リチャード・ドーキンス

科学技術哲学

リチャード・ドーキンス『進化の存在証明』

はーい皆さん、グールド亡き今世界一有名な進化論啓蒙者であり、人格的には割とクソ野郎なドーキンスの兄貴の新刊のお時間です。  今回のテーマは非常に明解。進化は事実だということ。  「……それはギャグで言ってるのか?」と思うでしょうが、旧約聖書の創造論をまんま事実として信じている人間が今でも大勢いて、一定の政治力を保っている欧米の読者を主な対象としているので、そこは割り引いて考えて下さい。*1  個人...
科学技術哲学

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡』

Passion For The Future: 神々の沈黙―意識の誕生と文明の興亡  事前の情報からは明らかに期待できない内容なのだが、『神は妄想である』の中でドーキンスの兄貴が、 この本はタイトルからうかがえる通り、奇妙な本である。まったくのトンデモ本か本物の天才の傑作であるかのどちらかで、中間では絶対ない! おそらく前者だろうが、賭けるのはやめておこう。  とか書いてたから、一応目は通しておか...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ13 現在のほとんどの反捕鯨批判は的を外している

【第12回】 【目次】 【第14回】  私がこのように3名(+私)の文章を並べたのは、もちろんガイア教に慣れ親しんで理解を深めてもらいたかったからだ。これは一番重要なことなのでもっと続ける予定だった。(そう、実はまだあるんだ。)  が、シー・シェパードという団体の活動家が捕鯨船に乗り込んで拘束されるという事件が起きていて、少しでも早く彼らの過激さの源についての話にたどり着く必要を感じたので、ちょっ...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』10月18日発売

amazonからのメールおすすめが初めて役に立った。予約注文しとこう。  ドーキンスの『神は妄想である』の中で『千歳の岩』という名前で批判的に言及されていた本だ。  原題が『ROCKS OF AGES』だから直訳としては千歳の岩で正しいが、さすがにわかりにくすぎるということで邦題がこうなったんだろう。  実をいうと『神は妄想である』はもうだいぶ前に読んだのだが、どう言及すればよいものか迷っている。...
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リチャード・ドーキンス『祖先の物語~ドーキンスの生命史~』

こ・れ・は、素晴らしい! 殿堂入りクラス。  内容については訳者あとがきの記述が十全なのでその引用に留めるが、グールドを精神上の師の一人に数える私には特別な感慨がある。  とにかくこれは超オススメ。  本書は、進化生態学の巨匠ジョン・メイナード・スミスに献じられているが、ある意味で、「宿敵」スティーヴン・ジェイ・グールドに捧げられた本とも言える。『社会生物学論争史』の中でセーゲルストローレは、ドー...
科学技術哲学

豚肉とコーラと倫理の究極の問題

医学都市伝説: 豚肉+コーラで寄生虫がゴロゴロ?  イスラム教で豚肉が禁じられているのは有名だが、世界には大なり小なり様々な食のタブーがある。  歴史上もっとも食のタブーが少ないと言っても過言ではない現代の日本ではこれらのタブーは非常に奇異に感じるであろう。事実、こうした話題になるとネットではよく「何の根拠もないのに『神の思し召しだから』とか言ってタブーを守るなんて狂っている」という類の主張が見ら...