ガイア教

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ41 ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』

【第40回】 【目次】 【第42回】  あのハンターハンターさえ連載再開するぐらいだから自分も頑張ろうと思ってこのエントリを書き始めたら、書き上がるまでに再び休載してしもた(笑)。まあ仕方ない。始めよう。  今回取り上げる作品、記念すべき後半戦最初の作品は、ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』(1933)である。  未来・SFの世界にご案内しようとか言っておいて*1いきなり普通はSFに分類される...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ40 一本目の糸:オリエンタリズム

【第39回】 【目次】 【第41回】  ここまで『存在の大いなる連鎖』という一本の柱に沿って、時系列に進んできたこのシリーズだが、ここからは、詳細に分け入る代償として、多少複雑にならざるをえない。  このシリーズでは、過去と未来で何が変化して何が不変であるかを常に意識することが、理解にあたって重要だ。*1しかし、完全に過去から現在へ進みながら、多岐にわたる話を扱うと、話があちこちに飛びすぎてわかり...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ39 ガイア教徒よりもガイア教的な日本人

【第38回】 【目次】 【第40回】  大きな鍵*1を逆向きに使うことで、鏡のように「普通」の日本人の態度もよく理解することができる。一本の柱から離れて次の段階に進む前に、一度自分たちを振り返っておこう。 鏡その1  以下は、このシリーズ開始以前に、ネットのどこか*2で見かけた会話である。記憶からの再現なので一字一句正確ではないが、概ねこのようなものであった。 A「なあ、これはもちろん仮定の話だけ...
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ガイア教の天使クジラ38 キリスト教徒よりもキリスト教的なガイア教徒

【第37回】 【目次】 【第39回】  さあ、 ユリカさんとビクター・ケラハーを分けているのは何という文化のどんな違いか?  という第13回の問い*1に答えられる時がついに来た。 宗教文化が*2唯一神教的か否かの違いだ。  第2回の段階では「ひどいこじつけだな」ぐらいにしか思わず、第12回でも信念がぐらついて不安を感じた程度の人でも、ここまで来たら、もうこの回答を拒否することは難しかろう。  野崎...
政治経済社会

横山茂雄『聖別された肉体―オカルト人種論とナチズム』

読んだのはだいぶ前だが『アイアン・スカイ』で思い出した。  内容は副題通りで、ここでは詳しくは説明しないけどかなりおすすめ。  あとがきの  本書の前提を成すのは、公認文化の背後に見え隠れする広義の意味でのオカルティズムの理解を欠いては、その文化の本質には到達できないという認識である。  という部分は深い。  自分の書いているガイア教シリーズにも通じるものがある。この本は直接には使用する予定はない...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ37 アーサー・O・ラヴジョイ『存在の大いなる連鎖』

【第36回】 【目次】 【第38回】 存在の巨大なる連鎖よ、神より始まり、 霊妙なる性質、人間的性質、天使、人間、 けだもの、鳥、魚、虫、目に見えぬもの、 目がねも及ばぬもの、無限より汝へ、 汝より無に至る。より秀れしものに我等が 迫る以上、劣れるものは我等にせまる。 さもなくば、創られし宇宙に空虚が生じ、 一段破れ、大いなる階段は崩れ落ちよう。 自然の鎖より輪を一つ打ち落とせば、 十分の一、千分...
文化芸術宗教

ジェイムズ・P・ホーガン『巨人たちの星』

ガイア教の天使クジラで使おうかと思ってメモしたが割愛された部分。ただ削除して熱にしてしまうのはもったいないので関連エントリとして公開しておこう。  1981年のSF小説。本筋とは特に関係のない半ページほどの挿話にすぎないが、水生類人猿説が事実だったことになっている。  ところが、映像で再現されたミネルヴァの歴史には、地球の人類学者がかつて想像もしなかったようなくだりがあった。初期の類人猿は陸上の肉...
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ガイア教の天使クジラ36 大きな鍵

【第35回】 【目次】 【第37回】  ある現象を理解するということは、何が変化して何が不変であるかを、理解することだと言える。  何も変化がないのであれば、そもそも考えるべきことが存在しないであろうし、何もかもが変化してしまうなら、やはり考えるべきことが存在しないであろう。  たとえば物理学であれば、変化しない保存量が何かがわかれば、その保存則を用いて現象を理解したり予測したりすることができる。...