心理

政治経済社会

ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』

我々が恐れなければならない唯一のものは、恐怖そのものである。 (フランクリン・ルーズベルト)  ルーズベルト大統領はともかく、この言葉は好きだったのに、しばらく積んでたのを後悔。これは素晴らしい。超いい。 『詐欺とペテンの大百科』 『表現の自由を脅すもの』  と並んで、一家に一冊配布を義務づけたいレベル。 進化心理学本 メディアリテラシー本 科学リテラシー本 社会問題リテラシー本  いずれの視点か...
政治経済社会

「無責任な純粋さ」

『健康帝国ナチス』に出てくる言葉。ヘルベルト・メルテンがどういう人かも、どういう文脈で言ったのかも知らないのだが、なかなかうまい言葉だと思う。ちょっと前に読んだ『平気でうそをつく人たち』とも共通する話。  要は「悪」と一口に言ってもいろいろあって、なにも北斗の拳のモヒカンがやるようなヒャッハー的わかりやすい悪ばかりではなく、もっと微妙・巧妙でしかもありふれた悪があるということ。  『平気でうそをつ...
科学技術哲学

テンプル・グランディン『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』

「動物福祉」にたずさわる「自閉症」の「女性」の「共著」。……何このスピリチュアルアンテナにビンビンくるキーワードの羅列! 「おお、彼女こそ動物たちと魂の触れ合いができる天使のようなピュアな心の持ち主! 環境ホルモンまみれのマクドとかむさぼり喰ってる愚民ども今すぐ有機野菜買わないと地獄に堕ちるぞ!」  みたいな内容だったらどうしようと警戒しながら読み始めたので、意外にも大変まともな内容でものすごく得...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年4月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『南極1号伝説―ダッチワイフの戦後史』★★  高月靖著。雑学として普通に面白い。「エロと戦争は文明発展の原動力」的な言い方はよくされるが本...
WEB情報通信

久々に技術書をまとめ買い

Chrome OSとHTML5+JavaScriptなど流行物を、5冊ほどまとめて買ってみた。  あと、これはPDFが公開されてるからダウンロードしたのであって、買ったものじゃないけどPython本も。 Dive Into Python  まだちゃんと読んでなくて書くことがないので、ちょっと別の話。  私はどちらかというと消費に快感を感じるたちではないようだが、買い物依存症とか呼ばれる気持ちをまっ...
アニメコミック

ゴルゴ13の出身が決して明らかにならないのはなぜか?

ゴルゴ13の出身は、たびたび話題になるものの、決して明らかになることはない。なぜか?  ある意味では答えは簡単だ。多分あなたもすぐ思いついた通りだ。明らかになってしまったら、いつでも使えて確実に人気のあるネタの一つが無くなってしまうからだ。  しかし、それはあくまで至近要因だ。なぜゴルゴの出身が確実に人気のあるネタなのか?  想像してみよう。ついにゴルゴの真の出身が疑問の余地なく判明した! 実はロ...
科学技術哲学

「メタプラセボ効果」は当然あると思う

忘却からの帰還: メモ「メタプラセボ仮説」  メタプラセボ仮説という単語自体は初めて聞いたが、私はこの効果は当然あると思う。  まず、メタプラセボもプラセボも何も関係なしに、そもそも「傷や病気が治るのはなぜか?」ということから考えよう。  傷や病気はホイミやケアルの魔法で治るのではない。「自然」に治るのでもない。意識的にする必要はないが、自分の身体の各細胞が必死に働いて治すのだ。そして、必死に働く...
科学技術哲学

スタンレー・ミルグラム『服従の心理』

よく教科書にも載ってる有名なミルグラム実験の本。スタンレー・ミルグラムはスモール・ワールドの概念の先駆者としても有名。  一応、旧版で読んだような記憶はあるが、 「服従の心理」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる  で、山形浩生氏の批判というのに興味を持った。  確かに、山形氏の批判は、どれもいいところを突いていると思う。この実験の今日的な解釈として同意できる部分が多い。...