2008 5/25

Mind Hacks―実験で知る脳と心のシステム

 もう何年も前の話だが『Mind Hacks』という本で“サビタイジング”という効果のことを知って、どうして歴代FFの戦闘画面のうちFF4のものだけがこんなにも見づらいのか? という長年の疑問に決着がついた気がした。

(FF4:6分過ぎから戦闘シーン)

(FF5:1分半から戦闘シーン)

 最初に思いつく説明は単純に縦にキャラが5人・ステータス画面5行が並ぶのは多すぎるからというものだが、FF5やFF6でも4人(4行)はいるのに、その戦闘画面は全然見づらくない。この差は数1つの違いだけでは到底説明がつかないと思っていた。しかし、

 サビタイジングの際、脳では、普通に数を数える場合と全く異なった処理が行われているように思える。いくつかの実験により、数える物が4つまでの場合は、1つあたり40〜80ミリ秒で数えられるのに対し、それを超えると、必要な時間は1つあたり250〜350ミリ秒に増えるということがわかっている。

(中略)

 サビタイジングの場合は、意識して注意を向けるというようなことは必要ない。視点を物から物へ移すこともない。(中略)そのため、研究者の中には、「サビタイジングは動作ではなく、視覚信号処理の副作用である」などと主張する人もいる。

『Mind Hacks』P134-135ページ

 というわけなので、実際に起こっているのはおそらくこういうことだろう。

  • プレイヤーが視線を移動させる。
  • 脳はそこにキャラが何人いるか・コマンドやメッセージが何行あるかを、無意識的に把握しようとする
    • 4人・4行の場合、無意識のまま約240ミリ秒で数え終わる
    • 5人・5行の場合、一瞬意識を持って行かれ、約540ミリ秒で数え終わる
  • 次の行動に移る

 戦闘中画面においてプレイヤーは、コマンドを入力し(下)・アニメーションを見(上)・ステータスを確認する(下)、といった具合に頻繁に視線を移動する必要がある。その度に一瞬数えることに意識を持って行かれて、約300ミリ秒を無駄にさせられることの積み重ねが「見づらい」という印象となって現れるのだろう。

 要するに4人(4行)と5人(5行)の間には実際に越えがたい差があり、5という数は多すぎるという最初の説明以上のものは必要なかったという結論になる。だからなんだというほどのものでもないが、もしかしたら誰の役に立たないとも限らないので書いておく。

おまけ

 年代的にヒャダイン氏の作品はいつもツボに入ります。

by 木戸孝紀 tags:


“1・2・3・4・たくさん”へのコメント 12

  1. 1. 匿名

    五天王がいても四天王扱いされて一人ハブられる法則ですね。
    十傑集は逆に多いから覚えやすい……!?

  2. 2. 木戸孝紀

    >名無しさん
    う〜ん、視覚の話なのでそれとは直接的な関係はないような気がします。

  3. 3. 匿名

    動画の選択がカオスwww

  4. 4. 木戸孝紀

    >動画の選択がカオス
    ばれましたか。イヤな名前でFF4は傑作です。FF5ゴルベーザプレイはそこまでではありませんが、一回目の最大瞬間風速はゲーム動画全体でも最高クラスだと思います。

  5. 5.

    銀行員等がお札を数える時に、扇状に広げて4枚ずつ数えたりするやり方があるそうです。
    この辺の処理を無意識に理解してのやり方かもしれませんね。

  6. 6. 木戸孝紀

    >天さん
    ほほう、それは大いに関係がありそうな気がしますね。「お札の数え方」でググってみたらそれっぽい記述がいくつか見つかりました。
    私が思いつたのはそろばんの玉かな。なんで1の玉9個でなくて、5の玉一個と1の玉4個でなければならないのかというと、同じ種類の玉が5個以上あると一目で把握できなくなるからだ。たぶん。

  7. 7. 匿名

    おお!!
    なんかソレを逆手に取ったのがビリヤードって気がしてきた。
    最低でも、玉9個はないと慣れたヤツなら1回で全部処理してしまうものなぁ

  8. 8. 木戸孝紀

    ビリヤードは……どうだろう? 見た瞬間に急いで打たなきゃならないわけではないからあまり関係ないような気がする。4個じゃつまらないのは確かだろうけど。

  9. 9. 匿名

    ロマサガとか、5人パーティーよな?
    ロマサガ1はFF4と同時期なので、単にやってみたってことになるだろうけど・・・それ以降もやってるな。
    FFとの明らかな違いは・・・
    ?協力/合体ワザが多い
    ?「たたかう」ってコマンドがなく、唯の攻撃ですら技名が付いている
    ?攻撃順番を早めたり遅くしたりする技が多い
     相手を1回休みにする攻撃が多い
     FFのようにスピードによって順番がたくさん回ってくるシステムは採用せずにターン制を採用していた
    多分、戦士としての臨場感よりも、作戦を立てる立場からの戦闘シーンってことだったんだろうなぁ。
    ちなみに?については、キャラクターゲームだが「ナイトガンダム物語-円卓の騎士-」というゲームが原作にのっとって、最大13人パーティというカオスRPGだった。
    敵は普通に1度に3、4体しか出ないので、アレは結局コマンドを選んでいる時間が一番面白かったなぁ?

  10. 10. 匿名

    そろばんは戦前までは1の玉5個、もっと昔は5の玉2個と1の玉5個だったのですが……。

  11. 11. 木戸孝紀

    え? 何故……っと思ってググったらそうか尺貫法で16進だった名残なのか。それはとっさに考えが及ばなかった。ということは10進法限定に伴って一の玉4個になったのは幸運な偶然か。

  12. 12. 匿名

    上の方のお札の数え方と同じですが
    以前印刷屋で名刺作ってたとき4枚づつ数えるようにと教えられました。
    一目で分かる上限が4までと教えられましたがサビタイジングといわれているのですね。経験則だとばっかり思ってました。

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