ハイパーインフレではハイパーなことは何も起きていない

ハイパーインフレの悪夢

 ハイパーインフレは色々な意味で目立つ経済現象である。近年ではジンバブエで発生してネタ化したことが記憶に新しい。だが、目立つ部分の大半は錯覚だ。見た目ほどハイパーなことが起きているわけではない。

 金本位制の時代と違い、現代の通貨の価値を担保するものは発行する政府の信用のみである。また次の誰かが受け取ってくれるという信用がなければ、ただの紙以下である。

 通貨の価値は政府の信用に比例するから、一定価値の通貨の額面――たとえば一定量のパンが買える札束の厚さ――は政府の信用の逆数になる。

 戦争に負けたり通貨を発行しすぎたり、典型的にはその両方だったりで、政府≒通貨の信用が大きく損なわれ、ゼロに近づくとき、ハイパーインフレが起きる。

 ハイパーインフレが大したことではないと言っているのではない。通貨の管理は、おそらく暴力の独占に次ぐ国家の最重要機能であり、その信用が限りなくゼロに近づいているというのは、仮に何らかの魔法でインフレにはならなかったとしても、国家崩壊に近い十分悲惨な状況である。

 そうではなくて、

  • 何百兆ジンバブエドルとかいう「ハイパー」な数字は、ゼロ(に極めて近い数字)で割ろうとしているために発生するバグ表示にすぎない

 と言っている。

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