2010 10/2

(本文とは無関係)

 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。

 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。

『犯罪の生物学―遺伝・進化・環境・倫理』★★★★★

 D.C.ロウ著。これはいい。すごくいい。このテーマピンポイントでは、基本にして最高と言ってもいいのではないか。

『自然の権利―環境論理の文明史』★★

 ロデリック・F・ナッシュ著。ディープエコロジー関係に興味がある人に。

『貧困の克服 ―アジア発展の鍵は何か』★★★★

 アマルティア・セン著。この人の本はいくつかあたっているが、今まで読んだ中では一番面白い。初めての人におすすめできそうなのは、今のところこれだけか。

『バージェス頁岩 化石図譜』★

 デリック・E.G. ブリッグス著、フレデリック・J. カリア著、ダグラス・H. アーヴィン著。単純に図鑑としてはこれがいいか。

『錯視入門』★★★

 北岡明佳著。目の錯覚好きにはたまらんね。サイトでもかなりの図が見られるので参考に。

『脳はあり合わせの材料から生まれた―それでもヒトの「アタマ」がうまく機能するわけ』★

 ゲアリー・マーカス著。タイトルよりは脳寄りではなく、行動経済学に近い感じ。すでに似たような内容でもっといいのがあったような気もするが、悪くはない。

『はじめに線虫ありき―そして、ゲノム研究が始まった』★

 アンドリュー・ブラウン著。元から多少は生物学の知識がある人にしかおすすめできないが、面白い。内容はC. elegansを参照。ちなみにタイトルはヨハネによる福音書冒頭のもじり。

『進化論裁判―モンキー・ビジネス』★★

 ナイルズ・エルドリッジ著。創造論やインテリジェント・デザイン関係の古典。原題”monkey business”は「バカげたこと」とか「インチキ」という意味のスラングで、スコープス裁判が”monkey trial”(猿裁判)とも呼ばれることに掛けている。

おまけ

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2010 9/8

進化の運命?孤独な宇宙の必然としての人間

 読んだ。けど、残念ながら、読む前に考えていたこと以上の収穫は特になかった。

 チチュルブ隕石がなくても「恐竜人」が生まれただろう、とは流石に言ってはいなかったが、ある意味それより身も蓋もないことを言ってた。

 当時、地球はすでに寒冷化に向かっていたから、隕石がなくても、いずれ「哺乳類性」を持つ生物が有利になり、その中から「サル性」を持つ生物も生まれただろう、とかなんとか。

 よくわからん。Togetterの方に書いたけど「知性の進化が必然だ」と言いたいのなら、説明しなければならないのは、むしろ隕石(寒冷化)以前に知性が進化してなかったことの方じゃないのか。

 寒冷化で哺乳類が生まれただろうと言っちゃうのなら、知性の進化は必然でも運命でもなく気候次第だったということではないか。寒冷化も必然だった等と言い出したら、もはや別の話になってくるだろう。

 まあいいや。あまり真面目に考える気にもならん。収斂進化事典としては最高だけど、著者がそこから主張したがっていることは訳がわからん、という評価に同意。

参考リンク

関連書籍

おまけ

 「わたしは うんめいのかみ デリト」(それがどうした!?)

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2010 5/30

ネ大改造!!劇的ビフォーアフター

 バージェス動物群について久々に面白いニュースが。ハルキゲニアの上下逆転以来の衝撃かもしれん。

 摩訶不思議と思われていた化石が徐々に既知の分類に収まってくる歴史を辿っているので、方向性は意外ではないのだけど、まさか頭足類とは。

 カンブリア爆発についての意見がどうあれ、頭足類ほどのグループ(の先祖)が見つからなかったらむしろ不思議なわけなので、驚きではあるが妥当な話に思える。

謎の古代動物は原始イカ類=5億年前の新化石分析?カナダ

 約5億年前の海に生息した頭はエビ、体は魚に似た謎の小さな動物「ネクトカリス」は、現在のイカに似ているが、足に見える腕が2本しかない姿だったことが、カナダで新たに発見された多数の化石の分析で分かった。イカやタコの頭足類に分類され、同類の化石としては従来の記録を約3000万年さかのぼり、最も原始的という。カナダ王立オンタリオ博物館の研究チームが27日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 ネクトカリスは、「カンブリア紀の大爆発」と呼ばれる多種多様な動物の大量出現期に現れた動物の一種。世界遺産に登録されているカナダ西部ロッキー山脈の自然公園で約100年前、不完全な化石が1個だけ発見され、1976年になって学名が付けられた。
 研究チームは同所で新たに見つかった91個の化石を分析。その結果、体長2〜5センチ、イカのように平たい体で、小さな頭部に一対の目と腕があり、えらや幅広いひれを備えていることが分かった。頭部には、タコが墨を吐くのと同じ器官もあり、遊泳中に海水をジェット噴射して加速。腕で獲物を捕らえたか、海底で死んだ動物をあさっていたとみられる。(2010/05/27-07:02)

(時事ドットコム:謎の古代動物は原始イカ類=5億年前の新化石分析?カナダ)

おまけ

 頭足類→タコ→パロディウス。BGMもいい。

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2007 5/2

眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く

 これも読もう読もうと思って後回しになっていた。いわゆるカンブリア大爆発についての本。

 カンブリア大爆発についてはとにかく『ワンダフル・ライフ』が有名だが、この本でのグールドは、人間の進化が偶然の結果であるという意見――それは正しいと思うが――を強調するあまり、バージェス動物の異質性・多様性を過大に強調してしまった面があり、カンブリア大爆発などと言うのはただの誇張で実際は何も特別なことなど起きてはいなかったという反論もあった。

 この意見の対立は結局のところどちらも半分ずつ正しかった。確かにこの時期だけ遺伝の仕組みに何か特別なことが起きて全ての生物のボディプランが百花繚乱して進化の可能性が試されたなどということはなかった。遺伝子レベルではあくまで予想されるような漸進的な進化がその以前から変わることなく続いていた。

 同時に、たとえ外見的にだけであっても、この時代の生物が爆発的と言ってもよい多様性を見せたこと、とりわけ軒並み硬組織を発達させたことは依然として変わりなく、しかもその理由ははっきりしていなかった。

 この本で紹介されている光スイッチ説は『外見が多様化したのは視覚の誕生によって生物の取り得るニッチが多様化すると同時に外見が死活的に重要になったから』だというもの。

 この説を取材した新聞記者が出版前日になって編集長から「本当に新説なんだろうな?」と念を押されたというエピソードが載っているように、思わず「そんなの当たり前じゃないの?」と反応してしまいそうになるほど明解で説得力のある説だ。

 かなりの確率で真実を言い当てているだろうと思える。

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