ゴルゴ13の出身は、たびたび話題になるものの、決して明らかになることはない。なぜか?
ある意味では答えは簡単だ。多分あなたもすぐ思いついた通りだ。明らかになってしまったら、いつでも使えて確実に人気のあるネタの一つが無くなってしまうからだ。
しかし、それはあくまで至近要因だ。なぜゴルゴの出身が確実に人気のあるネタなのか?
想像してみよう。ついにゴルゴの真の出身が疑問の余地なく判明した! 実はロシア系中国人で日本とは縁も紫ゆかりもなかった!
あるあ……ねーよ。
そう、誰もそんなことはありえないと知っている。みんな実はゴルゴは日本人――でなくとも、少なくとも日系人とか日本人とのハーフとか――だと知っているのだ。
では、なぜゴルゴは日本人でなければならないか?
いつか一言だけ触れた(参考)が、ゴルゴ13というキャラクターの人気は、戦後日本人の国際政治コンプレックスと切り離して考えることはできない。
いつも無表情でアメリカ大統領やCIA長官を震え上がらせるゴルゴというキャラクターは、メガネでへらへら笑うエコノミックアニマルとしての日本人の自己認識の正確な裏返しだ。
では、もう一度最初の問いに戻って、なぜゴルゴの出身は決して明らかにならないのか?
明らかにしたっていいのではないか、誰もがすでにそうだと知っているのだから。読者が皆そうであることを望んでいるとわかっているのだ。ネタのストックをひとつぐらい減らしても、明らかにしてあげるべきでは?
もちろん、違う。
コンプレックスの補償としての娯楽は、それを楽しみつつ、そうしているということをはっきり自覚させないことが重要だ。
「日本人と断定されたゴルゴ」は、あまりにも日本人の国際政治コンプレックスの代償の要素がはっきりしすぎる。それは、たとえるならギャルゲーに「非モテ御用達」と明記するような自殺行為だ。
- おそらく日本人と思われつつも不明のまま
- 日本人と判明する
- 日本人でないことが判明する
ゴルゴの出身についてのありうる選択肢は、この順番で望ましい。つまり、現状のままがベストだということを、作者はもちろん読者もみんなわかっているのだ。
おまけ
by 木戸孝紀
tags:コミック ゴルゴ13 心理 政治 日本
知る人ぞ知る怪作。タイトルの時点ですでに何かが決定的におかしい。
内容も、輸入雑貨の貿易商を個人で営んでいる井之頭五郎という普通の男が、腹を空かして普通に食事をするというだけ。本当にただそれだけ。
藤子不二雄のSF短編で、食事と性行為に関する羞恥心の概念が逆転した世界に迷い込んでしまう男の話があった。(参考)
その世界では、食事は個体の維持にしか貢献しない利己的な行為だから、一人隠れてこっそり行う恥ずかしいものであり、性行為は集団の維持に貢献する利他的なものであるから、正々堂々とおおっぴらに行うべきである、とされている。
従って、その世界では歩きながらサンドイッチを食べるような気安さで路上性行為が行われ、「食事会」が現実世界における「乱交パーティー」に相当するものになっている。
どうもこれを読んでいると、そのSFは半分正しいのではないかという思いにとらわれる。
つまり、人間がものを食う時は一人なのが自然であり、それを克明に描写する――たとえばこの作品のように――のはエロティックな覗き行為であり、いわゆる普通のグルメマンガというのは、乱交パーティーのような倒錯した変態行為なのではないかと。
おまけ
個人的にはゴローちゃんネタといえばテクテクさんのイメージが強い。
by 木戸孝紀
tags:SF グルメ コミック 久住昌之 谷口ジロー
最近連続していい評判を聞くので、引っ越し準備の息抜きに、1巻を注文して読んだ。確かにすごく面白かった。
大急ぎで2巻も続けて注文しようと思ったらAmazonで品切れになってる。そりゃなるわな。死ぬほど使い古された題材に思えても、ちょっとした工夫と表現力次第でまたすごく面白くなる、という好例かもしれない。
何言ってもネタバレになりそうなので、曖昧な言い方しかできないが、
描写まんべんなくあるので、成人向けというわけではないが、お子様はご遠慮願いたい。大人のマンガ好きはネタバレに出会う前に1巻入手に走れ。好き嫌いは分かれるだろうが、損したとは思わないはず。
(ネタバレになりそうな感想はコメント欄に書いた。1巻読んだ人だけどうぞ。)
おまけ
「夜は自己嫌悪で忙しいんだ」
by 木戸孝紀
tags:コミック 花沢健吾
経由で知る。これは確かに最高級に面白い。
で以前注目したように、『鋼の錬金術師』は、現代少年マンガを薄く広く覆っている「不殺」的発想を一歩破って進んでいるように見える。
このことが、作者荒川弘の農家出身という属性に寄っているのではないかという考えは以前から持っていたが、これを読んで確信に変わった。
- ヒグマの気配に死を覚悟したり
- 珍しい障害を持って生まれた仔牛を実験用に提供するかひと思いに処分するか悩んだり
- 家族がみんな死にかけたり骨折ったり血が出たりする怪我をしたことがあったり
というような経験なくしては、間違いなくハガレンはなかった。
そういうことを考えなくても、単純にエッセイとしても雑学としてもマンガとしても面白い。農業高校の回では『動物のお医者さん』を思い出したりもした。傑作。おすすめします。
おまけ
by 木戸孝紀
tags:エッセイ コミック ハガレン 荒川弘 動物 農業
のでメモ。
橘:
もし暴力を全て否定するなら国家の秩序も否定しなければならない
なぜなら秩序を保つのは警察力という暴力機構にほかならないのだから
いい暴力と悪い暴力があるというならそのいい悪いは誰が決めるのか…
そんなことも考えず暴力はいかんなどと叫ぶことは自分を支配される側に置くのだということに どうして気づかぬのか
片岡:
大衆が暴力に対して女みたいなヒステリー症状を示す間は日本最大の暴力団である警察と自衛隊を抱えている民自党政府の思うままだ
歴代の首相が全て汚職に関係した前歴をもつ男たちであるという 世界にも例のない腐敗した政治機構は維持されるだろう……
橘:
この世は支配するか支配されるかのどちらかしかない!
支配するか されるかの決定的要因は暴力だ!
それが政治の本質なのだ!!
それに気づかぬ愚劣な大衆は踏みにじられ続けるがいい!!
だがおれたちは違う!!
おれたちは自分たちの世界を作るために牙を振るうのだっ!!
(『野望の王国』完全版4巻P598-599)
おまけ
検索でひとつしか引っかからないってどういうことなの・・・
by 木戸孝紀
tags:コミック ネタ 政治 野望の王国
という質問を受けたことがある。どんなシチュエーションで聞かれたかはよく憶えていない。(たしか『トライガン』の絶頂期だったので、おそらくニコラス・D・ウルフウッドを念頭に置いた質問と思われる。)
しかし、どう答えたかははっきり憶えている。私は「そりゃ本物の神父が出てきたらキモいからに決まってんだろ」と答えた。
その後、日本のマンガ・アニメにもわずかながら本物の神父は登場するようになった。代表的なのはベルセルクのモズグス様だ。
『HELLSING』のアンデルセン神父も、モズグスに比べると微妙ではあるが、やはり単なるコスプレとは一線を画している。
彼らは、もちろん漫画的誇張を施されてはいるが、ある意味確かに「本物」の神父であり、それ故に日本ではモンスターあるいはフリークスとならざるをえないのである。
おまけ
やはり日本ではウケが今ひとつ。
by 木戸孝紀
tags:アニメ コミック ベルセルク 宗教 日本
イランの裕福でリベラルな家庭に生まれた女性の自伝的マンガ。これは最高に面白かった。つべこべ言わずにとにかく読め。この面白さは文章では伝えづらい。
雰囲気を見たければ映画版のトレーラーを。映画は未見だがなかなかよさそうだ。実際はトレーラーの印象よりもシリアス成分多めである。
2巻も大急ぎで借りてきて続けて読んだが、1巻と比べるとあまり面白くない。1巻だけでもちょうど区切りが良いので2巻は省略するのもありか。
同作者の『刺繍』もついでに読んだ。イラン女性たちが集まって結婚や性にまつわる愚痴や噂を延々と続けるマンガ。面白いかどうかは人によるだろうが、こんな話めったに聞けるものではないのでどんな人でも一読の価値はあると思う。
おまけ
”ちびマルジちゃん”の検索結果 5 件中 1 – 5 件目 (0.07 秒)
by 木戸孝紀
tags:イラン コミック 自伝 女性 歴史
一度コミックおすすめランキングを作っておきたいと思っていたが、何か機会がないとなかなかやらないので、こちらの企画に参加させてもらう。
ゆっくり考慮できなかったので、作者名すら書いてないし、まだ絶対忘れているものがあるはず。
縛りなしとはいうものの海外・成年は自主的に除外している。歴史的・資料的価値は少ししか考慮してない。同作者・同系統作品が被りすぎないようには配慮している。
- ドラえもん
- 風の谷のナウシカ
- 寄生獣
- DRAGON BALL
- ジョジョの奇妙な冒険
- 火の鳥
- 銀河鉄道999
- イハーブの生活
- BLAME!
- ONE PIECE
- うしおととら
- デビルマン
- 銃夢
- 宇宙家族カールビンソン
- キン肉マン
- すごいよ!マサルさん
- アドルフに告ぐ
- 北斗の拳
- パタリロ!
- 天才バカボン
- ブラックジャック
- ドクタースランプ
- ついでにとんちんかん
- 鋼の錬金術師
- シグルイ
- レベルE
- ファイブスター物語
- ゲゲゲの鬼太郎
- うる星やつら
- あしたのジョー
- HELLSING
- 漂流教室
- 蟲師
- 蒼天航路
- ダイの大冒険
- 石の花
- ザ・ワールド・イズ・マイン
- さよなら絶望先生
- ゴルゴ13
- ベルセルク
- サザエさん
- ルパン三世
- 14歳
- 狂四郎2030
- はだしのゲン
- カイジ
- ちびまる子ちゃん
- 私は真悟
- スケバン刑事
- 王様はロバ
- へうげもの
- AKIRA
- サイボーグ009
- リングにかけろ
- 野望の王国
- 幽☆遊☆白書
- 動物のお医者さん
- 殺し屋1
- SLAM DUNK
- 神の左手悪魔の右手
- OL進化論
- エースをねらえ
- フルーツバスケット
- 三国志
- DEATH NOTE
- 聖闘士星矢
- めぞん一刻
- 日出処の天子
- はいからさんが通る
- 惨劇館
- ぼくの地球を守って
- 座敷女
- マスターキートン
- 伝染るんです
- 七夕の国
- ドロヘドロ
- あっかんべェ一休
- GANTZ
- 天使禁猟区
- ねじ式
- COBRA
- あさきゆめみし
- 沈黙の艦隊
- 2001夜物語
- サルでも描けるまんが教室
- 国民クイズ
- るろうに剣心
- 鉄腕アトム
- ジーザス
- 残酷な神が支配する
- バジリスク
- ハンター×ハンター
- ヒストリエ
- あずまんが大王
- ナニワ金融道
- パノラマ島奇譚
- 暗黒神話
- 攻殻機動隊
- 魁!!男塾
- 神聖モテモテ王国
おまけ
ランキングつながり。
by 木戸孝紀
tags:コミック ネット ランキング 企画