FF3 感想その3 まおうザンデ概論

ファイナルファンタジーIII

 (ネタバレあり)

 ドーガの館、ここの音楽も好きだなぁ。モーグリに包囲されるが予想通りクポー口調に変更されている。嫌いではないけどちょっとうるさい。

ノアは しぬとき わしに そのまりょくを
ウネに ゆめのせかいを そして ザンデに
にんげんとしての いのちをくださった。
だがザンデは それが ふふくで このちを さった

(ドーガの台詞 FC版のもの)

 うおおおお、このノアと弟子達のエピソードは趣があって大好きだ。テキスト量としてはわずか数行だけど、個人的には今どきどこの中学二年生でも書きそうな設定年表何千年分よりもずっと価値があると思うよ? もちろん植松音楽と天野絵の効果が加わってこそのものではあるけれど。

 潜水ノーチラスを使い海底洞窟等でいろいろお宝をあさったらシーフの打撃力がアップしてきて風水師の攻撃力を上回りはじめる。このまま風水師の天下で終わらなくてよかった。と、思っていたら時の神殿のメイジキマイラ3匹の集団にいかずちを連発されまたも全滅。

 逃げるの成功率が高く、ダメージ増加のペナルティも薄いことに気がついたので、探索とレベル上げははっきり分けて、探索時は逃げることにする。

 FC版は逃げるの成功率が低く逃げようとしていいる間に殴られるとめちゃくちゃなダメージを受けるためほとんど逃げるコマンドは存在しないつもりでやらなければならなかったのだが、その点ではだいぶぬるいな。

 ウネ加入。どうやら世界の時間が止まっていた等の設定変更はザンデが不老不死を得るためという動機につなげるためだったようだ。昔は単に世界を破滅させようとしている以外の具体的な動機は語られなかったのだが……。

 うーん、そう来たか。実は予想してなかったと言えば嘘になる。FC版ではザンデの動機に関連する台詞は上記のドーガのものを含めたったの3つしかなかった。

ザンデさまも いいひとだった。
でも だいまどうし ノアが じぶんには
にんげんのいのちという つまらないものしか
くれなかったといって ここをでていったのです。

(ドーガの館にいるモーグリの台詞)

ノアが ザンデにあたえた にんげんとしての
いのちこそ さいこうのものなんだけど・・・・
ザンデには わからなかったんだね・・・・

(ウネの台詞)

 他にも公式設定とかがあったのかもしれないが、この説明不足っぷりはそれはそれで人間の常識や価値観を超越したレベルの争いという神秘的な雰囲気作りに貢献していたと思う。

 しかし、同時に「人間としての命」の解釈がわかりにくく、たまにノアがボケ老人扱いされたりする原因にもなっていた。設定変更はそこを補うためだろう。

 ドーガ・ウネ・ザンデの3弟子はもともと人間ではなく、ドーガ・ウネは戦闘時のアレが真の姿で普段の爺婆姿が仮の姿なのであろう。

 また、人間は実際の能力とは無関係に人間以外より偉く、人間外から人間になることには素晴らしいことだ、というファンタジー世界で一般的な価値観*1は存在していると思われる。でなければそもそも魔力や夢の世界と併置されるわけがない。

 しかし「人間としての命」の実際の価値は、ザンデにとってつまらないと解釈されうるものであり、かつウネにとっては最高のものとも解釈されうる二面性のあるものであるらしい。

 そこをどう考えるかだが、おそらくここでの「人間としての命」はいわゆる「死すべき定めの命」*2を指していると思われる。

 ドーガにも寿命があるらしきことから、もとから不老不死というわけではないだろうが、人間としての命は彼ら本来の寿命に比べて相当に儚いものなのだろう。

 ザンデは「人間になれたってつまんねー。おまけに寿命も人間並みになっちゃってちょーむかつく!」と思ったわけだ。今回の設定変更でこの部分が確定した、あるいは強調されたことになる。

 ではなぜウネが「最高のもの」と言っているのかというと、おそらくノアの意図としては、ザンデにあえて儚く弱い人間の人生を生きることによって、限りあるが故の人生の尊さ*3だとか、弱いが故の勇気だとか、死が最後のものではないとか*4の逆説的な価値に気づいて魔導師としてより高次の悟りに達して欲しいということだったのではないかと思われる。

 そうするとノアがザンデに一番つまらなく見えるものを相続させたのは、獅子谷的な親心であって、実際には弟子の中で一番ザンデに期待を掛けていたという推測も成り立ち、すれ違いから生じた悲劇的ストーリーとして上手くまとまる。*5

 設定変更によってFC版の時に比べるとかなりわかりやすくなったとは言える。しかし「永遠の命を求める」というのはファンタジーRPGの悪役としては極めてありがちだ。

 ノアとのすれ違いのあたりまで読み取れなければ一途に破滅に突っ走っていた昔のザンデよりも矮小化されて見えてしまうのも確か。一長一短かな。

 それとは別に1000年時が止まっていたという設定のせいで新しい矛盾点が山ほどできてしまった気がするが矛盾だらけなのは元からなのでまあキニシナイ!! 話がそれて長くなりすぎたので次回へ続く。

*1:道教の妖怪仙人みたいな。
*2:英語でいえばmortal。
*3:銀河鉄道999みたいに。
*4:後でドーガとウネが魂は不滅じゃとか言って出てくるシーンがあるし。
*5:ウネやドーガの方に人間としての命を与えなかったのは眼鏡違いということになり、結局ノアはボケ老人のそしりを免れることはできないのだが。

コメント

  1. ファイナルファンタジーIII

    『ファイナルファンタジーIII』(FINAL FANTASY III、略称FFIII)は、スクウェア(現スクウェア・エニックス)より発売されたコンシューマーゲーム機用ソフト。ゲームのジャンルはRPGで、ファイナルファンタジーシリーズの3作目。

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