岡田斗司夫『ぼくたちの洗脳社会』

ぼくたちの洗脳社会 (朝日文庫)

 この件。現時点での情報から判断できる限りではほとんど弾さんと同じ感想なんだけど、どうしても納得がいかない。

 岡田斗司夫はもちろんいろいろな方面で有名な人物だが、私にとって一番の印象はこの『ぼくたちの洗脳社会』の著者、というものだった。

 最近公式サイトで全文掲載されているのを知ったのでリンクしておく。かなり面白い本だった記憶がある、今でのその価値を大きく減じているとは思えないので改めておすすめする。

 私が納得がいかないと思っているのは、この本の中でも特にキャッチーで印象に残っているこの部分を書いたのと同じ人が、今回のような騒動を起こすのかなあということだ。ダイエットの話はどうでもいいが真相が気になる。

○架空企業「S.D.L」

 ここで少し、経済影響力がもっと小さくなって、洗脳影響力がもっと大きくなった近未来社会を考えてみましょう。その社会にそのとき巨大な洗脳力を誇る、ある団体が存在するとします。仮にこれをスーパーディズニーランド(S.D.L)と名付けてみましょう。別にこの団体は、遊園地を経営してるわけではありません。コンピューターソフトの開発をしているかもしれませんし、酒を造っているかもしれません。

 S.D.L.は殆ど全てのスタッフがボランティアです。それでも参加希望者は後を絶たないので、他の団体や企業より優秀な人材が集まります。スタッフは無給ですが、宿泊施設や食堂が完備しているので、当座困ることはありません。
 S.D.L.のほとんどの敷地や設備も、様々なところからの寄付や無料貸与によってまかなわれています。従ってS.D.L.の維持費は他に比べ異常に安いと言えます。それに伴い、営利を目的としないS.D.L.の生産品も破格の安さです。
 S.D.L.は経済的に見ると、資本金も資産も取るに足らない小さな企業です。が、人々に対する影響力、つまり洗脳力では爆発的な力を持っています。これが洗脳社会に置いて、優良な会社です。

 「ちょっと待った。そんな組織、会社って『カルト教団』じゃないのか?」と思われる方も多いでしょうから説明します。
 「自由経済社会」を理解できない昔の人は、こう考えるはずです。
 「『自由経済社会』って、要するにどんな手を使っても、金を得た奴が勝ちなんだろう。だったらそんな社会って泥棒だらけじゃないのか?」彼の考えは理解できますが、ハズしていますよね。
 「自由経済」だからこそ、最も忌むべき犯罪は他人の財産を不当に横取りすることなのです。
 「自由洗脳社会」でも同じです。この社会で最も忌むべき犯罪は「他人を強制的に洗脳すること」です。
 お互いに自由に洗脳しあっているからこそ、社会は安定し、人々は安心して色々な価値観を試し、洗脳されることが出来る。そんな中で他人を拉致監禁して、強制洗脳する事は最も嫌悪される行為です。そして「プラスのイメージ」が資産になる洗脳社会では、みんなから嫌悪される、というのはとてつもない大ダメージなのです。

おまけ

 なんかわからんがセンス良すぎです。本気で観たくなってきたぞ。

コメント

  1. 木戸孝紀 より:

    >天さん
    あー、そこまでは見たかもしれません。説明不足でごめん。一週間後に云々の一週間はまだ経ってませんよね? そろそろかな。

  2. より:

    この件に関して本人のblogにこんなコメントがあったそうです。
    http://b.hatena.ne.jp/entry/http://putikuri.way-nifty.com/blog/2007/10/post_16ad.html

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