5/11〜5/14にかけて胃腸にくる風邪を引いて寝込んでいた。
その前週の5/7(金)ぐらいから今ひとつな体調で、8日に健康診断に行ってバリウムと下剤を飲んだ。当然お腹は下り気味だったのだが、それが治らない。
下剤が合わなかったのかと思ったが、火曜日から熱も出てきた。どうやら元から胃腸の風邪になりかけだったところに下剤も飲んだので、両方の要因が合わさってしまったらしい。
5/14ぐらいにようやく食欲が戻ってきて、現在はほぼ回復しているのだが、これだけひどくお腹を壊したのは生まれて初めてだった。ちょうど「コレラになったらこれをもう数倍した感じなんだろうか?」というような。
おまけ
やったやったこういうの。
by 木戸孝紀
tags:健康 日記 病気
アルフレッド・クロスビーつながりで三冊目。1918〜1919年のスパニッシュ・インフルエンザ、通称スペインかぜのパンデミックを扱った本。超不謹慎だが終始、映 画 化 決 定 ! ! というテロップが脳内を流れっぱなしであった。めちゃめちゃ面白い。
強毒性のインフルエンザが発生した。折しも世界は第一次世界大戦のまっただ中。冷たい雨の中を行軍し、狭い船に詰め込まれて移動する大勢の兵士達が、戦時公債購入を呼びかけるパーティーやパレードが、感染を強力に後押しする。
現代の知識からするとまったく効果のないワクチンしかなかった時代。マスクの着用を徹底することで一度は押さえ込んだサンフランシスコの取り組み。しかし、結局警戒心が薄れて再度の流行を許す。みんなの予防のために個人に些細な努力をさせることがいかに難しいか。
寒い中で前線から後送される間に死んでしまう兵士もいれば、病院から誰も帰ってこないのを見て酒一本で意地で治した兵士もいる。三日間無許可離隊して台所に入り込んでかまどに寄りかかって眠りコックにスープをもらって生き延びた兵士もいる。ちょっとした機転で生死が分かれる。
インフルエンザで亡くなった人のロシア正教の葬儀で同じイコンに接吻する参列者達。長らく伝染病の概念が薄かったアラスカの先住民もバタバタやられる。太平洋の島々では各国の検疫態度が運命を分ける。
パリ講和会議の首脳達も軒並みインフルエンザにかかっていた。理想主義者だったウッドロウ・ウィルソン大統領が様々な点で折れてしまったのはその影響も大きいのではないかという。インフルエンザがなければ第二次世界大戦も太平洋戦争もなかったかもしれないのだ。もちろん歴史にifはないが。
そしてインフルエンザ研究の歴史、桿菌説と濾過性微生物(ウイルス)説。人間しか実験対象がいない状態での病気の研究がいかに困難か。感受性を持つ動物の発見と厳密な実験施設によってウイルスの存在を突き止めるまで。科学が山なす失敗の上に少しずつ発展を続けていく過程は実に面白い。
なぜ世界はこの最大のパンデミックを綺麗に忘れてしまっているのか。戦争の印象が圧倒的だったからか、目に見える後遺症を残さないからか。鳥インフルエンザが無視できない危険として警告されている現在、人類はこの記憶を呼び起こし、生かすことによって再度のパンデミックを防げるのだろうか。いやー、とにかく面白かった。
参考リンク
関連図書
おまけ
微生物研究つながり。
by 木戸孝紀
tags:インフルエンザ 書評 病気 歴史
危険部位が見つかるというのは結構あるかと思っていたがこの決断の早さは意外。タイムリーなので前のブログに書いたエントリをちょっと書き直して再録する。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)というのはBSE(牛海綿状脳症)、平たく言えば狂牛病のことである。
狂牛病はごく最近まで知られていなかった全く新しいタイプの病気、プリオン病である。ではプリオン病とは何か?
寄生虫・バクテリア・細菌による病気はわかりやすい。単に、体に侵入した他の生物が何か体にとって不都合な活動をしているということだ。
ウィルスは少し違う。ウィルスは遺伝情報たる核酸(DNAまたはRNA)とそれを保護したり宿主に侵入するのを助けたりするタンパク質だけからなっており、核酸を複製したりタンパク質を合成したりできない。標的となる宿主の細胞に侵入してその機能を利用して自分自身を再生産させているのだ。
対してプリオン病はプリオンタンパク(PrP)が凝集することによって起こる病気である。プリオンタンパクは単なるタンパク質であり、DNA・RNAからなる遺伝情報は一切を持っていない。
ちょっと待てと思うだろう。遺伝情報を持っていなかったらどうやって増殖したり感染したりできるのか?
実はプリオンタンパクも宿主自身が作っている。ただしウィルスに感染した時のように遺伝情報を持ち込まれて「作らされている」わけではない。
本来の機能は未解明であるものの誰でも作っていて、脳や神経にはプリオンタンパクがたくさん存在する。にもかかわらず誰もがヤコブ病にかかるわけではない。
では凝集する異常プリオンと凝集しない正常なプリオンの違いはどこにあるのだろう。遺伝情報が同じなのだからタンパク質を構成するアミノ酸の種類と配列も同じである。
それにも関わらず性質が異なるのは折り畳まれ方が違うからである。このことはプリオンタンパクに限らずタンパク質全てに言える。
ガムテープにたとえるとわかりやすいだろう。長いガムテープをくしゃくしゃと丸める。丸める前は全く同じ種類同じ長さのガムテープでも、丸めた後は、どこが固くてどこが曲がりやすいか、どこがくっつきやすくてどこがくっつきにくいか、などの性質には大きな差ができる。
異常プリオンは、互いにくっつきやすい構造をしていて、さらに正常プリオンの折り畳まれ方を(誤って)制御して自分と同じ異常プリオンの折り畳み方に変えてしまう性質を持っているわけである。
そのため異常プリオンは遺伝物質を持たずとも、周囲の正常プリオンを異常プリオンに変えどんどん増えていくことができ、増えた異常プリオンがくっつき合って凝集することによって病気を引き起こすことができるわけである。
by 木戸孝紀
tags:ニュース プリオン 生物 病気