最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『自分をつくりだした生物―ヒトの進化と生態系』★★★
ジョナサン・キングドン著。先史人類とそのテクノロジーが環境といかに相互作用してきたかという観点からの本格的な人類学本。
『BEST SOFTWARE WRITING』★★★
Joel Spolsky編。おなじみJoelが編集したソフトウェア関係の良記事集。
『人間の安全保障』★★
アマルティア・セン著。とても薄い新書。いい人だということはわかったが、さすがに薄すぎてこれだけでは何とも。もっと別の本も読んでみようと思うぐらいには面白かった。
『知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ 』★
苅谷剛彦著。amazonレビューなどでは非常に評価が高かったが、そこまでとは思えなかった。すでに類似の本をけっこう読んでいるからだろうか?
『ルドルフ・シュタイナー―その人物とヴィジョン』★
コリン・ウィルソン著。地下猫さんのところで小耳に挟んだので。まあ悪人ではないのだろうけど、私には普通のオカルト主義者としか見えなかった。
『紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像』★★★
斎藤美奈子著。かなり昔読んでいて、最近どこかで見かけて思い出した。なかなか良い本だったと記憶している。
『地に呪われたる者』★
フランツ・ファノン著。ここ経由で読んだ。つまらなくはなかったが特にこれといったことは。
おまけ
今月はトレーニングが流行ってたようだがこれ以上はもう出んだろ。
by 木戸孝紀
tags:オカルト フェミニズム プログラミング 経済 書評 進化 人類 政治 発想
パスカル・ボイヤー『神はなぜいるのか?』を読んでから、二つの観点が頭に残り続けている。
- 宗教というのは極めて現状追認的なものであるということ。
- 宗教的概念として受け入れ可能なものは、人間の持つ直感的な分類カテゴリーに違反するような属性が、ひとつだけ加わったものであることが多いということ。
前者は、多くの人が貧しく苦しかった過去の時代には苦難をよしとするような宗教が流行り、「人間には無限のエネルギーが備わっている」というような底抜けにポジティブな新興宗教は、豊かで発展した現代先進国でこそ生まれた、という程度の話。
本の中ではそんなに大きく取り扱われていたわけではなかったが、別の知見と合わせて気になってきた。これについては、また稿を改める。今回は後者について。たとえば、
- 遺体(生きているという人間の属性を失って自然物のようになった人間)
- 親以外から生まれた人間(人間の属性のひとつに違反する人間)
- 人の願い事を聞く杖(人間の属性を持つ道具)
- 供物を放り込むと喜ぶ川(人間の属性を持つ自然物)
のようなものは、その人の属する文化に関わりなく宗教的感情の対象として“ありえそう”と感じる。しかし、
- 村の全員の噂話を聞いているが全て忘れてしまう大木
- 毎週水曜日にだけここに存在し他の時間は全ての場所に存在する彫像
- 祭壇に肉を供えると怒って罰を与える山
- 卵で繁殖するが石斧の赤ちゃんを産むこともある喋るアザラシ
のようなは“ありえない”と感じる。異常であればいいというものでもなく、そもそもどんなカテゴリーのものも持っていないような属性や、あまりにもカテゴリー違反が多すぎるものは宗教感情を刺激するものにはならないのだ。
「当たり前すぎるだろ!」と思うかもしれないが、当たり前すぎるということは非常に強固に人類共通(ヒューマン・ユニバーサル)な何かが存在することを示唆するわけで、やはり面白いことだ。宗教と言わずとも、たとえば水からの伝言は呪術としてよくできている(参考)と言われていて、確かにその通りだが、
- 言葉を理解し反応する自然物。(人間の属性を持ち、自然物のカテゴリに違反する。)
として宗教として“ありえそう”なパターンにもきっちり当てはまっている。他にも下のように様々なデマや流行語に対して幅広く有効な視点だと思うのである。
- レミングの集団自殺
- 単純そうな動物なのに本当は自殺する。
- マイナスイオン
- “マイナス”そのもののイメージなのに本当は体によい。
- フリーラジカル
- 自由で活動的な素晴らしいイメージなのに本当はダメージを与え老化をまねく。
- ○○を食べるだけでやせる○○ダイエット
- 何かを食べると太るはずなのに本当はやせる。
- メタボリックシンドローム
- メタリックで格好良さそうな名前(笑)なのに本当はぼてぼてぶよぶよのお腹の意。
- KY
- 実にかっこよさそうな字面(笑)なのに本当はノリの悪いやつのこと。
おまけ
人間の属性を持つパン。
by 木戸孝紀
tags:オカルト 疑似科学 宗教 心理
今もシュタイナー教育などに名を残し、真面目に受け取っている人もいるルドルフ・シュタイナーと有機農法の話から始まって、自然を愛し全ての生命と共生しようという思想がなぜ大量殺人のような結果を生んだのかを巡る話に繋がっていく。
私はこれとかこれとかナチスネタには目がないのだが、この本と『ナチスと動物』『健康帝国ナチス』の2冊はどれも素晴らしく、“いまここにいるナチス”三部作とでも勝手に命名しておすすめしたい。
現代のディープエコロジーのような考え方や、日本のフードファディズムめいたトンデモ食育にもしっかり残っているナチスの影響。ついでに戦前日本はオカルト的自然観と民族主義の点でナチスドイツに本当に瓜二つだったんだということもよくわかるぞ。
参考リンク
おすすめ類書
おまけ
健康→禁煙→タバコ
by 木戸孝紀
tags:オカルト ナチス 環境 書評 生命 農業