1ヶ月間1日3食マックを食べ続けたらどうなるかを自分で人体実験してみたよ! というドキュメンタリー映画。
タイトルが秀逸。第一印象から言うと、よく比較されるマイケルムーア作品よりも品が良くて好きだ。一度は見ておいて損はないと思う。
題材は言うまでもなくマクドナルドを筆頭とするジャンクフードと肥満問題の関係である。
実験の科学性に疑義が出ているであろうが、どうせ1人のケースで科学的な結果など出せるわけがないのだから個人的にはどうでもよいと思う。
日本ではアメリカと違って肥満を深刻な社会問題として意識することはまだ難しい。自分の肥満に責任があるとしてマクドナルドを訴えた話はどちらかというと“訴訟大国アメリカ”の文脈で嘲笑的にとらえられている思う。
もちろん仮に私が肥満だったとして、今現在マクドナルドを訴えたいとは思わないだろう。しかしまた荒唐無稽とも思わない。今現在の視点ではばかげた主張に見えることは確かだが、社会がジャンクフードをずっと今のまま許容し続けるとも思えないからだ。
作中でも出てきたがタバコ問題との対比で考えてみるとよい。私の子供の頃は現在のように「吸っていいと決められた場所でしか吸ってはいけない」というマナーが一般常識として定着することなど思いもよらなかった。
あるいはタバコの箱に「あなたに肺ガンのリスクをもたらします」とかなんとか表示することが義務になったり、「マイルド」のような名前をつけることが禁止されるということも想像もしなかった。
私が見てきたたった20年のうちにそれだけの変化があったのだ。社会の倫理観は知識の進歩に伴ってわずかずつとはいえ着実に変わるものだ。
私の両親の時代は学校の予防接種でいちいち針を変えたりしなかったという。今の価値観では「なんと野蛮な!」と思ってしまいそうだが別にそのころの日本人が特に馬鹿だったというわけではなく当時はそれが普通だっただけだ。
私の子供の世代は「むかしはどんな場所でタバコを吸ってもよかったんだよ」と聞かされたら「20世紀というのはなんと野蛮な時代だったのか!」と言うに違いない。いずれジャンクフードに対しても似たようなことが起きるだろう。
タバコの箱にがんのリスクを明記することが義務になるのなら、そのうちジャンクフードの包み紙に「あなたに肥満と心臓病のリスクをもたらします」と表示することが義務になったっておかしくない。
タバコに「マイルド」のような害が少ないかのような名前をつけることが禁止されるならば、マクドナルドでおもちゃを配ったりピエロや遊具を配置したりすることが禁止されたっておかしくはないだろう。
おそらく私の玄孫あたりの世代はマクドナルドが乱立していた21世紀中ごろの世界を野蛮の極みと馬鹿にすることになるのではあるまいか。
コメント
メモメモ>>
<米ディズニーランド>子供肥満対策乗り出す ポテト止める
世界各地でテーマパーク「ディズニーランド」を展開する米ウォルト・ディズニーは16日、園内のレストランなどで、子供向けメニューの砂糖や脂肪分を制限し、フライドポテトの代わりにニンジンを提供すると発表した。米国では子供の肥満が社会問題化しており、影響力の大きい同社が対策に乗り出した格好だ。(毎日新聞)
そうですねえ。ボウリング・フォー・コロンバインは面白かったですが。あれについてもいつか書こうかな。
↑「食べ過ぎたら」じゃなくて、「食べたら」だ。日本でも食べ過ぎたら、そりゃ太る。そうそうマイケルムーア作品は編集の魔力を感じるなぁ。
マクドナルドは食べ過ぎたら絶対太るよ。セットのドリンクは全部飲んだら体が冷えきる。木戸さんも痩せてるから絶対骨の芯から冷えますよ。ハンバーガーもマヨたっぷりのジャンボサイズだから大変よこれが。
これか。ホントだ。これも変化の1つなんだろうな。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060510-00000004-fsi-bus_all
アメリカと日本では実際の肥満度だけでなくて肥満の基準もだいぶ違いそうだ。マックでなくても「一人前」の分量が違いすぎる。
そういえば最近米でディズニーが肥満問題の関係でマクドナルドとの業務提携を切るとかいう話しあったね。
同じく最近聞いた話でアメリカ国民の6割が実際に太り過ぎなのに対し自分自身が太り過ぎだと自覚しているのが4割というのが面白かったなw