考古

科学技術哲学

リチャード・ランガム『火の賜物―ヒトは料理で進化した』

イントロダクション 料理にまつわる仮説 第1章 生食主義者の研究 第2章 料理と体 第3章 料理のエネルギー理論 第4章 料理の始まり 第5章 脳と食物 第6章 いかに料理が人を解放するか 第7章 料理と結婚 第8章 料理と旅 エピローグ 料理と知識説  中国神話の燧人(すいじん)氏は、人に初めての「火食」を、つまり、木をこすり合わせて火をおこし、食物を加熱することによって、生臭さを除き食中毒を防...
科学技術哲学

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』

Passion For The Future: 神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡  事前の情報からは明らかに期待できない内容なのだが、『神は妄想である』の中でドーキンスの兄貴が、 この本はタイトルからうかがえる通り、奇妙な本である。まったくのトンデモ本か本物の天才の傑作であるかのどちらかで、中間では絶対ない! おそらく前者だろうが、賭けるのはやめておこう。  とか書いてたから、一応目は通しておか...
科学技術哲学

ジョー・マーチャント『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』

オーパーツはアニメ・コミック・映画の世界ではよく出てくるが、残念ながら現実ではどれも捏造か勘違いだ。ほぼ唯一の例外が、紀元前の沈没船から発見されたこれ。    アンティキティラ島の機械と呼ばれる、高度な機械仕掛けの時計のように見えるもの。どう考えても一般に知られている機械式時計の発明よりも1400年は早い。    アーサー・C・クラークは「この知識が継承されていたなら、産業革命は1000年以上早ま...
科学技術哲学

ウィリアム・ブライアント・ローガン『ドングリと文明 偉大な木が創った1万5000年の人類史』

これはなかなか面白い。 農業文明前史の仮説としての価値がどのくらいあるのかはまだ判断がつかないが、あってもおかしくなさそうな話だし、単純にオークにまつわる雑学を眺めているだけでも楽しい。おすすめ。解説より。  狩猟採集から、大文字で書く「農業革命」を経て、農業文明、そして産業文明へという常識ではなく、狩猟採集から、大文字で書かれるべき「ドングリ文化」をへて、農業そして産業文明へ、という、もう一つの...
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デニス・シュマント=ベッセラ『文字はこうして生まれた』

文字から計算が生まれたのではなく計算から文字が生まれた。文字に繋がる抽象化にまつわる最も古い遺物は一定間隔で刻み目の入った骨。数えていたものはおそらく日数。 家畜を管理するために、一頭囲いから出すごとに一つ小石や小枝を拾い、一頭囲いに戻すたびに一つ落とす、といったことをしていた時期があったはず。*1 シュメールの遺跡では粘土で作られた様々な形のトークンが出土する。農耕の始まりと定住生活によって増え...