2010 8/31

 10年8月のマイリスト。

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by 木戸孝紀 ブックマークに追加する

2010 8/25

(本文とは無関係)

 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。

 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。

『基礎から学ぶ楽しい疫学』★★★★★

 中村好一著。そのまんま教科書。真剣に勉強する気がある人にしかおすすめできないが、ある人には絶対おすすめ。

『ぼくの脳を返して~ロボトミー手術に翻弄されたある少年の物語~』★★

 ハワード・ダリー、チャールズ・フレミング著。ロボトミーの話はそこそこ興味があるつもりだったが、実際に自分がそれを受けたと証言できる状態の人がいるとは知らなかった。

『政治をするサル―チンパンジーの権力と性』★★

 フランス・ドゥ・ヴァール著。かなり昔にこの話題でもっと面白いのがあった気がするのだが、思い出せない。

『ドキュメント 戦争広告代理店』★★★★

 高木徹著。ちょっと前にあった2chのユーゴ紛争釣りカキコの件で思い出した。あの件では何か書こうかと思ったが、時期逃したし、もういいや。この本自体は絶対に押さえておいてほしい。

『カンブリア紀の怪物たち』★

 サイモン・コンウェイ・モリス著。『進化の運命』の予習として読み直した。これ自体はまあ普通。今の視点からすると問題は多くても、やっぱり『ワンダフル・ライフ』の方が面白いんだよね。

『Mad Science ―炎と煙と轟音の科学実験54』★

 セオドア・グレイ著。一言で言うと「イグノーベル高校化学資料集」みたいな感じ。定価で買うのは推奨できないけど、他に類を見ない本なので一見の価値はあると思う。図書館などでどうぞ。

『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』★★

 マルコム・グラッドウェル著。人間の直感的判断にまつわる話。ちょっと軽めか。これで興味が沸いたら、中で取り上げられている、横に並べたような本へ進むといいかも。

『進化のなぜを解明する』★★

 ジェリー・A・コイン著。ドーキンスの『進化の存在証明』と似た感じの位置づけ。個人的には先にドーキンスの本をオススメするけど。いくつか気になる間違いがあったが、まあ良書。詳しくは例によってshorebird氏のところを。

『ミラーニューロン』★

 ジャコモ ・リゾラッティ著、コラド・シニガリア著。監修に茂木健一郎とか入っているので不安になるが、まともな内容。ちょっと専門的な部分が多いので事前に何らかの予備知識があった方がいいと思う。……が、そのためにおすすめできそうなのが思いつかない。

『男の凶暴性はどこからきたか』★★★★★

 リチャード・ランガム著、デイル・ピーターソン著。『火の賜物』と同著者である関係で思い出した。進化と男女というテーマで興味がある人は『マザー・ネイチャー』とセットで見ておけばいいと思う。

おまけ

 リアルだと笑えん。いや、やっぱり笑える(笑)。

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2010 8/17

うみぬこEp7

 今回はラスト一つ手前で淡々と答え合わせをしなければならないためか、瞬間最大風速でEp3やEp6に匹敵するほどのものはなかった。もはや恒例となりつつある顔芸大会もなかったし。

 しかし、狂言回しの主人公コンビ(イトミミズ×絶壁さん)が予想に反してなかなか良キャラであったためか、総合的にはかなり面白かった。歴代最高クラスと言ってもいいと思う。

 特に、うまい用語が見つからないが、アップダウンのテンポというか全体のペース配分というか、そういうものがこれまでになくよかった。中だるみする・つまらない部分が少なく、それさえも、たるみ・つまらなさ自体が伏線となるように、ちゃんと考えられている。完璧に近かった。

 Ep8前に悟史の所在ぐらいしか不明点が残らなかったひぐらしの時と違って、いい具合に不明な部分も残ったので、ラストに期待大。

おまけ

 終わりよければ……。

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2010 8/13

(本文とは無関係)

  • 「お互い人間なんだから、話せばわかる」

 という考え方がある。

 一見、文句のつけようのない立派な考え方に見えるが、大きな問題がある。

 なぜか? 対偶を取ってみればわかる。

  • 「話してもわからない(≒自分に同意しない)やつは人間ではない」

 と言っているのと同じである。

 「話せばわかる」という信念は、自分が間違っている可能性を常に真剣に考える態度とセットでなければ危険である。

おまけ

 13日の金曜日→ジェイソン。

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2010 8/8

プログラミング in OCaml ~関数型プログラミングの基礎からGUI構築まで~

 OCamlの練習に、長年の疑問だった

  • 切符算で解がある全ての組み合わせ

 を求めようとしている。

 ただ、自分の知っているバージョンはローカルルール(?)があり、四則演算と括弧だけではなく、

  • 最初から存在する数字をくっつけて2〜4桁の数字にする

 という操作が可能である。意味があるのは2ケタだけだが。

 まだインチキしているのでコード公開できないけど、とりあえず答えは出たはず。これ合ってる?

0001 0011 0012 0013 0014 0015 0016 0017 0018 0019
0022 0023 0025 0028 0033 0034 0037 0044 0045 0046
0055 0056 0066 0067 0077 0078 0088 0089 0099 0111
0112 0115 0118 0119 0122 0123 0124 0125 0126 0127
0128 0129 0133 0134 0135 0136 0137 0138 0139 0144
0145 0146 0147 0149 0155 0156 0158 0159 0166 0167
0169 0177 0178 0179 0188 0189 0199 0223 0224 0225
0226 0227 0228 0229 0234 0235 0236 0237 0238 0239
0244 0245 0246 0247 0248 0249 0255 0256 0257 0258
0259 0266 0267 0268 0278 0279 0288 0289 0334 0336
0337 0339 0345 0346 0347 0349 0355 0356 0357 0358
0367 0368 0369 0377 0378 0379 0446 0448 0449 0455
0456 0457 0458 0459 0466 0467 0468 0469 0477 0488
0555 0556 0557 0558 0559 0568 0569 0578 0579 0589
0669 0679 0688 0779 0789 0889 0899 0999 1111 1112
1114 1115 1116 1117 1118 1119 1122 1123 1124 1125
1126 1127 1128 1129 1133 1134 1135 1136 1137 1138
1139 1144 1145 1146 1147 1148 1149 1155 1156 1157
1158 1159 1166 1167 1168 1177 1178 1188 1189 1199
1222 1223 1224 1225 1226 1227 1228 1229 1233 1234
1235 1236 1237 1238 1239 1244 1245 1246 1247 1248
1249 1255 1256 1257 1258 1259 1266 1267 1268 1269
1277 1278 1279 1288 1289 1299 1333 1334 1335 1336
1337 1338 1339 1344 1345 1346 1347 1348 1349 1355
1356 1357 1358 1359 1366 1367 1368 1369 1377 1378
1379 1388 1389 1444 1445 1446 1447 1448 1449 1455
1456 1457 1458 1459 1466 1467 1468 1469 1477 1478
1479 1488 1489 1555 1556 1557 1558 1559 1566 1567
1568 1569 1577 1578 1579 1588 1589 1599 1666 1668
1669 1678 1679 1688 1689 1777 1778 1779 1788 1789
1799 1888 1889 1899 1999 2222 2223 2224 2225 2226
2227 2228 2229 2233 2234 2235 2236 2237 2238 2239
2244 2245 2246 2247 2248 2249 2255 2256 2257 2258
2259 2266 2267 2268 2269 2277 2278 2279 2288 2289
2299 2333 2334 2335 2336 2337 2338 2339 2344 2345
2346 2347 2348 2349 2355 2356 2357 2358 2359 2366
2367 2368 2369 2377 2378 2379 2388 2389 2399 2444
2445 2446 2447 2448 2449 2455 2456 2457 2458 2459
2466 2467 2468 2469 2477 2478 2479 2488 2489 2499
2555 2556 2557 2558 2559 2566 2567 2568 2569 2577
2578 2579 2588 2589 2599 2666 2667 2668 2669 2677
2678 2679 2688 2689 2699 2777 2778 2779 2788 2789
2799 2888 2889 2899 2999 3333 3334 3335 3336 3337
3338 3339 3344 3345 3346 3347 3348 3349 3355 3356
3357 3358 3359 3366 3367 3368 3369 3377 3378 3379
3388 3389 3399 3444 3445 3446 3447 3448 3449 3455
3456 3457 3458 3459 3466 3467 3468 3469 3477 3478
3479 3488 3489 3499 3555 3556 3557 3558 3559 3566
3567 3568 3569 3577 3578 3579 3588 3589 3599 3666
3667 3668 3669 3677 3678 3679 3688 3689 3699 3777
3778 3779 3788 3789 3799 3888 3889 3899 4444 4445
4446 4447 4448 4449 4455 4456 4457 4458 4459 4466
4467 4468 4469 4477 4478 4479 4488 4489 4499 4555
4556 4557 4559 4566 4567 4568 4569 4577 4578 4579
4588 4589 4599 4666 4667 4668 4669 4677 4678 4679
4688 4689 4699 4777 4778 4779 4788 4789 4799 4888
4889 5555 5556 5557 5558 5559 5566 5567 5568 5569
5577 5578 5579 5588 5589 5599 5666 5667 5669 5677
5678 5679 5688 5689 5699 5777 5778 5779 5789 5888
5889 5999 6666 6667 6668 6669 6677 6678 6679 6688
6689 6699 6777 6779 6788 6789 6799 6889 7777 7778
7779 7788 7789 7799 7888 7889 7899 8888 8889 8899
8999 9999

参考リンク

おまけ

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2010 8/7

メタルマックス3 Limited Edition

 予約していた『メタルマックス3 Limited Edition』が届いたので、少しずつ進めています。

 まだ全体の1/4ぐらいしか進んでないと思いますが、すでに名作認定します。いやもう本当にメタルマックスです。当たり前のように聞こえますが、メタルマックス以外の何物でもありません。

 エンカウント率の高さだけは、さすがにちょっと手加減してもよかったのではないかと思いますし、人や箱の当たり判定が狭いなどの不満もありますが、そういうところまで含めて完全にメタルマックスです。

 1・2からのファンの人には絶対おすすめです。限定版のサントラ・冊子も良い出来です。シリーズをやったことがないという人が楽しめるかはわかりません。少なくともFC・SFC時代のRPG経験がないと難しいかもしれません。

おまけ

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2010 8/1

創造―生物多様性を守るためのアピール

 エドワード・オズボーン・ウィルソンが、科学とキリスト教が協力して生物多様性の保護に取り組もうと、仮想の南部バプティスト派牧師に対し訴えかける、という本。

 はっきり言って、試みそのものが成功しているとは全く思えない。当たり前だが、ウィルソンは神の創造は嘘で進化が事実であるということについては一歩も譲る気はないわけで、牧師にとっては、

「私たち科学者は、君たち牧師が一番大事だと信じていることが全くの間違いだということについては、一歩も譲るわけにはいかないけど、私たちが一番大事だと信じているものを護るために君たちが協力できることは、沢山あると思うよ?」

 と言われているようなものだと思うのだが。*1これで「はいわかりました是非協力しましょう」と言ってもらえると、少しでも本気で期待しているのなら、ちょっと人を舐めすぎではなかろうか。

 ただ、言うなれば宗教右派に対してすり寄る内容だけに、私がウィルソンに対して気にくわないと思っている点が濃縮されたような感じになっていて、個人的には、なかなか興味深かった。印象深かったところを数ヵ所抜粋する。

第二章 自然の位に上ること

 人工的な生態系の中だけの暮らしに満足する人々も多いことは事実でしょう。これは飼育動物たちも同じこと。飼育用のグロテスクに不自然な生息環境のもとで満足しています。私の気持ちをいえば、これは倒錯です。手の込んだ飼育場の牛となることは、人間の本性にかなうものではないでしょう。誰しもが、人を生み出した複雑で原生的な自然の世界を難なく旅することができてしかるべきです。私たちには、誰の所有地でもなくすべての人々によって保護される大地、私たちの太古の祖先たちの世界を境界付けていたのと同じ地平を変わらず維持しているような大地を、縦横に行く自由が必要です。人類誕生のころの人の心理を作り上げた驚異の感覚は、エデンの遺産ともいうべき、人の都合とは独立した、生きものたちの賑わいに満ちた世界の中でこそ、体験することが可能なものです。

 人間的でかつ適切に教育される科学的な知識は、我々の暮らしに永続的なバランスをもたらす鍵です。生物学者たちが、生命圏の豊穣についてより多くを学ぶほど、生物圏のイメージはより豊かで感動あるものになります。同様に、心理学者たちが人の心の発達についてより多くを学べば学ぶほど、自然の世界が私たちの精神と、魂に及ぼしている重力のような普遍的な力をさらによく理解することになるでしょう。

 この星との平和な暮らしを実現するために、そして人類相互の平和な暮らしを実現していくために、私たちはまだ長い時間を必要としています。私たちは、新石器革命を発動したおりに、道を誤りました。そのときから人間は、大自然の位置に上る(ascend to Nature)のではなく、自然の位置から離れ、上昇すること(ascend from Natrue)を目指してきました。しかし、自然遺産が与えてくれる深く満ち足りた恩恵を享受するために、これまでに手に入れた暮らしの質を失うことなく方向転換を果たすことは、まだ可能です。宗教の包容力、そして教導者たちの寛大さと想像力の豊かさは、聖書に十分に記されることのなかったこの大きな真実を理解する偉大さを、必ずや発揮してくださることでしょう。

 うーん、これだよこれ。人によっては「ポスト・キリスト教」と呼び、私がガイア教と呼ぶ、リベラル派と伝統的キリスト教的世界観のねじれた野合。素晴らしい考え方だ、間違っていることを除けば。

  祖先的進化環境へのESSとして適応してきたに過ぎないものを「人間の本性」などと呼んで善と同一視することがそもそもおかしい、ということをいったん脇に置いたとしても、ホモ・サピエンスという種は、すでに圧倒的に自己飼育化*2の産物である。

 今日、人々がアメリカで「手つかずの自然」と信じているものは、一万年数千年前に起きた人類の進出(参考)と、近代のヨーロッパからの大規模な生態系移植(参考)の結果である。

 そしてもちろん、アフリカ=ユーラシア大陸の「手つかずの自然」とは、人類とその他の生物の数百万年の共進化の結果でしかありえない。

 「人間の本性」とか「人間の都合とは独立した生きものたち」などというのは、ただ単に間違っているのではなく、間違うことすらできていない幻想である。

第三章 本来のいのちある自然とは何か

 ポストモダンの哲学者の中には、真実は個々人の世界観にのみ依存する相対的なものであり、大自然というような客観的な実在はないと主張する人々がいます。彼らは、自然という区分はある種の文化に発生した誤った二分法に基づくものであり、他の文化には存在しないものであると主張しています。私はそのような考え方を面白いとも感じますが、それも数分のこと。これまで私は、自然の生態系と人間の干渉を受けた生態系の非常に鮮明な境界を何度も横切ってきた経験をしており、生きた本来の大自然(Nature)の客観性を疑うことはできません。

 私は、いわゆるポストモダン哲学や極端な相対主義も嫌いだが、ここではそちら側に加担せざるをえない。

  • 「大自然というような客観的な実在はない」

 などということは、ポストモダン哲学者よりも、むしろ進化生物学者こそが、キリスト教者に対して訴えるべきことだろう。

 次の引用部分は、若干補足が必要だと思う。キリスト教の中には、

  • 自分たちが生きている間に今の世界には終末が訪れる、そして自分たちは素晴らしい天国に迎えられる

 という考え方が、今も根強く生きている。そのような考えの人は当然、持続可能性などには関心を持たない。ウィルソンは本全体を通してそれを危惧している。

第九章 否定とそのリスク

 パストール、私か最も恐れるのは、創造された生きた自然[the Creation 被造物]への破壊に、ほとんど何の危険も感じないような、宗教的・世俗的なイデオロギーの結びつきが蔓延していることです。以下は、生物多様性にほとんど重要性を認めず、人は大自然をますます離れてこそ益多い者なのであり、自然に向けて次元上昇[アセンド]するようなものではないとする意見を持つ牧師がいれば、こんなスピーチもするだろうと想像して、私か創作したものです。

 兄弟姉妹、やがて地上から消えていくものたちのために、嘆くことなかれ。生命は変化です。絶滅もまたときにはよきものです。私たちは生命の新たな次元として、人を祝福しましょう。「略取」された地球を、新しい生命圏として祝福しましょう。進歩の障害となる種は消滅するにまかせましょう。人の登場する以前も、生態系と種の変転は通常のことでした。人のさらなる利益のために、世界の生物多様性が貧しくなることがあるとしても、私たちヒトという種に危険はありません。資源が枯渇すれば、天才的な科学技術者たちが、新たな資源を見つけるでしょう。

 善き人々よ、宇宙に目を向けましょう。天国を見上げましょう。絶滅した動植物を、未来世代への苦き遺産と考えるのはやめましょう。わたしたちは、歴史的な建造物を保存するのと同じように、過去の形見として、自然公園を保存することができます。高度の生物工学的な技術によって新しい生態系を創造し、人の力で創造された生物種をそこに棲まわせることもできるでしょう。どんなにすばらしい生物が創造されていくか、まだ私たちは知りません。それはかつてないほど審美的な魅力に満ち、多方面で有用な、技芸の産物となることでしょう。古く、原始的な環境は、人の手によって作り出されるはるかに優れた環境に置き換えられていくのです。完全に人間化された環境、人間が自分自身で作り上げるパラダイスのもとで、かつてない繁栄を果たすこと。それは私たちの未来技術によって可能なことであり、神の摂理にもかなうことです。それが私たちの定めなのです。来たるべき世代、人々は在庫の化学物質を利用して薬剤を合成するようになるでしょう。遺伝的に改良された数十種の穀物種から食料を生産するようになるでしょう。持続可能なエネルギー資源をコンピューターで管理することによって、大気も、気候も制御されるようになることでしょう。この古き地球は、これまで数十億年(これは、六千年とするのが望ましいと言われるかもしれませんが)の間そうであったと同じように、自転を続けていくことでしょう。

 しかし、地球というこの惑星は、比喩ではなく、文字通りの存在として、宇宙船になっていくのです。宇宙船地球号の操縦室には、人類の最も優れた人材が配され、モニター画面を見つめ、ボタンを押し、私たちの航行を安全なものとしてくれることでしょう。

 ここにあるのは、地球で特別の位置を占める人間は、大自然の法則の外にあると考える、人間特例主義の哲学です。人間特例主義は、以下の二つの、いずれかの形をとります。第一の形は、先に例示したような、世俗的な形式です。コースを変える必要はない、人間の天才が解決策を見出していく、という考え方です。第二は宗教的な形です。コースを変える必要はない。何にせよ、私たちは神の手の中、あるいは神々の手の中、地球という業の中にあるのだと考える形式です。

 実を言うと、地球の未来に関する私自身の意見は、ここでウィルソンがあげている悪い例と、そう遠いものではない。もちろん、わざと馬鹿に見えるように書いてある部分を除けば、だが。

 第一、この本それ自体が、科学と宗教が協力して

  • 「宇宙船地球号の操縦室には、人類の最も優れた人材が配され、モニター画面を見つめ、ボタンを押し、私たちの航行を安全なものとしてくれる」

 ようにしよう、という訴え以外のなにものでもないではないか。

  • 「持続可能なエネルギー資源をコンピューターで管理することによって、大気も、気候も制御されるようになる」

 ことを敵視しながら、どうやって地球温暖化を解決しようというつもりなのか。

 ウィルソンがその程度のことも考えていないとは思わない。もしかしたら、これは宗教右派にすり寄るためのテクニックのつもりかもしれない。

 宗教右派自身の主張を、彼らが嫌っている「科学」の主張であるかのように見せかけて内部で離間させようとする、巧妙な藁人形論法のつもりなのかもしれない。

 しかし、実際にこの例のような考え方をする宗教者がいたとして、こんなレトリックで意見を変えるとは思わないし、変えたとしても別の馬鹿な考えに行き着くだけだろう。

 アメリカの現状を鑑みるに、宗教の力を借りたいという気持ちはわからなくはない。むしろ、大いにわかる。だからといって科学の方からこんなすり寄り方をするのは、元も子もなくす可能性が高い、危険すぎるテクニックに見える。

第十章 最後のゲーム

 人類のハンマーが振り下ろされ、第六の絶滅が始まってしまいました。人類によるこの破壊行為が停止されず継続すれば、回復不可能な激しい消失の過程は、今世紀末には中生代末の大絶滅のレベルに達すると予想されています。

(中略)

 先行する五回の大絶滅は、自然選択によって修復されるのに平均一〇〇〇万年を要しました。一〇〇〇万年のスランプをまた経験するというのは受け入れがたいものでしょう。人類は決断を必要としています。それもいますぐです。地球の自然遺産を保全しましょう。そうしなければ、未来の世代は生物学的な貧困の世界に適応していくしかありません。この選択を回避する道はありません。動物園や植物園に頼れないことはすでに説明したとおりです。空想的な著者の中には、最後の手段にかかわるアイデアをもてあそぶ人々がいることも承知しています。未来の再生を目指して、受精卵や組織を凍結する方法で数百万の現存種やさまざまな品種を保全しようなどと彼らは主張しています。あるいはすべての種の遺伝暗号を記録して、後日、そこから種の再生を目指そうなどとも主張しています。どちらの提案もリスクが高く、膨大な経費を必要とし、最終的には実のないものとなるでしょう。仮にそれらの方法によって、危機に瀕した地球の生物多様性がことごとく再生され、交配を通して集団としても再生され、二一世紀において「野生」と判定される領域への帰還を待つばかりになったとしても、その場において生存可能な個体群を個々に再構成していくことは、実行不可能というしかありません。生物学者は、複雑で自律的な生態系をゼロから組み立てる方法などまったく知らないからです。いずれ理解できる時が来るとしても、その時、人間による改造を強く受けてしまった地球の条件下では、もはやそのような再構成は不可能と判明するのではないでしょうか。

 人間特例主義者たちは、以上のオプションの先にさらに最後の提案を用意しています。いつの日か科学者たちは人工生物や種を創造し、それらを組み合わせて合成生態系を作り出すはずとの希望を持って、生命圏の貧困化など気にすることなくこのまま進もう、という主張です。未来の世代には、大自然の失われたニッチを再び人工生命で満たさせよう。たとえば人間を襲わないようにプログラムされたトラモドキ。トラモドキは人工的に輝き燃え、刺しも噛みもしないムシモドキたちの満ちる森林モドキの中を行く――というわけですね。仮にファンタジーの世界だけの話だとしても、人工的な生物多様性という発想には、以下の言葉が適切です。冒涜、堕落、嫌悪。

 以上に紹介した有効性のない諸提案は、残念ながらどれも実際に提案されたことのあるものばかりなのです。それらの夢はいずれも愚かなものです。いまという時代はサイエンス・フィクションの時代ではありません。常識をもって、以下のような処方に従うべき時代です。生態系と種を救うには、個々の種の独自の価値を一つ一つ理解し、それらの運命を左右することのできる人々を説得して、生態系と種のお世話役をつとめてもらうしかないのです。

 私は知らないが、科学者の誰かがそんな非現実的な提案をしたことはあるのかもしれない。だが、それが科学の世界で真剣に受け取られたり、ましてや広範な支持を受けたりしたことはないはずだ。

 これもまた前の引用部分と同じ、宗教右派自身の主張を、彼らの嫌う「科学」の主張と錯覚させようとする巧妙な藁人形論法にしか見えない。

  • 「人間を襲わないようにプログラムされたトラモドキ。トラモドキは人工的に輝き燃え、刺しも噛みもしないムシモドキたちの満ちる森林モドキの中を行く」

 という描写には、私はイザヤ書の一節を連想させられる。これはやはり、科学の言葉に置き換えられただけの、伝統的なキリスト教的自然観だ。

 今の世に「人間特例主義者」などと呼ぶべき人々がいるとすれば、それは、

  • 人間以外の自然は全て神に創造された完全なもので、悪や不完全さの全ては人間の罪に由来する

 という宗教的ドグマを無理矢理にでも維持しようとする宗教者と、それにすり寄る科学者であろう。

*1:まあ、もし自分が、確固たる信仰を持つアメリカ南部の牧師だったら……というのは、私に取ってあまりに大きすぎるif なので、まともな想像が可能とは思えないが。
*2:この単語でググってみたら何かトンデモくさいページばかり引っかかるが、最近『火の賜物』でも出たばかりの話だ。

おまけ

 この世はでっかい宝島♪

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2010 7/31

 10年7月のマイリスト。

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