こりゃおもろい。久々に脳関連でのヒット。
原題”The Ghost in the Brain”(脳の中の幽霊)。邦題はちょっと間抜けな感じになってしまっているが、直訳ではわかりにくいし、副題まで合わせて考えると、まあまあ妥当か。
著者は人工知能研究者。元から知能が極めて高い上に、絶対方向感や共感覚を持っているなど、かなり特殊な脳の使い方をしていたようだ。オーディオオカルトにはまっているようであったり、神秘体験をしたことがあったり、事故前からいろいろ変わっているところもあった模様。
交通事故による脳震盪によって、モジュール間の連絡に様々な不都合が生じ、世にも奇妙な症状が生じるが、視覚を通じた介入と訓練によって、そこから回復する。
メガネとパズルによって壊れた脳が回復しました、なんて、予備知識がないとトンデモ代替医療かと思ってしまうであろうほどの超展開である。
多くの抽象思考が、視覚処理とそのアナロジーに依存しているというのは面白い。発生学的には、眼は外に飛び出した脳そのものだ、というような言い回しはよく聞くが、それを別の方向からも裏付けるような話である。
脳のとてつもない複雑さと、それが曲がりなりにも正常に機能しているということが、どれだけありがたいかということを、思い知らされる。
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