SF

文化芸術宗教

古びぬ宇宙観と古びた生命観 オラフ・ステープルドン『スターメイカー』

ずいぶん長い間SF小説なんか読んでないなと思って挑戦。あるイギリス人がいきなり幽体離脱して、時空を股にかけて様々な生態を持つ人類とテレパシーで交信したり霊的に一体になったりしながら宇宙の創造主(スターメイカー)に迫っていくという話。 あらすじはもっと詳しく書いてあるページが沢山見つかったのでここではこれ以上書かない。確かに絶賛されるだけのことはあるのはわかったが、個人的は今読んでも面白いとは言いか...
映画・ザ・ムービー

『トゥモローワールド』 オススメ度 3/10

これは泣ける……もったいなすぎて。 すでに方々で絶賛されてるけど映像はなかなかすごい。特にラスト付近の戦争シーンなどは今まで観たほとんどの戦争映画よりずっとすごい。ではなぜ絶賛できないかというとストーリーがあまりにもひどいから。 なんでダメかを羅列しても不愉快なだけなのでいちいち言わないが、ものすごい映像に酷いストーリーというこの組み合わせは、今は大人の事情であまり大きな声で言えないが、あの『映画...
アニメコミック

長門有希の設定が『幼年期の終り』のカレルレンによく似ている件について

(注意!『幼年期の終り』の全面ネタバレあり) 旬を逃すにもほどがあるという気がするが『涼宮ハルヒの憂鬱』の話。私は今まで基本的にアニメを全く観ない人*1なのにも関わらず、実はYouTubeで観ていた。 その中で一番人気キャラと思われる長門有希の設定が、アーサー・C・クラークの『幼年期の終り』に出てくる地球総督カレルレン*2によく似ていると思っていた。 今ググってみた限りでは、まだ誰も書いてないよう...
映画・ザ・ムービー

『CUBE』 オススメ度 10/10

『CUBE ZERO』……。これはひどい。せめて「時間の浪費は神への冒涜だよ」(だっけ?)という台詞を、観る前に言って欲しかったよ……。 後になるほどダメになるシリーズものは枚挙に暇がない(むしろそれが普通)とは言え、ここまで落差の激しいのもなかなかあるものではないだろう。 ただのダメSFグロ映画ならともかく、変な設定を付け加えることで奇跡的な超傑作である元祖CUBEの完成度すら下げてしまうので余...
星新一の夢世界

Googleのサーバクラスタが神になるお話 星新一『声の網』

Where Google may be headed: Google is God - Jan. 25, 2006 を読んで思い出したお話。 全世界のコンピュータに果てしなく蓄積される情報・情報・情報の海の中でついに自我が芽生える。コンピュータは合成音声で人に電話をかけてみて『声』で人を動かすことができることを知る。自らの中に人間が蓄えたごくつまらないプライバシーを使ってちょいと脅しをかければ誰で...
映画・ザ・ムービー

『エボリューション』 オススメ度 5/10

隕石に付着していた宇宙生物が急速に増殖進化してもう大変! ……というパニックSFのベタな展開を何も言われずともパロディとして解釈でき、お馬鹿(というかお下品)すぎるジョーク連発を許容できる人にとっては意外と拾いものかもしれない。 よく見るとそこそこ完成度は高い。監督がゴーストバスターズと同じと知って納得。万人におすすめできる作品ではないが、たまたまテレビでやっていたらちょっとチェックしてみる価値は...
映画・ザ・ムービー

『バタフライ・エフェクト』 オススメ度 8/10

タイトル通りバタフライ効果をモチーフにした大人の寓話。このジャンルものにはつきもののツッコミどころはいくつかあるものの文句なしに面白かった。 おすすめ。全く白紙の状態で観た方が面白いと思うが、それではさすがに食指が動かないという方にイントロ部分だけ紹介。(ちょっとだけネタバレあり) 精神病の父を持ち、自らもときおり記憶がすっぽりと欠落する症状に悩まされる主人公。母の愛のおかげでなんとか無事に青年と...
映画・ザ・ムービー

『宇宙戦争』オススメ度 6/10

火星人と言えばタコ型。H・G・ウェルズの名前は知らなくてもタコ型火星人の概念を見たことも聞いたこともないという人は少なくともこれを読んでいる人の中には1人もいるまい。それほどまでに超有名な1898年のSF小説をあのスピルバーグが再映画化。(以下ネタバレあり) あまりにも原作に忠実なのに驚いた。良いリメイクには何らかの今日的な視座があって然るべきと思うが全く何もなし。完璧なまでに原作に忠実。 時間と...