ジェイムズ・P・ホーガン『巨人たちの星』

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

 ガイア教の天使クジラで使おうかと思ってメモしたが割愛された部分。ただ削除して熱にしてしまうのはもったいないので関連エントリとして公開しておこう。

 1981年のSF小説。本筋とは特に関係のない半ページほどの挿話にすぎないが、水生類人猿説が事実だったことになっている。

 ところが、映像で再現されたミネルヴァの歴史には、地球の人類学者がかつて想像もしなかったようなくだりがあった。初期の類人猿は陸上の肉食動物から身を守る術を持たず、それがために、一時期浅い水中に帰ったのである。かくて、類人猿はクジラをはじめとする水生哺乳動物と同じ道を辿りはじめたが、知性が発達して身を守る術を獲得するに至って再び陸に揚がった。まだ肉体的な適応を示す際立った変化が生じる前のことである。これによって、この時期の類人猿が直立歩行し、体毛を持たず、拇指と人差し指の間の水掻きも未発達であるわけがわかる。他にも、涙腺の塩分濾過機能のように、地球の学者たちの間で論議の種とされて来た顕著な特色がいくつかあったが、それらはいずれも、類人猿が短期の水中生活で陸に戻ったことで説明が付く。

 本筋と関係が薄いとはいうものの、その他の部分では進化論の正しい理解がプロットの主要部分を成しているシリーズだけに、大変残念であることには変わりない。

おまけ

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