科学

科学技術哲学

リチャード・ドーキンス『祖先の物語~ドーキンスの生命史~』

こ・れ・は、素晴らしい! 殿堂入りクラス。  内容については訳者あとがきの記述が十全なのでその引用に留めるが、グールドを精神上の師の一人に数える私には特別な感慨がある。  とにかくこれは超オススメ。  本書は、進化生態学の巨匠ジョン・メイナード・スミスに献じられているが、ある意味で、「宿敵」スティーヴン・ジェイ・グールドに捧げられた本とも言える。『社会生物学論争史』の中でセーゲルストローレは、ドー...
科学技術哲学

充分に発達した科学技術が魔法と見分けが付かなくなることはもうない

星新一の『おみやげ』を枕にして言いたかったのは、歴史の変曲点の話の続きである。  一つ空想してみよう。この灰になってしまった「おみやげ」について私たちは何が言えるだろうか?  私は「簡単に宇宙を飛び回れるロケットの設計図」に何が書いてあったかは全く想像もつかない。そんなものが存在しえたかどうかも疑わしいと思われる。*1  ただし、想像もつかないとは言っても、少なくとも光速を越えることはできなかった...
科学技術哲学

ドナ・ハート ロバート W.サスマン『ヒトは食べられて進化した』

ヌーやインパラのような動物がライオンやハイエナに捕まってもりもり食われている。テレビの自然番組でお馴染みの光景である。  では霊長類――いわゆる猿――がヒョウやトラに捕まってもりもり食われている場面を見たことがあるだろうか?  私は昔この手の番組を平均よりかなり頻繁に見ていたと思うが、そんな場面は全く見たことがないと断言できる。  これは何らかの真実の反映なのだろうか? つまり猿は賢くて強いから他...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ2 “存在の大いなる連鎖”の概念とその変遷

【第1回】 【目次】 【第3回】 存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分の一...
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『順列都市』

『スターメイカー』の感想を書いたときに「今現在残されている神秘と最先端のSFは何だろう?」という問いかけをした。  あの時は単なる締めの言葉として深く考えずに適当に書いたのだが、自分で気になってきてしまったので調べたところ最先端のSFの候補の1つであるらしい。読んでみたら確かに面白い。一級品。  セルオートマトンに関する知識があった方がより楽しめそうなので、『ライフゲイムの宇宙』を先に読んでおくと...
科学技術哲学

大木幸介『毒物雑学事典―ヘビ毒から発ガン物質まで』

水も砂糖もみんな毒? 身近な食品の致死量を調べる | エキサイトニュース  これを見て思い出した本(上の記事はネタっぽいがこの本は真面目な内容である)。個人的にブルーバックスの中で最も好きな本の一冊でもある。  見開き2ページが1項目の読みやすいコラム形式で古今東西ありとあらゆる毒物が扱われている。項目を適当に拾い上げてみただけでもこれだけある。  ヘビ・サソリ・ハチ・カエル・イソギンチャクなどの...
科学技術哲学

「水からの伝言」はトンデモの一言で切って捨ててよい

オープニングクイズ。以下の主張は正しいか? ○か×のみで答えなさい。どちらでもない・どちらでもある・場合による等の答えはなし。 誰かの真剣な主張を「とんでもないから」といって真面目に受け取らないのは科学的な態度とは言えない 科学的な社会では少数派の意見に基づいて行動するからといって弾圧されたり処罰されることはない 人格的な神や死後の世界の存在は科学的な観点からすると否定されると言わざるをえない  ...
科学技術哲学

山田克哉『原子爆弾―その理論と歴史』

北の核実験の話はあっちこっちで書かれるだろうからいいか。  原理から歴史まで原子爆弾に関する基本的な知識としてはこの本はがおすすめです。