センディル・ムッライナタン著、エルダー・ シャフィール著。原題”SCARCITY: Why Having Too Little Means So Much”(『欠乏:なぜ少なすぎる分しか持たないことがそれほど多くのことを引き起こすのか』)
- 何かに集中すると、それ以外のことはおろそかになる
- 貧しいと、裕福な時よりも、やりくりを心配しなければならない
- 予測不能なトラブルによる被害は、それを吸収する余裕がない場合、さらに大きくなる
- 人は遠い未来よりも近い将来のことを過度に重視する傾向がある
これらはどれも、単独ではよく知られていることだ。直感的にも当然であり、ほとんどトートロジーのようにも感じられる。
だが、全てを一連の流れで説明されると、貧困問題や格差問題の全てが変わってくるような重大な話に思えてくる。
別の分野にたとえるなら、
- 生物は生き残れる以上の子を作る
- 子は親と同一ではなく変異がある
- 子の変異にはそのまた子にも遺伝するものがある
- 変異には生き残って子孫を残す確率に影響するものがある
という4つの命題は、それぞれ単独ならどれも当たり前のことである。古代ギリシャ人はもちろん、たぶんネアンデルタール人だって知っていたことだろう。
しかし4つまとめてよく考えると、それは自然淘汰そのものであり、生命の見方を永久に変えるほどのインパクトを持つものだった。
よくある自己啓発本・ライフハック本と誤解されかねない邦題は大問題だが、久々に面白い行動経済学本。超おすすめ。
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