめ。 『プルトニウムファイル』★  アイリーン・ウェルサム著。ちょっと今話題の方向性とはずれてるけど、プルトニウムはプルトニ...
政治経済社会

たとえ話は地図のようなものである

たとえ話のたとえ話をしたい。たとえ話というのは地図のようなものだ。  当然だが、地図は現実の地形そのものではない。分かりやすい線や図形で必要な情報だけを表し、残りを全て省いて単純化したものだ。だからこそ有用である。  たとえ話に対して「元の話と違っているから不適切である」という批判は一般的にはナンセンスである。「1/1の地図」が役に立たないのと同じく、不適切でないたとえ話は無価値である。  「1/...