あちこちで話題になっていると思いますが、えらいことになってしまいました。サンタの時も酷いと思いましたがそんなの比較にもなりません。これは致命的です。ただでさえMAD削除後パッとしないと言われて将来が危ぶまれていて、私も「次の大きな一手が本当の分岐点になりそ。」とか言ってましたが、これがそうだというなら考えうるかぎり最悪の方向に行きました。
私は土曜日に初めて気づいたのですが、少し前から話題にはなっていたようですね。RSSリーダーで「ニコニコ動画の真の価値は動画でもコメントでもなくランキングにある」というような記事をタイトルだけ見て、いいこと言うなあと思っていたのですが、今考えるとこの件に対する反応だったのかもしれません。
今回のリニューアルは主にこの3点。
- トップページで見られる・遷移できるランキングのデフォルトが週間になった
- デイリーランキングも1日1回の更新になった
- ホットリストなるものが登場した
他は枝葉末節です。で、これは非常にまずいのです。
「デフォルトランキングの影響力は絶対」
すぐ分かるまずい点はデフォルトが週間ランキングになったということです。webでは1クリックさせるごとに読者は1/4になると言われますが、非常に多くの普通の人はデフォルトランキングからしか見るものを選びません。これは望んでどうにかなるものではなく、現実です。
「ヘビーユーザーは検索・タグ・新着から見ればいいじゃん」なんて言ってる人がいますが、それ自体がすでに廃人の発想。
これはテレビ番組が週に1回しか変化しなくなったみたいなもんなのです。それでスマップが見れなくてつまんなーい、と言ってる人に「じゃあファンクラブに入れ・ツアーに行け・追っかけをしろ」とか言ってるのと同じで馬鹿げてます。
デフォルトランキングの支配力は個々のユーザーの努力で超えられるものではありません。週間ランキングから流れ込む大量のアクセスが、デイリーランキングに強い影響を与え、せっかくデイリーランキングまで行ったユーザーもその影響から逃れられません。その影響は翌日のデイリーランキングまで及び、週は7日の合計なので、結局翌週の週間ランキングもほぼ同じ顔ぶれという結果を招きます。
どんなに素晴らしくても無名の動画が上がってくるには、週間・デイリーどちらのランキングの助けも全く借りずに得たアクセスで翌日のデイリーランキングに食い込む以外の道はないです。しかも翌日のデイリーランキングもこれまでと違ってデフォルトでないので影響力は数分の一しかありません。
要するに新しい動画が上がってくる余地がないのです。これ一つでもニコ動の肝であるライブ感・賑やかしさが致命的に損なわれるのですが、被害はたんにそれだけでは留まりません。
ホットリストは、今よく再生されている動画の中からランダムにピックアップする機能です。
データは短時間(概ね10分前後)でどんどん更新されていきますので、従来のランキング以上に「今、この瞬間の流行」がお分かりいただけると思います。
(ニコニコニュース‐ランキングをリニューアル!)
運営側は毎時ランキングの需要を代替するものとしてホットリストを想定していたようですが、これがうまく行くはずがありません。今よく再生されている動画をピックアップすれば今この瞬間の流行がわかる?
一見もっともらしく聞こえますが、ではなぜその動画が今よく再生されているのか? というと、ランキングに載ってるからに決まってるじゃないですか。ランキングをデフォルト週間・よくてデイリーで固定した状態でホットリストなんか作ったって、ランキングをランダムな順序で表示する機能にしかならないですよ。事実そうなっています。
今回のリニューアルの意図として、「流行が廃れるのが早すぎるので遅くしたい。」というものがあったとされています。おそらく本当だと思います。週に1回しか見ないようなユーザーに対して週間ランキングをアピールしたいという発想は理解できなくはないですが、週間ランキングがその週の流行を表したよいものだったとすれば、それは毎時ランキングによって選別された結果を集合したものだったからですよ。
週間ランキングをトップのデフォルトに持ってくるのは本末転倒です。ランキング画面で表示を週間に切り替えたユーザに対しては、トップでも週間が表示されるようにするだけでよかったんです。
「工作対策は原理的に不可能」
これまでのランキング機構が作っていた動画のライフサイクルはおおむねこんな感じでした。
- 投稿された動画を、検索・タグ・新着から廃人が掘り起こす
- 掘り起こされた動画が毎時ランキングに載る
- 毎時ランキングに載ったものをヘビーユーザが選別する
- 選別された夜の日間・週間ランキングをライトユーザが見る
- 月間・総合ランキングに末永く残る(さもなくば飽きられる)
- ランクインした作者・ランキングで面白い動画を見たユーザーがまた動画を作って投稿する(以下繰り返し)
今回の変更はこの2と3に必要な機構を完全に破壊しました。そうしておいて4,5の成果だけ望むのは不可能です。これはライフサイクルの断絶というやつでして、下水道が整備されると遠からず寄生虫が根絶されるのと同様に、このままだと割とすぐに面白い動画も絶滅します。ニコニコ動画は動画で成り立っているサイトなので、これはもう自殺としか言いようがない状態です。
で、このライフサイクルからもうひとつ言えることがありますよね。1から3の初期までは、工作動画の上がりやすさは、本当に良い動画の上がりやすさと本質的にイコールである。ということ。
いわゆる工作員(ランキング上げ荒らし)もサイトをクラッキングしているわけではなく、多数のアカウントを持っているだけで、他の廃人がやっていることと本質的に何も変わらない以上、工作員が上げられないということは、良い動画も絶対に上がらないということです。
もちろん良い動画は元々運次第で上がらないこともありましたが、そもそもランキングの評価自体が正のフィードバックで成り立っているシステムなのですから、運の影響が出るのはどうしようもありません。それ以上の方法はないんです。少なくとも2008年の人類には知られていません。
大量のアカウントを持ってて本当につまらないのばかり上げている人間が実在するなら、業務妨害で訴えるぞと警告するなど、個別に対処するしかないと思います。
まとめ
「元に戻して下さい。」それだけです。いや、本当に。冗談ではなく。今ならまだトラブルでランキングが2,3日更新されなくなった時ぐらいの笑い話で済みます。微笑ましいエピソードで済みます。しかし、このまま放置したらそれでは済みません。
今ですら方々で不満が爆発しているのですが、これはライフサイクルの断絶なのですから、本当の被害はこれから出てきます。そして本当に出てからでは元に戻せません。現在はどうも「まあ一週間やそこら様子を見てそれから補完するような機能を追加しよう」という方針のようですが、それもうまくいきません。
だから、ランキングの満たすべき必須条件は
- 大多数のユーザに共有されること
- ユーザ間の流行を見落とさない程度のスピード感を持つこと
となる。
ランキング乱立状態は、ニコニコ動画から求心力が消えることを意味する。ランキングカテゴリはあってもいいと思うが、それは公式ランキングの代替とはならない。
(ニコニコのランキングには何が載っていても問題ない – いつか作ります – 断片部)
増やしても代わりにはならないんです。
- とにかく元に戻す
- ユーザーごとにランキングの期間切り替えが記憶され、トップにも反映されるようにする
- 上げ荒らし対策が必要なら、システム変更ではなく個別に対処する
私の提案は以上です。責任ない立場だから何でも言えるわと思われるかも知れませんけど、週末のQOLが如実に低下してるので真剣ですよ。
おまけ
いよいよオリンピックですなあ。あと自殺つながり。
by 木戸孝紀
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