捕鯨

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ28 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 3/8

【第27回】 【目次】 【第29回】  『イルカと話す日』を読み進める前に、ちょっと補足しておかなければならないことがある。  私はリリー博士のことを「ガイア教史上最重要人物」と呼んでいる。私はそれが適切な表現であると思っているし、今後も変わらない。  ただし、それが「彼がいなければガイア教は生まれなかっただろう。」とか「彼がいなければ反捕鯨運動などなかっただろう。」というような意味に受け取られて...
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ガイア教の天使クジラ27 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 2/8

【第26回】 【目次】 【第28回】  前回に続きジョン・C・リリー著『イルカと話す日』を読み進めよう。やっと本人の登場。 著者序文  一九五五年、私はイルカ(本書では基本的にハンドウイルカTursiops truncatusを指す)の科学的研究に着手した。一九六八年、この研究プログラムは終了した。この間、イルカについて大きな発見がいくつもなされた。  一九六八年から一九七六年にかけて、私は自分自...
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ガイア教の天使クジラ26 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 1/8

【第25回】 【目次】 【第27回】  ではジョン・C・リリー著『イルカと話す日』を読むことにする。  日本での出版は1994年だが、原著"Communication Between Man and Dolphin: The Possibilities of Talking With Other Species"は1978年の刊行であるので時代を意識する必要があるときは78年の方に脳内時計を合わせ...
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ガイア教の天使クジラ25 ガイア教史上最重要人物ジョン・カニンガム・リリー

【第24回】 【目次】 【第26回】  さて第2ラウンド開始である。これから4人のガイア教徒と対決していただくが、今度の相手はこれまでと違ってプロである。  みな名だたる大学の博士であったり、権威的な科学者であったり、立派な団体の職員であったりする。みな実際に社会におけるイルカ・クジラのイメージを変えたり、反捕鯨運動に重要な役割を果たした人物ばかりである。  彼らは、ガイア教のほんの上っ面を撫でた...
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ガイア教の天使クジラ24 1950年代後半から1960年代の社会・思想状況の概観

【第23回】 【目次】 【第25回】  さて、約500年間の脳内時間旅行を終え、現代に帰ってきた。今は1950年代後半から1960年代である。特に60年代は、各リンク先まで行かなくてもいいのでページ全体に目を通してもらいたい。  見ての通り、ここから先は全てたかだか5,60年前の話であり、読者の中に当時十分に物心ついていた人間がいても少しもおかしくない時代である。もはや現代と言っても過言ではないだ...
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ガイア教の天使クジラ23 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 4/4

【第22回】 【目次】 【第24回】  スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』の読み合わせも今回で最後である。 女性の脳  「劣等」グループは生物学的決定論という一般理論では相互に代替性がある。劣等グループは連続的に並置されており、一つのグループは他のすべての代表として利用される――このための一般的前提としては、社会は自然の摂理に従い、社会階級は生得的価値を反映しているという考えがあ...
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ガイア教の天使クジラ20 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 1/4

【第19回】 【目次】 【第21回】  キリスト教を中核とする中世の安定した世界観は、科学の勃興によって大きく揺さぶられることになった。  とりわけ、人間が神によって特別に創造されたものではなく、猿から*1進化したことを意味する進化論は、倫理と社会を決定的に破壊するものとして激しい反発を受けた。  ローマ法王ですら進化論をただの仮説を超えていると認めざるをえない現代でも、まだアメリカのプロテスタン...
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ガイア教の天使クジラ19 人種差別と反捕鯨の関係は複雑で、一言で済むような簡単な答えはない

【第18回】 【目次】 【第20回】  次の脳内時間旅行の行き先は約150年前から約50年前までの約百年間、2番目の存在の大いなる連鎖の時代である。  象徴的な出来事としては、ちょうど『種の起源』の刊行から、第二次世界大戦の終わりぐらいまでの期間にあたり、その主要なテーマは人種差別である。  しかし、人種差別というとりわけセンシティブな話題を扱うに当たって、まずよくある誤解を解いておかなければなら...