宗教

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ6 タロイモ作戦

【第5回】 【目次】 【第7回】  君にある任務を与えよう。  君は今から10人に満たない少人数のチームで地球の裏側、アマゾンの奥地タロイモ山の麓に住む狩猟採集民族ヤマイモ族の集落に侵入し、彼らが森に仕掛けた罠を破壊してかかっている獲物を逃がし、彼らのサツマイモ畑に立っている案山子*1に火をつけて帰ってくるのである。  これをタロイモ作戦と呼称する。さあどう思う?  私の予想が間違っていなければ「...
科学技術哲学

フリーマン・ダイソン『ガイアの素顔―科学・人類・宇宙をめぐる29章』

フリーマン・ダイソンは「ガイア」を語ってもアホに聞こえない稀なる人間。  個人的に、日本で紹介されるときよく「ダイソン球で有名な〜」とか付け加えられるのがいまいち気にくわない。あれは本人も言っているように『スターメイカー』が出典でダイソンのアイデアなわけじゃなく、別にSFに関係なく単純に現代最高の知性の1人なのに。  恥ずかしながら、今回英語版のWikipediaでテンプルトン賞を受賞しているとい...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』

誰だつまらないとか感心しないとか言ってるのは。十分面白いじゃないか。まあ確かにグールドの本の中では、一番つまらないのは認めざるをえない。個人的には『2000年問題』よりは面白かったが。  しかし、題材が題材である。なんと言ってもこれは何百年も前から確立している道徳原則と科学哲学の再確認に関する本なのだ。およそ本の題材として――何の題材としても――これ以上つまらないものがこの世にあろうか。  思えば...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』10月18日発売

amazonからのメールおすすめが初めて役に立った。予約注文しとこう。  ドーキンスの『神は妄想である』の中で『千歳の岩』という名前で批判的に言及されていた本だ。  原題が『ROCKS OF AGES』だから直訳としては千歳の岩で正しいが、さすがにわかりにくすぎるということで邦題がこうなったんだろう。  実をいうと『神は妄想である』はもうだいぶ前に読んだのだが、どう言及すればよいものか迷っている。...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ4 反捕鯨は科学や論理的整合性の問題ではない

【第3回】 【目次】 【第5回】 「少なくとも一部のクジラは増えている。科学的証拠を突きつけて商業捕鯨を再開させよう。文化帝国主義反対!」  まあこのあたりが捕鯨賛成派の最大公約数的な主張だろう。気持ちは分かるが、残念ながらあまり意味がない。  確かに、かつてクジラは獲り過ぎで数が減ったから保護しなければならないということになった。そこに異論のあるという人はいないはずだ。*1しかし、今やそれだけで...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ3 反捕鯨は食肉業界の陰謀でも文化帝国主義でも人種差別でもない

【第2回】 【目次】 【第4回】  実は、前回までで、私の言うべきことは全て言った。あとはこれを何度も繰り返し、少しずつかみ砕きながら実例を交えて解説していくだけである。  要点は反捕鯨問題は本質的に宗教問題であるということだ。だが、いきなり信じろと言われても無理だろう。この一言を本当の意味で理解してもらえるようになることがこのシリーズの目的である。  反捕鯨問題は、単なる環境保護問題でも、単なる...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ2 “存在の大いなる連鎖”の概念とその変遷

【第1回】 【目次】 【第3回】 存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分の一...
科学技術哲学

豚肉とコーラと倫理の究極の問題

医学都市伝説: 豚肉+コーラで寄生虫がゴロゴロ?  イスラム教で豚肉が禁じられているのは有名だが、世界には大なり小なり様々な食のタブーがある。  歴史上もっとも食のタブーが少ないと言っても過言ではない現代の日本ではこれらのタブーは非常に奇異に感じるであろう。事実、こうした話題になるとネットではよく「何の根拠もないのに『神の思し召しだから』とか言ってタブーを守るなんて狂っている」という類の主張が見ら...