歴史

おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2017年1月版

『げんしけん』★★★  木尾士目著。連載当時のアフタヌーンを読んでいたはずだが、あまり興味がなかった。完結を機に改めて全巻読んでみたら、結構おもしろかった。 『白と黒のとびら: オートマトンと形式言語をめぐる冒険』★  川添愛著。確かに奇書レベルの尖った本。人を選ぶだろうが数学好きなら一見の価値はあるかと。 『赤の女王 性とヒトの進化』★★★★★  マット・リドレー著。なぜか今まで紹介してなかった...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ41 ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』

【第40回】 【目次】 【第42回】  あのハンターハンターさえ連載再開するぐらいだから自分も頑張ろうと思ってこのエントリを書き始めたら、書き上がるまでに再び休載してしもた(笑)。まあ仕方ない。始めよう。  今回取り上げる作品、記念すべき後半戦最初の作品は、ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』(1933)である。  未来・SFの世界にご案内しようとか言っておいて*1いきなり普通はSFに分類される...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ40 一本目の糸:オリエンタリズム

【第39回】 【目次】 【第41回】  ここまで『存在の大いなる連鎖』という一本の柱に沿って、時系列に進んできたこのシリーズだが、ここからは、詳細に分け入る代償として、多少複雑にならざるをえない。  このシリーズでは、過去と未来で何が変化して何が不変であるかを常に意識することが、理解にあたって重要だ。*1しかし、完全に過去から現在へ進みながら、多岐にわたる話を扱うと、話があちこちに飛びすぎてわかり...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ39 ガイア教徒よりもガイア教的な日本人

【第38回】 【目次】 【第40回】  大きな鍵*1を逆向きに使うことで、鏡のように「普通」の日本人の態度もよく理解することができる。一本の柱から離れて次の段階に進む前に、一度自分たちを振り返っておこう。 鏡その1  以下は、このシリーズ開始以前に、ネットのどこか*2で見かけた会話である。記憶からの再現なので一字一句正確ではないが、概ねこのようなものであった。 A「なあ、これはもちろん仮定の話だけ...
政治経済社会

ぼくのかんがえたせかいへいわ

ピンカーの『暴力の人類史』を読んで考えたこと。大半は今回初めて考えたというわけではないが。  『暴力の人類史』を読んでいることを前提とするが、必ずしも必須ではない。  価値観の話でややこしくなるのを避けるため、単純に人類間の暴力を減らすことを良しとする。ブロイラーの福祉とか、地球のため宇宙のためとかは考えない。  理由はどうあれ事実として暴力はずっと減少してきたし、今後も減り続ける可能性が極めて高...
科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界―文明の源流と人類の未来』

イベントも見に行ったほど好きなジャレド・ダイアモンドの新刊。いわゆる国家以前の「伝統社会」から現代人が参考にできることがあるのではないかというテーマ。 The World Until Yesterday その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など  例によってshorebird先生が読書ノートを連載中であるので詳しい内容はお任せ。  自分は特に気になったところと個人的に参考にしようと...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2013年1月版

『さっさと不況を終わらせろ』★★★★  ポール・クルーグマン著。やはり素晴らしい。 『American Pie―Slice of Life Essays on America and Japan』★★★★  ケイ・ヘザリ(Kay Hetherly)著。NHKラジオ英会話で有名な人らしい。英語も簡単で内容もわかりやすく興味深い。学習者におすすめ。 『ファインマンさんの流儀』★★★★  ローレンス・M...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ38 キリスト教徒よりもキリスト教的なガイア教徒

【第37回】 【目次】 【第39回】  さあ、 ユリカさんとビクター・ケラハーを分けているのは何という文化のどんな違いか?  という第13回の問い*1に答えられる時がついに来た。 宗教文化が*2唯一神教的か否かの違いだ。  第2回の段階では「ひどいこじつけだな」ぐらいにしか思わず、第12回でも信念がぐらついて不安を感じた程度の人でも、ここまで来たら、もうこの回答を拒否することは難しかろう。  野崎...