2010 9/9

懐疑論者の事典〈上〉

 タイトルの通りの内容。

 で紹介した『詐欺とペテンの大百科』の疑似科学に比重を置いたバージョン、といった感じ。

 面白さは、内容に多様性のある『詐欺とペテンの大百科』の方が圧倒的に勝るけど、こういう事典系には目のない私。

 ホメオパシーが話題の昨今なので、今まで特に興味がなかった人にもオススメする価値はありそう。

関連書籍

おまけ

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2006 12/19

詐欺とペテンの大百科

 「ネズミ講」の意味がわからない大学生がいるという話を聞いて是非オススメしておかなければと思ったのはこの本です。

 滅多にない耐え難いほど面白い本でもう何回読んだかわかりません。まずどんな本であるかがうまくまとまっている訳者あとがきから引用します。

 近年の急速な社会のハイテク化に、情報化に伴い、次々と新手の詐欺や商法が登場しており、それらを紹介した「騙されないための」ハウツー本も出回っているようだ。しかし、本書の著者によれば、一見新しそうなそれらの手口の大半は、昔からある古典的なものの焼き直しに過ぎないという。つまり、騙されたくなかったら、「人はなぜ騙されるのか?」という原点に立ち返って、考えてみるべきなのだ。

 一口に騙すといっても、見栄やいたずら心でつくちょっとした嘘から、一般人には想像もつかないほどの大金が絡む詐欺まで、その動機も内容も千差万別である。だが多くの場合、騙される側が自分にとって都合のいい話を信じたがるということがその根底にある。何も金銭欲や名誉欲に駆られたものだけが騙されるのではない。人は誰しも、愛されたいとか、美しくなりたい、健康でいたい、おいしいものが食べたい、珍しいものを見たいなどというごくまっとうな願望を持っているものだが、そんなささやかな気持ちにつけ込まれることもあるのだという例が、本書の中にもいくつもあげられている。

 著者は、本書の項目をジャンル別に分けることをあえてせず、悪ふざけ、ホラ、作り話、でっち上げ、かたり、贋作、偽造品、などなどなんでもござれのペテンの玉手箱を作り上げた。訳しながら驚いたり、呆れたり、憤慨したり、時にはちょっぴり羨ましいと思ったり、そして時には思わず声を上げて笑ってしまったこともあった。読者にも同じように楽しんでいただけたらと思う。

 具体例としていくつか面白いエピソードを紹介しましょう。

編み機商法
会社から与えられる仕事ですぐに取り返せるといって法外な値段で編み機を売る。最初は割のいい仕事が与えられるがその金は自分の払ったローンから出ている。ローンが終わる頃には仕事はさっぱり紹介されなくなる。今もパソコンなどで行われる在宅労働詐欺の古典。
大未知の世界
興業師P・T・バーナムは『大未知の世界』と称して「この素晴らしい秘密をあとから来る客にばらさないでください」とお願いだけであとはからっぽの貨車を展示した。客は担がれる側から担ぐ側に回ったことに概ね満足した。たまに正直に答える人がいても誰も信じなかった。
ゴキブリ駆除器
『100%確実に効果のあるゴキブリ駆除器』を通販で申し込むと木片Aと木片Bが送られてくる。説明書には「木片Aの上にゴキブリを置き木片Bを手に持ってAの上に打ち下ろします」
目玉の賭
自分の目玉を噛んでみせるという賭を提案する老人。義眼を出して噛んで戻す。客は負ける。もう一方も噛んでみせるという。もう一方も義眼だと全盲ということになるからそれはありえないので客が受けると入れ歯を外してもう一方の眼にあてる。客はまた負ける。

 最後に五十音のそれぞれから項目名を1つずつ適当に拾ってみます。好奇心のあまり涎が出そうになるんじゃないでしょうか?

 下のどれ1つとっても人間の希望と欲望、喜劇と悲劇がいっぱいに詰まっているわけですよ。これでもまだまだ全体のほんの一部に過ぎないのですよ。

 高価なのが唯一の欠点ですが、図書館に行くという手もありますし、将来詐欺に引っかかる可能性を減らせる効果を考えれば安いものでしょう。是非一家に一冊備えておいて欲しい本です。

  • アタフアルパの像
  • 言いなりになる間欠泉
  • ヴォルテールの有名な引用句
  • エックス線防御下着のインチキ
  • 大急ぎの盗品売り
  • カーディフの巨人
  • 金の延べ棒詐欺
  • クイズショーのインチキ
  • 血統書つき犬詐欺
  • コンスタンティヌス大帝の寄進状
  • 最後のキリン
  • 自動チェスゲーム人形
  • スリーカードモンテ
  • 赤軍将校部隊に対する謀略
  • 相続人探し詐欺
  • 卵の性別判別器
  • チャリティー詐欺
  • 美人局
  • 堤防の孔を指で塞いだ少年
  • ドイツ統一詐欺
  • 鉛の頭の鳥
  • 偽札の通信販売
  • 沼地詐欺師
  • 猫とネズミの牧場
  • 農民銃殺者
  • ハエ取り紙報告書
  • ヒットラーの馬鹿踊り
  • 風船割り屋
  • ベリンガーの石
  • 箒立て
  • マンハッタン島切断計画
  • ミラー、ウィリアム・F・「五百二十パーセント」
  • 鞭打ち症
  • メネレクII世の電気椅子に対する免疫
  • 盲人の晩餐
  • 山羊の生殖腺による回春
  • 郵送による臨床検査
  • ヨナとクジラの作り話
  • ラウダンの尼僧
  • 李鴻章回想録
  • ルジタニア号のメダル
  • 錬金術詐欺
  • ロザリオゲーム
  • ワシントンとサクラの木

参考リンク

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2006 11/15

毒物雑学事典―ヘビ毒から発ガン物質まで (ブルーバックス (B‐569))

 これを見て思い出した本(上の記事はネタっぽいがこの本は真面目な内容である)。個人的にブルーバックスの中で最も好きな本の一冊でもある。

 見開き2ページが1項目の読みやすいコラム形式で古今東西ありとあらゆる毒物が扱われている。項目を適当に拾い上げてみただけでもこれだけある。

 ヘビ・サソリ・ハチ・カエル・イソギンチャクなどの動物毒。昆虫・貝の毒。「河豚は食いたし命は惜しし」で有名なフグ毒テトロドトキシン。トリカブト・毒キノコ、ソクラテスが仰いだ毒ニンジン、ストリキニーネ、KGBが暗殺に使ったリシン。モルヒネ・ヘロイン・コカイン・LSD・カフェイン・アルコール・ニコチンといった麻薬。破傷風菌・ボツリヌス菌・炭疽菌・コレラ菌が作る毒素。発癌物質アフラトキシン・ベンツピレン。催奇性のDES・サリドマイド。鉛・ヒ素・クロム、水俣病の有機水銀、イタイイタイ病のカドミウム等の重金属毒。安定性故の毒性アスベスト。各種放射性物質。有機化合物のPCB・ベンゾール・トルエン。あまりに有名な青酸カリ。不完全燃焼の一酸化炭素。最強の化学兵器神経ガス、サリン・タブン・ソマン・VX。そしてあのダイオキシン。

 見ているだけでも体調が悪くなりそうなラインナップであるが、各項目につけられているウノ・カマキリ氏のコミカルな挿絵がうまく“毒”(そのまんまだ・笑)を中和する役割を果たしていて楽しく読める。

 しかも、楽しいと言ってもどれ1つとしてただの興味本位な取り上げ方ではなく、科学的・社会的両面から非常に有用な雑学と思想が盛り込まれている。科学ニュースリテラシーの向上という観点からも是非ともお薦めしたい。

 ちなみに1984年初版発行となっているので科学データが古くなっているものもありそうだが、今読み返しても特に気になるほどではない。

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