最近読んだり見たりしたもの、またはずっと紹介したいと思っていたものの中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『GIRL FRIENDS』★★
みやきち先生のところで知ってレンタルした百合漫画。最初、絵が合わないと思って投げかけたが、ゆっくり読んだらちゃんと面白かった。
『新訂第4版 安全保障学入門』★
防衛大学校安全保障学研究会著。まあ、以上でも以下でもなく教科書。
『年金は本当にもらえるのか?』★★★
鈴木亘著。わかりやすい。要するに賦課方式で少子高齢化する限り、なるようにしかなりまへんということ。
『異議あり!「奇跡の詩人」』★★★
滝本太郎著、石井謙一郎著。今更という気もするが、普通にいい。
『暗殺国家ロシア―消されたジャーナリストを追う』★
福田ますみ著。全編いわゆるおそロシアの話。
『人間とはなにか』★
J.B.S.ホールデン著。原題”What is Life?”(『生命とはなにか』)。1947年という古さ。科学的知見に関しては、今日視点でも十分まともで面白いだけに、ソビエト型共産主義の勝利を確信しているところがギャップで笑える。
『ヒトの変異―人体の遺伝的多様性について』★★★★
アルマン・マリー・ルロワ著。いわゆる奇形について、その歴史から遺伝・発生の話まで詳しく。とっつきやすいとは言えないが、かなりよい。
『挑戦者たち―未知なる水中洞窟に挑む』★
ロバート・F・バージェス著。水中洞窟を探検するケイブ・ダイビングの話。こわすぐる。私だったらいくら学術的に興味深くても絶対やりたくねえ。
おまけ
「営業のテーマ(仮)」がBGMとして良すぎる件。
by 木戸孝紀
tags:コミック 経済 書評 政治
かなりよかったと思う。
アフリカの現状やそれを変えるための方法についての本はいくつか紹介してきたが、それらのエッセンスを集めて、読みやすく詰め込んだような印象。
アフリカ関係で読み始める最初の一冊として最適と思われる。
関連書籍
おまけ
by 木戸孝紀
tags:アフリカ 経済 書評 政治
という某氏のつぶやきから思い出した話。
むかし星新一で、一行で要約するなら、
- 悲しい歌を作らせて鑑賞するためだけに虐げられている星
というショートショートがあって、ずいぶん長い間悩んだ記憶がある。
悲惨とか不正からしか生まれ得ない芸術というものはあるのか? あるとしたらそれを求めるべきなのか? あるいはそれを求めることは許容されるのか?
現時点での私の答えは
というものだ。
芸術は基本的に無駄・余裕・多様さの誇示であり不幸や悲惨は常に、相対的には不足で単純なものだから、「現実の」悲惨や不正のみからしか生まれえない芸術というものは、おそらく、ない。
誰かが指摘していたことだが『アンクル・トムの小屋』を書いたのは小柄な白人女性なのだ。虐げられている黒人奴隷ではなく。
おまけ
TASさんて絵もうまいんですね(棒読み)。
by 木戸孝紀
tags:ショートショート 経済 芸術 人間 星新一
最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『マネーの進化史』★
ニーアル・ファーガソン著。金融史本。地味だが悪くない。
『IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実』★
村上宣寛著。知能テストの話。面白いかというといまいちだが、いまだにIQテストを真面目に受け取りすぎてる人は多いので一応。読める人は『人間の測りまちがい』を読めばいいと思う。
『生命と非生命のあいだ―NASAの地球外生命研究』★
ピーター D.ウォード著。以前『恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた』から作者つながりで借りたが、やや散漫な印象だったので紹介はしなかったもの。例の砒素生物の件――ちょっと雲行き怪しそうだけど――の件で思い出したので一応紹介しておく。
『日本はなぜ貧しい人が多いのか 「意外な事実」の経済学』★
原田泰著。著者独自の見解には疑問もあるけど、ありがちな通説に対抗するという意味では価値はあると思う。
『現役・三井不動産グループ社員が書いた! 「ダメマンション」を買ってはいけない』★
藤沢侑著。新築マンション買う予定なんぞまったくないけど、覚えておこう。
『さらば悲しみの性 高校生の性を考える』★★★
河野美代子著。河野美代子のいろいろダイアリーの人の本。サイト同様内容はいいけど、実際に必要としている中高生の読者の手には届きにくいかも。親とか教師とか大人に期待。
『アメリカ口語教本 (入門用)』★★
W.L.クラーク著。大昔に買っておいたものだけど、『英語上達完全マップ』でいう音読パッケージの教材として使用。「テレビは社会を破壊すると思います」とか主張する人の例文があって歴史を感じる。テレビが目新しい技術だったのだ。
『今この世界を生きているあなたのためのサイエンス』★
リチャード・A・ムラー著。原題”Physics for Future President”(未来の大統領のための物理学)の方が内容に近い。内容はどちらかというと初歩的だけど、911は米国政府の陰謀でもうすぐ石油枯渇で世界は混沌としテロリストが核爆弾テロを起こすんだぜ、とか思っている人に最適。
おまけ
これが笑える程度の知識があるなら無用かも。
by 木戸孝紀
tags:経済 社会 書評 物理
企業同士における「競争力」という概念を国家同士に適用して、どちらかが勝てばどちらかが負けるかのようにとらえることには問題が多い、という話がメイン。
初版が1997年らしく、確かにやや昔の話が多いと思ったが、割と良い本だと思われる。
本題ではないが、印象に残ったところを一箇所だけ引用。
そこで、こう考えることもできる。将来、税理関係の弁護士の多くが、エキスパート・システム・ソフトに取って代わられることはあるかもしれない。それでも、人間でなくてはできない仕事、しかも賃金の高い仕事はまだ残っている。庭の手入れ、家の掃除など、ほんとうにむずかしい仕事は、たくさん残っているはずだ。消費財価格が着実に低下し、こうしたサービスが家計支出に占める割合はますます大きくなっていく。ここ二〇年間、優遇されてきた高度な専門能力を必要とする職業が、一九世紀はじめの機織りとおなじ道をたどることになるかもしれない。機織りも、糸紡ぎの機械化にともなって所得が急増したが、やがて、産業革命の波が自分たちの職種に及んで没落した。
したがって、現在のように所得格差が拡大し、ふつうの仕事の価値が下がる現象は、一時的なものに終わるとわたしは考えている。むしろ、長い目で見れば、形勢が逆転することになるだろう。不自然だからこそ希少価値のあった特殊な仕事は、ほとんどがコンピューターによって取って代わられるか、簡単になる。しかし、だれにでもできる仕事はまだ、機械が代わりをすることはできないだろう。つまり、いまの不平等な時代が過ぎ去り、輝かしい平等の時代が訪れることになるだろう。もちろん、さらに長い目で見れば、人間のすることを機械がすべてこなせるようになる。しかし、そのころには、この問題を考えるのも機械の仕事になっている。
おまけ
本当にそうなるかな。
by 木戸孝紀
tags:ポール・クルーグマン 経済 社会 書評
現実の歴史で1820年ごろ以降に初めて見られたような、継続的かつ急速な経済成長には、
- 私有財産制
- 科学的合理主義
- 資本市場
- 輸送・通信手段
の4条件が全て揃う必要があるという話。同著者の『華麗なる交易』と合わせ、
が面白いと思った人が、次に読むのに最適。
参考リンク
おまけ
おまけ
by 木戸孝紀
tags:経済 書評 政治 歴史
最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』★
まあ言いたいことはわかるし総論賛成なんだけど、どうもこの話は「どこでもドアという発明を軌道エレベータの建設にどう生かすべきか?」と一生懸命考えてる、みたいな倒錯感がぬぐえない。機会があればもうちょっと詳しくやりたいが。
『生命の数理』★★★
巌佐庸著。全くの初心者にはちょっと難しめだけど、生物と数学どちらも好きな人には天国。
『心の仕組み~人間関係にどう関わるか』★★★★★
スティーブン・ピンカー著。ピンカーの本はどれもいいけど最初におすすめなのはこれ。今ではいくつか気になる部分はあるけど、全体としては圧倒的に面白くてためになる。
『数学の秘密の本棚』★★★★★
イアン・スチュアート著。こ、こりゃすげえ。数学ネタ集では間違いなくオールタイムベスト級。全国の小中学校の図書館に置くべき。絶対国レベルで数学力上がるよ。逆にこれ読ませても好きにならないようなら、元から向いてないのであきらめて他を目指させよう。
『マンキュー経済学』★★★★★
N.グレゴリー・マンキュー著。いい教科書だあな。こういうわかりやすくて面白いのをもっと昔に読めてたら経済学が苦手分野にならずに済んだかもしれんのに。
『フォニックス“発音”トレーニングBook』★
ジュミック今井著。綴りと発音のルールがメイン。発音そのものは『英語耳』の方がわかりやすかった。『英語耳』より先にやってしまったが、後の方が順番的にはよさそう。
『東方香霖堂 ~Curiosities of Lotus Asia.』★★★
ZUN著。これは求聞史紀や文花帖同様、初心者にもおすすめできると思う。無論東方自体が好きなのは前提だけど。
おまけ
by 木戸孝紀
tags:英語 経済 書評 数学 生物 東方
ベーシック・インカムの話は最近よく聞くが、ほとんど聞き流していた。本としてはこれが最初。私の第1感は「理念は素晴らしいかもしれんがなんかおかしい」というものだ。
「働かざる者食うべからず」という考え方を批判する時は、働かずに食っている金持ちの家に生まれた人間のことにちゃんと言及しているのに、働くことへのインセンティブを削ぐのではないかという疑問には、
ベーシック・インカムに対する答えられるべき疑問として、無条件の所得給付は労働意欲を減退させるのではないか、という疑問をあげ、フロムは以下のように回答する。現行の世の中の仕組みは、飢餓への恐怖を煽って(一部のお金持ちを除き)「強制労働」に従事させるシステムである。こうした状況下では、人間は仕事から逃れようとしがちである。しかし一度仕事への強制や脅迫がなくなれば、「何もしないことを望むのは少数の病人だけになるだろう」という。働くことよりも怠惰を好む精神は、強制労働社会が生み出した「状態の病理」だとされる。
というような説を持ち出してあっさり片付けてしまうというのは一体どういうことだろう。ブルジョアジーとプロレタリアートで違う生物種だっつーのならともかく、普通の人だって働かずに食えたら働かずに食いたいだろ常考。
それにしてもエーリッヒ・フロムともあろう者がこんなアホなことを言ってるなんて知らなかった。働くことよりも怠惰を好むのが病理だって? とんでもない。自然界に「勤勉な動物」はいない。むしろ勤勉の方が人類の特殊な生態と文化が合わさって作りだした異常な精神状態だ。
こんな話がまかり通ってしまうのは、こうしたことを議論する学者が、説明する必要のない理由により、みんな生来勤勉な人ばかりだからだろう。
もう一点。結論から仮定して、ベーシック・インカムはよい制度だったとしよう。つまり、導入された結果、社会は正味で良くなったとする。
それはすなわち、ベーシック・インカムに置き換えられ廃止される、生活保護・介護その他各種セーフティネットのケースワーカー、税金や年金を課したり徴集したりあるいは還付したりしている官吏(中略)エトセトラエトセトラ、これら莫大な数の人々が、世の中を良くしようとして行っている膨大な仕事・努力・労力の総和が、社会に正味でマイナスの影響しかもたらしていなかったということだ。何も考えずに単に頭数で割って配ることに比べて!!
……この結論はあまりにもおかしすぎる。
経済は大の苦手分野だし、考えたのも初めてだから、ベーシック・インカムそのものについて結論めいたことを言う気はまだないが、この本の内容がタイトルに相応しいものだというのなら、少なくとも誰か人柱(国柱?)の結果を見た後でなければ、導入には賛成できそうにないな。
おまけ
これよりはありうるかもね。
by 木戸孝紀
tags:ベーシック・インカム 経済 社会 書評 政治