2006 4/25

内容とは無関係です(笑)。

4/24 プレミアム10「サイボーグの衝撃」立花隆が探る・SFの世界が現実に▽機械の体▽脳とロボットが直結▽兵器を脳で操る▽“攻殻機動隊”監督が未来を予言▽テレパシー・記憶の操作そのとき“心”は

 久々にテレビを観た。立花隆も歳取ったなー。攻殻機動隊とかマトリックスでお馴染みの体にプラグがついててコンピューターと直結してる人間がすでに実用化している。

 ニュースなどで知ってはいても実際に頭にプラグ突っ込んでる場面を映像で見せられるとやはりワクワクする。
 
 パワードスーツとか快楽中枢を電気で刺激して操るロボマウスとかまではまあ予想の範囲内だったが、海馬チップにはびびった。

 実際にどの程度の性能なのかは言及してなかったので、おそらくまだ「そうだと言っても全くの嘘とは言い切れませんよね?」というぐらいの性能なのだとは思うが、完全にSFの世界の産物だと思っていた脳チップがいきなり実物として現れたのはかなりの驚きだった。(そういや今ノヴァ教授どうなってるんだろ。)

 全体的にはとても面白かった。しかしいつも思うのだがどうしてこういう番組は決まって心理学者とか社会学者の毒にも薬にもならぬような発言で締めにしたがるのだろう……。

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2005 12/15

電光掲示板

 「自分に見えているこの世は全て自分の脳が作り出した幻なのではないか?」というのは、わりとポピュラーな疑問なのではないか。「そんなこと考えたこともない」という素直な人でも比較的簡単に引き込むことができるお気に入りの例を紹介しよう。

 最初に言っておくが、リアルで同じ話を何人かに振ってみた経験によると、人によってはかなりショックを受ける。もちろん全然平気な人も多いが。

 この先を読むなら覚悟を決めて下さい。いいですね? 後悔しませんね? 本当にいいんですね? ……と言ってもすでにタイトルに書いてしまっているから無駄か(爆)。

 写真のような電光掲示板を見たことがないという人はおそらくいないと思う。その仕組みを理解していない人もまたいないと思う。並んで固定されたランプを次々と付けたり消したりすることで文字が動く。

 ここまでは問題ないはずだ。問題は「いつ」動いているのか? である。

 簡単にするために、いまあなたが見ている電光掲示板は、点灯しているのが中心のランプA1個だけだとし、その右隣のランプをランプBとしよう。ここでランプAが消えBが点灯すると、あなたは光がAの位置からBの位置へ、つまり左から右へ動いたのを見る。

 しかしあなたがエスパーでなければ、ランプBがランプAの上でも下でも左でもなく「右」だということは、ランプAが消えランプBが付いた状態を見るまでは知り得ないことである。

 だったら光が動いたのは「いつ」なのか? あなたが左から右へ動いた光を見ているのは「いつ」なのか?

 ……さあどうでしょう。さっそく後悔しちゃってる方いませんか?

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2005 11/29

メラ

 商品の値段がしばしば99や980などで終わることはよく知っておられると思う。これは言うまでもなく我々が数字の表記法として位取り記数法を用いているために起きる現象である。

 上の桁は下の桁より常に10倍も重要なので、まず上の桁に注目する習慣が完全に定着しているのだ。そのため99円100円よりも1円以上、1980円2000円よりも20円以上、安い印象を与えることができるのだ。

 位取り記法については単独でもっと書きたいことがあるのだが本筋から外れるのでここで置いておく。今回の本題は同じ原理がゲームに応用可能であるということである。例とするにふさわしい題材として選んだのがメラだ。

 『ドラゴンクエスト3』で初登場したおなじみのメラの呪文のダメージは約10である。それにはちゃんとした理由がある。結論から言うと「プレイヤーが初めて見る2ケタのダメージにするため」であり、その目的は

 呪文の通常攻撃との差を印象づけるため

 である。ドラクエ3の冒険がスタートした時点で標準的なパーティーの攻撃手段は通常攻撃とメラの呪文のみである。そして通常攻撃のダメージは戦士でも必ず1ケタで10以上にならないようになっている。*1

 初めて攻撃呪文を使うプレイヤーは、メラの呪文によって初めて2ケタに達するダメージを眼にし、呪文に通常とは質的に違った攻撃をする力があることを学ぶのである。

 もしメラの平均ダメージが同じでも最大が9だったらどうか?

 メラの威力はレベル3程度の戦士・勇者の通常攻撃とほとんど差がない。スタート当初は魔法使いのMPも低い。魔法使いがいずれグループ攻撃魔法・全体攻撃魔法・補助魔法を使えるようになることを知らないRPG初心者プレイヤーは「なんだ魔法使いってよえーじゃん」と言って、魔法使いを外して代わりに商人などを入れてしまうかもしれない。

 そうなったら苦戦は必至である。メラのダメージが10に設定されているのはそのような錯誤を防ぐための制作者からのメッセージなのである。

 こじつけと思うだろうか? メラの上位呪文メラミの威力は約80である。この数値にもちゃんと意味がある。メラミの消費MPは6で、同じ消費MPの魔法使い系攻撃呪文はあと2つ存在する。表にしてみよう。

呪文 威力 消費MP 対象
メラミ 80 単体
ベギラマ 35 グループ
ヒャダルコ 50 グループ

 それぞれ習得レベルが異なるという差はあるものの、他の2種が一度に3,4体でも攻撃できるグループ攻撃呪文であることを考えれば、メラミは明らかに弱すぎる。

 普通に考えると100ポイントぐらいにしたいところである。なぜそうしなかったのだろう? ここで魔法使い系上位攻撃呪文の威力一覧表を見てみよう。

呪文 威力 消費MP 対象
メラゾーマ 180 12 単体
ベギラゴン 100 12 グループ
マヒャド 100 12 グループ
イオナズン 140 18 全体

 そろそろ勘のよい読者はわかってきたのではあるまいか。そう、メラミの威力が80に留まっているのは「3ケタのダメージを出させないため」であり、その目的は

 3ケタのダメージを叩き出せる呪文を最上位呪文に限定することによってその強力さを際立たせるため

 である。さらに、上の表を見てメラゾーマにもメラミと全く同じことが言えるのに気がついただろうか? 

 同じ消費MPなのに半分以上の威力でグループを攻撃できるベギラゴン・マヒャド、消費MPは高くてもほそれほど変わらない威力で全体を攻撃できるイオナズンと比べてどう考えても弱い。

 なぜ180しか威力がないのか? せめて200はあってもいいのではないか? その理由はもう予想できるだろう。

呪文 威力 消費MP 対象
ギガデイン 200 30 全体

 そう、メラゾーマのダメージが180なのは「100の位で2を越えさせないため」であり、それは、

 勇者専用呪文ギガデインの最強性を際立たせ、勇者のキャラを立てるため

 である。このようにドラクエにはプレイしていても容易には気づかないような形でプレイヤーを心理的に誘導する仕掛けがいたるところに施されているのである。次回は応用編。私が実際にゲーム製作にどう応用したかを紹介しよう。

おまけ

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2004 9/13

(本文とは無関係)

 陰謀論と呼ばれる考え方がある。『アポロ11号は月に行っていない』とか『911はブッシュ政権の自作自演である』とか、傍目には荒唐無稽な議論を信じたがり、いくらでもある反対の論拠には全く耳を貸さない。

 それを非難したいわけではない。夏や冬があるのは太陽が離れたり近づいたりするからだと信じている人も大勢いる。逆に地球の公転や地軸の傾きに独力で気づける人もいない。無知は程度の問題であるし、他人に被害を及ぼすほどでなければ何を信じるのも勝手である。面白いのはその心理的メカニズムである。

 陰謀論者の確信を支える土台は、世界は合理的・合目的的に動いているという強い信念である。たとえばブッシュ大統領の一挙手一投足は、全て陰謀の証拠であるか、陰謀を達成する目的を持った行動であるか、そのどちらかでないと気が済まない。自分の昨日の行動がどれほど合理的で無駄がなかったかを考えれば、そんなことがあり得ないのはわかりそうなものであるが、彼らは気まぐれや事故、たまたまといったことを考慮に入れないのである。

 陰謀論者の信念がそれほど強いのは、本能に裏打ちされているからである。脳は世界の規則性・法則性と、他者の意志・目的を見つけだすことに強い意欲を持ち、逆に規則性が見つかなかったり目的がわからないことに対して不安や恐怖を感じるよう進化してきた。

 予測不能な危険を避け、確実に利益を得て、生き残り子孫を残し、存在し続けることに役立つからである。そして多くの場合、実際に役に立っている。我々が赤信号と車の動きの関係を理解し安全な交通ができるのも、周りの人間とスムースな意志の疎通ができるのも、そうして進化してきた脳の働きのおかげである。

 しかし高度に進化した脳は必然的に副作用も生じる。実際には存在しない規則性、いわゆる迷信・ジンクスを誤って認識してしまうことだ。これは人間に限ったことではない(『鳩の迷信』実験はユニークで有名)。さらに人間は、不安を軽減するためだけに意図的に迷信を強化することさえ行う。

 自分の運命が無目的で予測のつかないカオスと偶然に支配されていることが不安で仕方がないからだ。神、金星人、ナチスの残党、ユダヤの長老、ガイアの意志、何でもよい、とにかく何らかの目的に基づいて動いていると考える方が安心できるのである。目的があれば予測もでき、対策も可能だからだ。

 大雨・雷・噴火・地震はいつ来るかわからない脅威で、不安である。しかしそれが神の怒りなら、祈りや踊りや生贄によって怒りを解けば避けられるかもしれないではないか。その方が安心である。死が怖ろしいのも『その後』が全く予測不能だからだ。天国はもちろん地獄でも予測不能よりましなのだ。だから何らかの形で死後を描かない宗教はない。

 テロがイスラム原理主義者の犯行であると考えるよりはブッシュ政権の陰謀だと考える方がより安心である。なぜなら、大抵の陰謀論者にとってビンラディンは遠い存在で、イスラム原理主義の教義は理解不能であるが、ブッシュ大統領は身近で、石油・軍需利権は理解可能である。

 被害者は無差別に殺されたと考えるよりはCIAによって隠されたと考える方が、自分に降りかかる不安を軽減できる。大抵の陰謀論者は、何の陰謀にも関わっていないし、アメリカ政府と敵対してもいないからである。つまるところ現代ではもはや信じにくい天の神様の代わりにアメリカ大統領が座ったのである。陰謀論は現代の宗教なのだ。

おまけ

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