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ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ44 アーサー・C・クラーク『海底牧場』 1/5

【第43回】 【目次】 【第45回】  今回取り上げるのは、前回のハインラインに続いて海外SF御三家*1、正真正銘のSF作家、アーサー・C・クラークの『海底牧場』(1957)である。  前回の『異星の客』よりも4年前だが、まあ細かいことは気にするな。今は、最低でも10年単位で考えるような時代精神の話をしているのだから、それぐらいは誤差だ。  短めで適度なスペクタクルがあり、ある意味王道ビルドゥング...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年11月版

『自閉症は津軽弁を話さない 自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く』★  松本敏治著。方言は、ほとんどが人間から(苦手な)人間関係や心情を伴う形でもたらされるため、主にテレビから言葉を覚えることになるからではないか、という説。なかなか面白い。 『東方鈴奈庵 〜 Forbidden Scrollery.(7)』★★  春河もえ著、ZUN原作。完結。当然ネタ切れ感は否めないものの、最後まで一定のクオ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ43 ロバート・A・ハインライン『異星の客』 2/2

【第42回】 【目次】 【第44回】  しかし、同じものを仮託されていても、『失われた地平線』に比べて、マイクがコンウェイやシャングリラのラマ僧と比べて、大きく変わった部分もある。  すでに公民権運動の時代でもあり、マイクが「白人」である*1ということをいったん置けば*2あからさまな白人優越の意識は、もはや見られない*3。  キリスト教より異教が優れているのではないかという意識は、その場だけの単な...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ42 ロバート・A・ハインライン『異星の客』 1/2

【第41回】 【目次】 【第43回】  また1年以上間が開いてしまった。このまま年に1回のようなペースだと、100歳まで長生きしても未完に終わってしまいそうなので、なんとしてでもペースを上げようと考えている。  今回取り上げるのは、今度こそ、押しも押されもせぬSF作家の正真正銘SF小説、ロバート・A・ハインライン『異星の客』(1961)である。  前回同様、いま読んで面白い小説だとは言いがたいので...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年9月版

『シブサワ・コウ 0から1を創造する力』★★  シブサワ・コウ著。電ファミの記事がムチャクチャ面白かったので。やっぱり一代で大企業を築くような人は普通ではないな。 信長から乙女ゲームまで… シブサワ・コウとその妻が語るコーエー立志伝 「世界初ばかりだとユーザーに怒られた(笑)」 『すごい進化 - 「一見すると不合理」の謎を解く』★★  鈴木紀之著。内容はshorebird先生にお任せ。 書評 「す...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年7月版

『ヒルビリーエレジー』★★★★★  J・D・ヴァンス著。トランプ現象がらみで読んでおくか、程度のつもりで借りたが、単純にめちゃくちゃ面白かった。もちろん現代アメリカ理解のためにも役立つ。 『大いなる天上の河』★★★  グレゴリイ・ベンフォード著。『BLAME!』映画化の影響で再読。初めて読んだのは大分前。直接の元ネタのひとつとして知られる。 『ゲーム・プレイヤー』★  イアン・M. バンクス著。何...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年4月版

『マシュマロテスト』★★★★★  ウォルター・ミシェル著。なんかもうよく知っているような気になっているマシュマロ・テストだが、改めてオリジナルに触れてみるととても面白い。 『へんな星たち 天体物理学が挑んだ10の恒星』★  鳴沢真也著。ちょっと面白い。 『天と地の守り人 第2部 カンバル王国編』★★★★  上橋菜穂子著。最終章中編? やはり面白い。 『量子コンピュータが人工知能を加速する』★  西...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年2月版

『ホワット・イズ・ディス?:むずかしいことをシンプルに言ってみた』★  ランドール・ マンロー著。非常に簡単な単語だけで難しいことを説明する。この人らしい皮肉も効いてる。あと、とてもでかい(物理的に)。 『ベルサイユのばら』★★★  池田理代子著。妻経由。実は初めてちゃんと読んだ。歴史に残るだけのことはある。 『分断されるアメリカ』★★★  サミュエル・ハンチントン著。竹中正治氏のfacebook...