何の本に載っていた話か忘れたが、こういうエピソードを憶えている。
そのビルでは「エレベーターが来るのが遅い」という苦情が絶えなかった。
ビルのオーナーはまずエンジニアに相談した。エンジニアは機械を改良してエレベーターの速度を改善した。しかし、苦情は減らなかった。
オーナーは次にプログラマに相談した。プログラマはエレベーターの動きを制御するプログラムに改良を加えもっと効率的に動くようにした。それでも、苦情は減らなかった。
最後にオーナーは心理学者に相談した。心理学者はエレベーターホールに大きな鏡を取り付けさせた。すると、苦情はピタリと止まった。
うろおぼえなので細部は脳内改変されているだろうし、そもそも実話かどうかも知らないが、十分あり得る話だと思う。
とかいうニュースが出て以来ニコニコ動画の収益改善策についての話題が盛んであるが、
など、すでにまともなアイデアは大体出尽くしてしまっている感じがするので、ちょっと心理学……と言えるかどうか微妙だが、搦め手から攻めてみたいと思う。私の提案はふたつ。
1.月2500〜2800円のVIP会員を新設する
プレミアム会員を上回るVIP会員を作る。費用はとても高いが特権は……えーと、適当でよい。プレミアム会員の特権にさらに加える部分はイベントに優先的に招待されるとかネタ的なもので十分。
アイマスMADを作る機材に何十万も注ぎ込んでいる人もいる世界なので、どんなに高くても何かネタ的に面白い特典が一つでもあれば、数は少なくとも一定の人数は必ず入るだろう。
ただし、VIP会員新設の最大の目的はVIP会員からの収入を上げることではなく、プレミアム会員を「二つの選択肢の中の贅沢な上の一つ」から「三つの選択肢の中の贅沢でもケチでもない真ん中の一つ」に変えることにある。人間はどうも三つあると中間を選びたくなるものであるらしい。
無料会員が、二つの選択肢の中でデフォルトの一つであるうちは、みんな贅沢なプレミアムを避け、清貧に耐えて「運営氏ね」とかコメしながら頑張ってしまう。上にバカみたいに贅沢なVIP会員を設けてしまうことによって、プレミアムの贅沢感を消し、同時に無料会員をVIPどころか安いプレミアムすら払えない「三つの選択肢の中の一番ケチな一つ」に変えることができる。
具体的にどこまで高くするかだが、さすがに三千円台に入るとプロバイダ料金と比較してしまう領域に入ってくるし、野口英世三枚が脳裏に浮かぶぐらいになってくるので、3000円未満が限界だろう。
ただし、贅沢に見えることが必要なので、2980円とか2900円とか安く見せたがっているっぽい価格にはしない方がよい。よってVIP会員の価格は2500円から2800円の間のどこかになる。月2500円なら私も迷う。おそらく迷うだけで実際には入らないが。
2.プレミアム会員を420円か390円に値下げする
現在のプレミアム会員の価格設定「525円」はおよそ考えうるかぎり最悪に近い。というのは、499円と比較してたった26円の差のために、
- 0円〜500円未満
- 500円以上〜1000円未満
の二つの価格帯の境界をまたいでしまっているからだ。上位桁の重要性についてはメラのダメージはなぜ10なのか?を参照してもらうとして、同じ桁の中で一番重要なのは“四捨五入”および中間点に注目する習慣から出てくる4と5境目である。これは明らかに値下げして下の価格帯に移った方がよい。
では具体的にどこまで下げるかだが、上のニュースにあるようにニコ動のユーザーには中高生が多い。そしてリア中高生を有料会員にするのはとても難しいと思う。本人が入りたくてもこの年代では親の許可が必要だからだ。
はっきり言って中高生の子供にニコ動のプレミアムに加入させてやる親というのは感心しないが(笑)それでもあえて中高生の加入も欲しければ、子供が「月に“マンガ本一冊以下”だからいーじゃん」と言える価格設定が必要であると思われる。ニコ動好きな層の中学生の金銭単位というのは「マンガ本何冊分」で計られるものだから。
たとえばジャンプコミックスなどを見ると値段は大体410円?420円ぐらいだ。したがってプレミアム会員の価格は420円、できればどのマンガ本より低い390円ぐらいにすることで中高生への訴求力をかなり高めることができると思われる。
420円なら8割・390円なら7割5分への値下げになるものの、これによるプレミアム加入者増加はそれを補って余りある……と思う。もちろん責任は持てないが。あとついでにもうひとつ再提案ランキング元に戻してくださいお願いします。
おまけ
心理学→読心→さとりかっこいいよさとり。星をみるひとのタイトル画面を思い出す。
コメント
>『ライト、ついてますか』
ほぼ間違いなくそれですね。ありがとうございます。
>ランク制
というのがどんなものかよくわかりませんが、もっとプランを増やすというのはありかもしれません。
課金会員にランク制を取り入れるのはおもしろいかもね
運営嫌いの人でもニコニコは潰したくない!と寄付みたいな感じで入る人も出てきそうだし
「ライトついてますか?」であってます。
ワインバーグの「ライトついてますか?」の中の話だった気がします
>エレベータホールの鏡の話
そうですね。ハナから選択肢にも入らない人はさすがにどうしようもないというか
それは単なる定義というか。実際そういう人が多いだろうと思われるのが
困りどころですが。それでも選択の余地がある客を動かしていくしかない。
広告モデルはどうやっても限度がある。
ネタはネタとして自分の選択肢としてはハナから無視、実際に入らないし迷いもしない…とかじゃないかな?
無料会員は525円を贅沢品に使いたくないんじゃなくて、実際にケチってるんだと思われ。
525円に比べればはるかに贅沢品、ていうものに対してだって、(必要なら)みんな金払ってるんだし。