メラのダメージはなぜ10なのか?において、ドラクエが位取り表記法によって生じる心理的効果をうまく利用していることを書いた。
私が拙作『ひぐらしのなくこロワイアル』を作るにあたってそれをどう応用しているかを解説する。
元ネタ『ひぐらしのなく頃に』を知らない人は要点には関係ないのでわからないままでかまわない。
まずここでキャラのステータス画面を見てもらおう。『ひぐらしのなく頃に』はノベルゲームであるため数字的要素は一切なく、私はこれらの数値を完全に自由に設定することができた。各キャラのライフを何を考えながら決定していったかの思考を再現してみることにする。
まず一番最初に考えたのが必要な数値の幅である。短いサイクルで何度も遊ぶゲームにしたかったのでせいぜい20数ターンで決着することにした。したがってあまり幅はいらないのは明白である。
3ケタはいらない。2ケタで十分だ。かといって1ケタでは狭すぎるし、ケタ数の違いによる印象の差を利用することができない。2ケタは欲しい。よって最大ケタ数は2ケタに決まった。
2ケタの中ではできるだけ最大ライフは低くしたかった。コルク鉄砲や裁縫針の「1ダメージしか与えられない」という外れ武器特性をゲーム上で無意味なものにしないためである。実はこれもドラクエから学んだ手法のひとつである。
FFでは大抵の場合HPやダメージは4ケタまで存在するが、ドラクエはガンコに3ケタまでである。HPが多ければダメージも多くなるのだから見た目が違うだけで内容的には同じだと思うかもしれない。
では、試しに脳内でドラクエのHPやダメージを4ケタ表示に変更してみよう。確かに変わらないように見えるかもしれないが、決定的に違ってくるところがひとつだけある。
それはメタルスライムが倒せないということである。メタルスライムのHPが30だったら普通の手段では倒せない。メタル系モンスターの1ダメージしか与えられないというキャラクターづけは最大HPが低いことによって成立しているのである。
最大ケタ数は2ケタで、しかもできるだけ低くしたい。ここでまずもっともタフなキャラクターである富竹ジロウともっとも打たれ弱いキャラクターである古手梨花のライフがそれぞれ20と9と決定した。
富竹は1人だけ10の位が2に達することによって、梨花は1人だけ最大ライフが1ケタであることによって、それぞれの特徴を強調したのである。
ダメ押しとしてライフの2位とブービーである大石と沙都子が18と11に決定した。ライフの多さ少なさ自体が特徴である1位とビリは、1ポイント差のキャラを作らず2ポイントの開きを与えることでさらに強調されるわけだ。
残りは「このキャラはこのキャラより上(下)でないとおかしいな」という印象で自然に決まってくる。結果的にうまくいったが、仮にここで破綻していれば最大値の設定からやり直しただろう。
ライフ以外のステータス、スタミナ、パワー、スピードは必要とされる幅が少ないため憶えやすさを優先し1ケタにした。なのでほとんど必要とされる優劣だけで決定している。
多少の工夫を加えたのはこちらの武器の攻撃力である。先に述べたように外れのネタ武器は1ダメージしか与えられないとかマイナス攻撃力であるとか特徴づけたが、他の一般武器にもある程度一貫した法則をつけている。
1ケタの範囲に収めるため妥協した部分が多いが、おおむね鈍器は偶数、刃物は奇数になるようにしてある。これもあらかじめ持っている印象を数値と結びつけて少しでも記憶しやすくするためである。
という具合に文章にするとやたらと長かったが、要は数字にも文字と同じように表情があってメッセージを伝えることができるということを言いたかったのである。
コメント
ほう、ひぐらんちゃは知ってましたがこういうのも作ってらしたとは。複数フォルダを手動で移動してもらわなけりゃならないようになるとしたらこういう対策を取るべきでしょうね。情報ありがとうございます。
そこは、むいむい。さんのファイル移動なし起動ライブラリはどうですかー?
http://d.hatena.ne.jp/eiji8pou/20050914/1126709682
鈍器は偶数、刃物は奇数ってのはなるほどって感じです。
もちろん追加しますけど、問題はいままでの素材が全部CDに収まってるのかどうかですね。罪滅し編の時にすでに結構ギリギリだった気が。いまでも音素材は出題編版からコピーして動かしてもらってますけど絵まで手動でコピーしてもらわなきゃならないとなると結構めんどくさいかも。
またおんなじミスを…。ごめんなさい。
何も入れないと上記のような名前になるんですね。
鷹野のナース服も追加でお願いします(笑)
いよいよ皆殺し編ですねー。もしかしたらもう作らないでいいかと思ったけどトミーがスーツ姿で殺し合いする画面を想像しただけで笑えてやっぱり作らざるを得ないかと思ってしまいます。