物理

科学技術哲学

面積重要

およそ意味のある現象は、常に何かと何かの境界で発生する。  人体は大雑把に言って複雑に折りたたまれた内臓表面であり、それらを構成する細胞は大雑把に言って折りたたまれた膜(表面)の塊だ。  脳みそに皺が寄っているのも、肺が肺胞に分かれているのも、小腸が絨毛でびっしりなのも、全ては表面積を増やすためだ。  パソコン環境の生産性を上げるには、CPUやHDDの能力を上げるより、モニタの面積を増やした方がし...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年12月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『マネーの進化史』★  ニーアル・ファーガソン著。金融史本。地味だが悪くない。 『IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実』★ ...
科学技術哲学

ウィリアム・パウンドストーン『ライフゲイムの宇宙』

情報をエネルギーに変換することに成功! - プレスリリース - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部  以前から何度か言及しておすすめしていたが、上のニュースに便乗して改めて単独でオススメしておこう。  原題"The Recursive Universe"(『再帰的な宇宙』) 『囚人のジレンマ』と並んで作者の最高作と思う。  ライフゲームの話だけでも十分すぎるほど面白いけど、情報理論・熱力学・宇宙...
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マーティン・ガードナー『自然界における左と右』

数学者 マーチン・ガードナー氏逝去 - スラッシュドット・ジャパン  マーティン・ガードナーの訃報を見たので、ついでに一番記憶に残っている本を紹介。  よくある「鏡はなぜ左右だけ反転させるのか?」的な話から始まってパリティ対称性の破れなどまでカバーしてくれる、この話の決定版的存在。 おまけ  左右に腰振るだけなんてゲッダンよりつまらんと思ったら意外な収穫。 【ニコニコ動画】おちゃめ機能 歌った
科学技術哲学

レオナルド・サスキンド『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』

スーパーロボット大戦とか宇宙戦艦ヤマトとか、そっち方面を連想しそうなタイトルだが、真面目な話。著者は『宇宙のランドスケープ』と同じレオナルド・サスキンド。  これらの単位(プランクの長さ、時間、質量)には驚くべき意味がある。それらは、存在可能ないちばん小さいブラックホールのサイズ、半減期、質量なのだ。  という記述を読んで何か反応する人には是非おすすめ。スティーヴン・ホーキングとの論争の意味だけで...
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ブライアン・グリーン『宇宙を織りなすもの――時間と空間の正体』

あなたの住んでいるスペースコロニーが何かのはずみで、物理法則は同じだけど他に何もないからっぽの宇宙に一個だけ迷い込んでしまいました。  さて、このコロニーは自転によって人工重力を維持することが、 できる(他に何もなくたって空間に対して回転してるんだからできるよ!) できない(他に何もなければ回転しているという概念には意味がないのだからできないよ!)  どっちだかわかります? 自信持って答えられる人...