歴史

科学技術哲学

アルフレッド・W・クロスビー『数量化革命 ヨーロッパ覇権をもたらした世界観の誕生』

『飛び道具の人類史』が面白かったので、アルフレッド・クロスビーつながりで借りてきた。 中世のヨーロッパは全てが宗教一色に塗り固められていて文明はむしろイスラム圏や中国より劣っており、近代の繁栄が始まったのはギリシア文明のルネッサンスから、というのは中学校でも習う話だが、それを“数量化”という観点からまとめた本。訳者あとがきより。 世界を理解する枠組みが、従来のような定性的で目的論的なものから、定量...
科学技術哲学

デニス・シュマント=ベッセラ『文字はこうして生まれた』

文字から計算が生まれたのではなく計算から文字が生まれた。文字に繋がる抽象化にまつわる最も古い遺物は一定間隔で刻み目の入った骨。数えていたものはおそらく日数。家畜を管理するために、一頭囲いから出すごとに一つ小石や小枝を拾い、一頭囲いに戻すたびに一つ落とす、といったことをしていた時期があったはず。*1シュメールの遺跡では粘土で作られた様々な形のトークンが出土する。農耕の始まりと定住生活によって増えた穀...
科学技術哲学

東浩紀発言とポストモダン・プレモダンあと還元主義の罠

1.専門家団および公共性の軽侮 ある人が家に入ってくる。机の上の財布をポケットに入れ家を出て行く。この行為は正当か? この問いには、イエスと答えるのもノーと答えるのも馬鹿げている。その家がその人の家であるか、そうでないかによる。前者ならその人は財布を忘れた人であり、後者ならその人は空き巣だ。その前提を知らないままでは正当も不当もありえない。何の話かといえば、東浩紀の渦状言論: 歴史認識問題について...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ33 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 6/8

【第32回】 【目次】 【第34回】 前回でリリー博士に関しては最大の山場を越えたが、まだいくつか興味深い部分が残っているので『イルカと話す日』から抜き書き風に進めよう。第一章 イルカに関する新学説の展開 イルカに関する学説を最初に記録したのはアリストテレスである。その著作『動物誌』の中で、アリストテレスはイルカに関して鋭い観察を数多く書き記しており、イルカが胎生であること、授乳すること、呼吸をす...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ32 人間の思考に対して働く時代精神の制約がいかに強力なものであるか

【第31回】 【目次】 【第33回】 歴史上存在した生物の由来に関する理論は、創造論と進化論のふたつだけというわけではない。 もちろんそれは最も重要な境目には違いないが、『種の起原』が出版されたと同時にスイッチが切り替わるように前者が後者に置き換えられ、以後そのままであるかのような印象を抱いているなら誤りだ。 それはあくまで第28回で少し触れたような、我々が歴史を理解しやすくするために必要な簡便法...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ31 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 5/8

【第30回】 【目次】 【第32回】 ではまた『イルカと話す日』の続きから始めよう。次の部分はちょうど第29回の引用部分の直後に続くもので、ガイア教徒の鯨類に関する中心信条とでも言うべきものである。 機会があれば後で実例もお目にかけるが、驚くべきことに――そろそろ驚かなくなってきていてもらえると嬉しいのだが――今日時点ですら、これをほぼそのまま信じている人は大勢いる。 このような考察を推し進めてい...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ30 狂っているのは我々の歴史に対する感覚であって彼らの頭ではない

【第29回】 【目次】 【第31回】 前回で、ついに“脳”を介して歴史上三つの大いなる存在の連鎖が全て一本に繋がるところまで来た。いい機会なので少し俯瞰してまとめてみよう。 いつの時代も――少なくとも何万年という長きにわたって――ずっと変わらないものがある。それは、自分と自分たちの共同体が、宇宙の中で特別の歴史を持ち・特別の使命を帯び・特別の地位を占めていると信じたい人間の心である。 それは直接目...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ 中間テスト

しばらくの間、全く無関係ではないとはいうものの死刑問題に浮気していたり、やっぱりもうちょっと年代順を続けた方がわかりやすいかと思って構成を変更していたりと色々事情があってずっと停止していましたが、そろそろガイア教シリーズを再開しようとしています。 しかし、やはり最速でも週一・週二ぐらいしか更新できないので、待ち時間に使えるクイズ集を作ってみました。これは学校の試験ではありません。正解を出すことより...