家計簿は支出を変化させるため
最初に、そもそも家計簿は何のためにつけるのかをはっきりさせておくべきだ。それは支出の傾向を変化させる――貧しくなることに快感を覚える経済的マゾヒストでない限り、減らす方に――ためだ。
もし支出の傾向を変化させないのなら、家計簿の中身が正確だろうが不正確だろうが、実は般若心経の写経であろうが、何の関係もないのだ。だから、家計簿は支出を変化させやすいようにつけるべきだ。
「目的別」に分けろ
具体的にはどうするか? 支出を、
- 対象ではなく
- 目的別に
- 同時に変化するか否かによって
分類することだ。
たとえば、
- 国内旅行に行った時の新幹線代
- 隣の駅デパートに服を買いに行った時の切符代
- 自動車通勤のガソリン代
を、同じ交通費だからといって、「交通費」という項目にまとめるのはバカげている。そのような足し算は、一見もっともらしく見えるというだけで、実際には何の意味もない。
- 旅行に行くのに新幹線が高いから各駅停車で行く
- 服を買いに行くのに電車に乗らずに自転車で行く
- 自動車通勤のガソリン代がもったいないから徒歩で通勤する
とかいうことは実際上不可能なのだから、支出を変化させる役に立たない。それでは家計簿の存在価値もない。
- 旅行に行かないなら新幹線代もなくなる
- 服を買わないなら切符代もいらない
- 職場に行かなければガソリン代もいらない
のだから、この場合
- 新幹線代は「旅行代」(遊興費)
- 切符代は「服代」(服飾費)
- ガソリン代は「仕事代」(経費)
として扱われるべきなのだ。そうすれば、
- 旅行に行きすぎたので来年は控えよう
- 服を買いすぎたのでしばらく買うのはやめよう
- 転職のときは徒歩圏内に住むようにしよう
などというように、支出を変化させる参考にすることができる。
電気・水道・ガスなどもそうだ。これらは多少無駄にしようが節約しようがたかが知れている。*1大きく変化しうるのは引っ越しの時だけだから、電気代・水道代・ガス代は、家賃や住宅ローンと一緒に住居費につけるべきだ。
実際に私が使っている分類は以下の通り。
項目名 | 説明 | 他入るもの |
---|---|---|
健康 | 健康を維持するために払うお金 | サプリ・ジム |
食料 | 生命を維持するために払うお金 | スーパーで買う雑貨 |
衣料 | 衣服を維持するために払うお金 | 散髪・クリーニング |
住居 | 住居を維持するために払うお金 | 家具・電気・ガス・水道 |
社交 | 人間関係を維持するために払うお金 | |
通信 | 情報インフラを維持するために払うお金 | パソコン関連 |
教育 | 教養を維持するために払うお金 | |
遊興 | 精神衛生を維持するために払うお金 | |
投資 | お金を生むために払うお金 | |
税金 | 国家・地方の公共サービスに払うお金 | 社会保険 |
こまけえこたぁいいんだよ!!(AA略
どこに分類していいのかという、いわゆるコウモリ問題は常に生じる。この方法でも避けられないが、やはり同時に変化するか否かの判断基準を適用する。
たとえば一人なら行かなかったような高級レストランでの食事は「社交」に入れるべきであろう。旅行中の食事は「遊興」に入れるべきだろう。
ただしこだわりすぎなくてよい。たとえば歯ブラシは厳密には「健康」に入るべきであろうが、スーパーで食品と一緒に買ったときは、レシートの合計をそのまま食料に入れてしまっても別に構わない。
数字もある程度適当でよい。家庭は銀行ではないので、1円まで正しくつける必要は全くない。家計簿をつける時間もコストだ。1円まで正しく把握するのにかかるコストが1円を上回ってしまうなら、こだわるのが逆に浪費だ。
10円、いや100円、1000円でも1万円でも同じだ。実際私も、手持ちの現金については1万の単位までしか確実には把握しない。コインやsuicaの中身などを確認するのが手間だからだ。
把握するのがおっくうで家計簿をやめてしまうよりは、たとえ合計一万円の誤差があっても家計簿をつけている方がよっぽどいい。一万円ずれても家計は傾かないが、家計簿をつけず支出がコントロールできなければ傾くことはありうる。
固定費も必ず手でつけろ
毎月自動的に払い込まれるようになっていて、意識する必要のない固定費でも、毎月自分の手で処理する。
必ずしも一文字一文字手で打ち込まなくてもよい。エクセルのセルをコピペするぐらいでいいから、とにかく毎月自分の意識を通過するようにする。
自動的に払うことになっているからといって漫然と払い続けていたら、「家計を改善したい時はまず固定費から減らす」というセオリーを守れない。
*1:だからといってもちろん無駄使いすべきではないが、そんなことは言うまでもないことだ。
おまけ
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