人間

科学技術哲学

ひらか゛なすいしょう問題についての概略

将来書こうと思っているテーマだったのだが、何年後になるかわからないので、概略だけでも先に書いておこうと思う。  ほぼ以前Twitterでつぶやいたものを清書したのみである。  過去の漢字廃止論の経緯などには全く関心がないため、ここで言う「ひらがなすいしょう論」は「漢字廃止論」と必ずしも同一ではなく、 現在ネット上で広まっている漢字を廃止ないしは減少させてひらがなで日本語を表記すべきという主張  ぐ...
文化芸術宗教

もし戦争がなかったら、ピカソはゲルニカを作れただろうか?

という某氏のつぶやきから思い出した話。  むかし星新一で、一行で要約するなら、 悲しい歌を作らせて鑑賞するためだけに虐げられている星  というショートショート*1があって、ずいぶん長い間悩んだ記憶がある。  悲惨とか不正からしか生まれ得ない芸術というものはあるのか? あるとしたらそれを求めるべきなのか? あるいはそれを求めることは許容されるのか?  現時点での私の答えは 「あるかもしれないが、その...
政治経済社会

マット・リドレー『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』

原題は『合理的楽観主義者――繁栄はどのように進化したか』ぐらいの意味。直訳の方が良かったのではないかと思うこと以外はまったく素晴らしい。強くおすすめする。  内容的には、すでによく紹介されているところがあるのでそちらに譲るが、ちょうど関連書籍に並べたような本の内容をまとめたような感じになっている。これまで好意的に紹介してきたものばかりなので、同時におすすめ。 参考リンク 書評 「The Ratio...
政治経済社会

痴漢冤罪回避の呪文

現在某所でトップになっている、痴漢冤罪対策と称するコピペ。数年ごとに流行するデマで、2004年からあるらしい。私もいつかは忘れたが、前回のブーム時には見た覚えがある。 H-Yamaguchi@Tumblr -  もし、貴方が痴漢恐喝女に嫌疑をかけられ、駅員に引き渡されそうになったら・・・... 2004-05-27 - 間違いだらけの痴漢冤罪回避マニュアル  この現象は、昔の「悪魔を退散させる呪文...
政治経済社会

ティム・ハーフォード『人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く』

『まっとうな経済学』と同著者。 原題は『生活の論理:不合理な世界の合理的な経済学』ぐらいの意味合いで、今回もかなり面白い。  『まっとうな経済学』は『ヤバい経済学』と連続して紹介したけど、奇しくもまた『超ヤバい経済学』に連続しての紹介。  それぞれの位置づけも、やはり前回と同じで、変わった話題に経済学的視点を適用してみる『超ヤバい経済学』に対して、こちらはひたすら“インセンティブ”という視点に絞っ...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年8月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『基礎から学ぶ楽しい疫学』★★★★★  中村好一著。そのまんま教科書。真剣に勉強する気がある人にしかおすすめできないが、ある人には絶対おす...
科学技術哲学

マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線』

これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。  本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。  関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。  つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。 関連書籍 おま...
文化芸術宗教

グレッグ・イーガン『順列都市』から2点抜粋

グレッグ・イーガン『順列都市』から、後々話に使いたいと思っているところ2点を、最低限の説明をつけて抜粋。 《なにも変えない神の教会》  マリアは話しつづける。「『神はなんの違いももたらさない……なぜなら、神こそは万物がいまある姿をとっている理由だからだ』、ですっけ? だから、あたしたちはみんな、宇宙を心静かにうけいれられるってわけね?」  フランチェスカは首を横にふった。「心静かに? いいや。そう...