博物学

科学技術哲学

エルンスト・ヘッケル『生物の驚異的な形』

グラン・トリノを見に行ったときに本屋で見かけて思わず目を疑った。有名なエルンスト・ヘッケルの画集が出ている。  邦題がすごく安っぽい印象になってしまっているが、原題"Kunstformen der Natur"は直訳すると『自然の芸術造形』である。  昔グールドのエッセイか何かで存在を知り、荒俣宏の世界大博物図鑑に載っていた放散虫の図をわざわざ図書館でコピーしたりした記憶がある。 Ernst Ha...
科学技術哲学

長沢和也 編著『フィールドの寄生虫学―水族寄生虫学の最前線』

寄生虫ほど人の心を捉える生物もそうはないだろう。ただしマイナスの方向にだが。口絵からして気色悪さ全開だが、『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』でも感じた現代博物学の面白さもあるので、こういう生物系が耐えられる人なら一読してみてもよいのでは。  しかし、これで思い出したが『パラサイト・レックス』は一度きっちりおすすめしておく必要がありそうだ。寄生虫のみならず寄生という概念そのものに生じた――今...
科学技術哲学

佐藤克文『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待』

はるばる南極まで行ってアザラシやペンギンやウミガメにデータロガーと呼ばれる小型のハイテク装置をくっつけて後で回収し、位置・温度・水圧、時には映像まで、様々なデータを集めて、これまで明らかになっていなかった生物の海中生活を明らかにする……。  「何勘違いしてるんだ? 博物学はまだ終了してないぜ!!」  とばかりにバイオロギングという新しい研究手法を熱心に紹介する本。著者の人柄の良さと科学に対する愛情...