2018 5/16

 普段ごく普通の運動靴しか履いていないはずなのに、右足親指付け根に外反母趾的な痛みが出てきた。

 何かと思ってちょっと調べたら、靴が合わない以外にも、足指を使っていないのが原因になり得るらしい。で、これには心当たりがある。

 ひとりで歩くときには、スマホを見たり本を読んでいたり、同行者がいるときも主に妻子に歩行速度を合わせていたり、ベビーカーを押していたりする。

 とにかく常にゆっくり歩いていて、ぺたぺた、とぼとぼ、という歩き方になっている。かかとから着地して足指で蹴り出す、という通常の歩き方をしていない。

 とりあえず通勤の行き帰りは、ながら歩き厳禁にしてきびきび歩くようにして、足指でグーチョキパーするなどの運動をして、改善するか試してみよう。

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2018 4/22

『Goならわかるシステムプログラミング』★

 渋川よしき著。最初の一冊には向かないけど、いい。

『消費資本主義!: 見せびらかしの進化心理学』★★★★★

 ジェフリー・ミラー著。素晴らしい。shorebird先生のところで大まかな内容を知っていたにも関わらず詳細も大変面白かった。

『気づきのセラピー―はじめてのゲシュタルト療法』★

 百武正嗣著。『キレる私をやめたい』で知った。若干スピリチュアルというかオカルティックな領域に踏み込んでるような気もして100%首肯はできないが、面白い。

 私にはこれも自己欺瞞の話に見えてくる。自己欺瞞という概念が確立していない時代から経験的に積み重ねられた、自己欺瞞を脱するためのテクニック集、というか。

『夫に死んでほしい妻たち』★

 小林美希著。夫婦で読んだ。

『かさぶたくん』★★★★★

 やぎゅう げんいちろう著。子供がなぜか無茶苦茶ハマって一ヶ月近く毎晩読んでた。

『おへそのひみつ』★★★

 やぎゅう げんいちろう著。こっちもかなり。

『文明の接近』★★★

 エマニュエル・トッド著。識字率やその他のデータから判断すれば、イスラム特殊論には根拠がないという話。なかなか面白い。ビント・アンム婚という概念を初めて知った。

『帝国以後 〔アメリカ・システムの崩壊〕』★

 エマニュエル・トッド著。こちらもそれなりに。アメリカに悲観的すぎ中国やロシアに甘すぎるように思えるが、フランスの左派としては普通なのか。

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2018 3/9

『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』★

 ピーター・ティール著、ブレイク・マスターズ著。ちょっと面白い。

『外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD』★★

 フレッド・ピアス著。前から興味ある人にとっては当たり前というか、もはや藁人形叩きの領域に達しているところもあると思われるが、基本いいと思う。

『経済学をまる裸にする 本当はこんなに面白い』★★★★

 チャールズ・ウィーラン著。原著は2002年と大分前のもののようだが、それだけに奇をてらってなくて、普通に良い経済学啓蒙書。

『命の価値: 規制国家に人間味を』★

 キャス・サンスティーン著。悪くはないけど『シンプルな政府』とかなり重複。普通はそちらだけでいいかも。

『幸福の「資本」論―――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』★

 橘玲著。売らんかなで煽り気味だったり、ややいい加減だったりするところも目立つが、ひとつの観点として見ておいてもいいのでは。

『完全無欠の賭け―科学がギャンブルを征服する』★★★

 アダム・クチャルスキー著。ギャンブルの歴史系の本ではもっといい本もあった気がするが、比較的最新の話題も載っているのが良い。

『UNIXという考え方―その設計思想と哲学』★★★

 Mike Gancarz著。2001年の本。そこそこ有名なはずだけどなぜか読んでなかった。流石に今改めてこれはというものはないけど、哲学というだけあって時の流れに耐える普遍的な内容。もっと早く読んでおけばよかった。

『数字の国のミステリー』★★★

 マーカス デュ・ソートイ著。こちらは普通に数学啓蒙書。かなり良いと思う。

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2018 2/1

『ビジュアル 数学全史――人類誕生前から多次元宇宙まで』★

 クリフォード・ピックオーバー著。「ビジュアル」に関してはもちろんおまけ程度だけど、数学ネタ集としては十分いい。

『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』★★

 エリック・バーカー著。原題”BARKING UP THE WRONG TREE The Surprising Science Behind Why Everything You Know About Success Is (Mostly) Wrong”。邦題は変。エビデンス重視を標榜するものの、単なる自己啓発書まとめにしか見えない。内容がおかしいとは思わないが。

『脳の意識機械の意識』★

 渡辺正峰著。学説史や実験の詳細は面白かったけど。「意識を生みうる最小限の神経系」を特定しようというアプローチは、無意味とは言わないが、なんか違う気がする。そんなの瞬間ごとに違うに決まってるじゃん、と思ってしまうのだが。

『セレンゲティ・ルール――生命はいかに調節されるか』★★

 ショーン・B. キャロル著。まあまあ面白い。内容はshorebird先生にお任せ。

『人類はなぜ肉食をやめられないのか: 250万年の愛と妄想のはてに』★★

 マルタ・ザラスカ著。タイトル通り、菜食主義が正しいという確固たる立場だが、面白いことに最低限の理性はちゃんと保っているように見える。自分は、もはや極限のバイアスをかけても「環境にいいですよ」(せやな)ぐらいしか言えることはないのか、と逆説的に読んだ。

『ZERO BUGS シリコンバレープログラマの教え』★

 ケイト・トンプソン著。プログラマとしてはちゃんと役に立つ話もあるが、ちょっと凝り過ぎというか衒学的というか、肌に合わない感覚も。また、内容以外の部分、装丁・デザイン・翻訳もろもろがいまいち。

『モンテ・クリスト伯爵』★★★

 森山絵凪著。アレクサンドル・デュマ原作。は? いわゆる『巌窟王』のこと? マンガで全一巻? なんかのギャグ? ……いや待て普通にちゃんと全部入ってる(少なくともそう思わせる)しちゃんと面白いじゃねえか! なんだこれ!?

『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』★

 グレアム・アリソン著。とても重要な話題ではあるけど、過去についてはアネクドータルだし、未来については中学生でも言えそうなことしか言ってないし、微妙。自分には(米国視点で)やや悲観的すぎるように思える。

『娘が可愛すぎるんじゃ〜!』★★

 きくまき著。本当に同じぐらいの子供がいて、リアルタイムで苦労している人が読むより、イヤイヤ期ぐらいは終わったぐらいの人が振り返って読むといいかも。

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2018 1/14

 発表後即申し込んで、しばらく待たされたが、やっと招待が来て購入。

 音楽・ニュース・天気予報はほぼ毎日使っている。一番すごいのは家族も初日からいきなりちゃんと使えているということ。未来感ある。

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2018 1/4

 ほとんど見てない……。Factorioなど意識的に見たものもなくはないけど、RSSリーダーなどで引っかかったものをマイリストに入れてそのままというものの方が多い。わざわざニコ動見に行くことがほぼないし、いよいよ本当にオワコン(死語)か。

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by 木戸孝紀

2018 1/3

『女と男のだましあい―ヒトの性行動の進化』★★★★★

 デヴィッド・M・バス著。とても良い。結構前に出てた本なのに知らなかったのは不覚。内容は例によってshorebird先生のところ参照。

『アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える』★

 アンドレアス・ワイガンド著。現在では特別目新しい話題はないけどビッグデータとか。

『家族をテロリストにしないために:イスラム系セクト感化防止センターの証言』★

 ドゥニア・ブザール著。わりと面白い。要するに昔(今もか)「カルト」と呼ばれていたものそのまんま。世界情勢は変わっても人間はそうそう変わらんということか。

『ジョン・ハンケ 世界をめぐる冒険 グーグルアースからイングレス、そしてポケモンGOへ』★

 ジョン・ハンケ著。ポケモンGOに興味ある人のみ。

『獣の奏者』★★★

 上橋菜穂子著。守り人シリーズから連続で。そちらほどではないけど十分面白い。著者も自覚しているようだけど、3巻以降はやっぱり蛇足な気がする。

『シンプルな政府:“規制”をいかにデザインするか』★★

 キャス・サンスティーン著。ナッジを政治に生かそうという話。アメリカで実際ここまで進んでいるとは知らなかった。日本ではどうなんだろう。

『人類進化の謎を解き明かす』★★★★★

 ロビン・ダンバー著。こりゃすごい。全部がこの通り正しくはないかもしれないけど、従来考えられてきたような様々な説が、ここまで定量的に判定できるようになってきているというだけで十分面白い。

『フェイクニュースの見分け方』★

 烏賀陽弘道著。まあ流行り物。良いと思う。

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2018 1/2

第44回】 【目次

 捕鯨あるいは鯨肉食を、人肉食・カニバリズムになぞらえて非難することが、しばしば行われる。

 このシリーズを書き始めてからの時期で、ある程度大きな話題になったものだけに限っても、少なくとも2回はあった。興味があって話題を追って来ている人なら憶えているはずだ。

 批判目的ではあっても直接リンクする機会を増やすべきものではないと思うし、内容そのものが興味深いわけではないため、ここには載せないが、かなりあからさまな人種差別に見える。

 私にもそう見える(のはわかる)し、捕鯨賛成・反対を問わず日本人の間では、これに関しては珍しく、意見の相違は存在しないように見える。

 この件についての捕鯨反対派の典型的な反応は、

  • もちろん良いことではないが、めったにないケースを針小棒大に取り上げて騒ぐのは日本・欧米双方の人種差別的な人々の思うつぼだ

 とか無理矢理どっちもどっち論に持ち込んでみたり*1

  • もちろん良いことではないが、それは捕鯨反対の欧米人の中でも、どちらかというと程度の低い人間だけがすることであり、一般化するのは不当である。

 と擁護したり*2

  • もちろん良いことではないが、日本政府や漁民の無法ぶりがそれほどひどいからだ。

 というような被害者非難に走ったり*3

 といった具合で、どれも批判者はもちろん言っている本人すら納得させられていなさそうな、お粗末なものばかりである。

 真正面から「良いことではない≒人種差別である」ということを否定した議論は、私は一度も見たことがない。事実上日本国内の言論ではほぼ完全に意見が一致しているように見える。

 だが、私はそれに異議を唱えたい。そして、完全に否定できるわけではないにしても、より建設的な新しい見方を提案したい。その見方とは、

  • 日常的に(?)カニバリズムと呼ばれる概念には、本来全く違う2つの側面があるのだが、日本人と欧米人は、どちらもそれぞれ別の理由で、その2つの区別がついていない。

 というもので、2つの側面というのはこうだ。

  • 霊長類ヒト科ホモサピエンスの肉を(虫より大きい*4動物が)食べること
  • 存在の大いなる連鎖・神の定めた偉さの序列・正しい宇宙の秩序に対する反逆

 前者は文字通りであるし、後者もシリーズを通して述べてきたことであるから、ここでこれ以上の説明は要らないであろう。

 「日本人」にこの2つの区別がつかない理由は簡単だ。前者しか知らないからだ。後者の存在を知らず、知らないということも知らないので、そんなものがあるかもしれないという考えすらも思い浮かぶことはない。

 だから、カニバリズムといえば、連想されるのは単に人食い、ロビンソン・クルーソーに出てくるような「文明的な西洋白人キリスト教徒」に対置される「神を知らない野蛮な人食い人種」の古いイメージしかない。

 であれば当然、たとえどのような理由であれ、日本人をそのように扱うのは、大変な人種差別であり、それをする人は時代錯誤の人種差別主義者ということになる。これ以外の解釈のしようはない。

 たとえ100%捕鯨が悪だと考えていても、たとえ日本人のうち捕鯨者・鯨肉食者しか非難していないとか言ってみても、この結論からは逃れられない。上で発言を例に挙げたような反捕鯨日本人は、実際にこの状態に陥っていると思われる。

 一方、自覚の程度はともかく、後者も知っているはずの「欧米人」にも、やはりこの2つの区別はついていない。その理由は、この2つが常に同じ結論をもたらし、区別する必要がないからだ。

 人間は実質最上位の存在であるので、どんな動物が人間を喰っても必ず序列破りであるし、人間より上位の天使と神は――実在しないということは言わないとしても――何かに食われるような肉体も持たなければ、人肉はもちろん何かを食う必要もない。

 「普通」の日常生活をたとえ百年、いや千年送ったとしても、この2つの違いが意味を持つ場面など、ただの一度も来ない。……そう、高知能説さえなければ!

 私の意見では、これは、第2の存在の大いなる連鎖の時代、ヒエラルキーの源泉が宗教的権威から知性≒科学に移り変わったときから、西洋哲学に組み込まれていたバグだ。

 しかし、長年誰も気づかなかった。人間より賢い動物が存在する――それも目に見えぬ霊的存在ではなく地上に肉体を持って――という特殊な条件下でしか表面化しないバグだからだ。これを見落としたからといって昔の人々を非難するのは酷だろう。*5

 意識しているか否かに関わらず、唯一神教的世界観と高知能説の影響下にある人間・社会にとっては、鯨肉食が後者の側面に抵触し、カニバリズムであるのは自明だ。

 にも関わらず、このカニバリズム呼ばわりがそう滅多には起きないという事実は、むしろ、ロビンソン・クルーソーばりの人食い人種イメージは人種差別であるという認識を「欧米人」も当然持っており、大半のケースでは、かなり効果的にそれを抑止している、ということを意味する。

 わずかであれなされるということに驚くべきではなく、これほど少ないということの方に驚くべきなのだ。

 もちろん、わずかでもそれをすり抜けるものがあるということが、差別でないと言えば嘘になるだろう。それを許してしまう人間が「程度が低い」というのも、反捕鯨の日本人が真っ先に直感しているように、おそらくは概ね事実だ。

 しかし、重要なのは、「日本人」「欧米人」両者の認識の齟齬を生んでいるのは、主にカニバリズムの後者の側面であって、人種差別に関する前者の側面は、むしろ両者で共通しており、それを抑止している側であるということだ。

*1:他の社会問題の文脈では、たった一度だけであっても絶対にありえないことなので、頻度の問題でない。
*2:この主張自体は、文脈と切り離して単独で文字通り見れば、概ね間違っていないと思われるので、余計にたちが悪い。
*3:他の社会問題だったら、絶対にしないどころか、するような人を烈火のごとく責め立てるような人々が言うので、とりわけ悲劇的である。
*4:この「大きい」も、物理的なサイズというより、何らかの抽象的なヒエラルキーの上下の問題な気がするが、まあ言いたいことは直感的にもわかるだろう。
*5:なんたって実際いないんだし……。

第44回】 【目次

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