科学技術哲学 長沢和也 編著『フィールドの寄生虫学―水族寄生虫学の最前線』 寄生虫ほど人の心を捉える生物もそうはないだろう。ただしマイナスの方向にだが。口絵からして気色悪さ全開だが、『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ』でも感じた現代博物学の面白さもあるので、こういう生物系が耐えられる人なら一読してみてもよいのでは。 しかし、これで思い出したが『パラサイト・レックス』は一度きっちりおすすめしておく必要がありそうだ。寄生虫のみならず寄生という概念そのものに生じた――今... 2009.3.12 科学技術哲学
政治経済社会 ポール・ポースト『戦争の経済学』 一つ前の『テロの経済学』にも通じる内容だがこちらも結構面白い。要点からさらに抜粋してメモしておく。 第1章 戦争経済の理論 マクロ経済学的な要点 戦争は2種類の影響をもたらす:心理的影響と現実的影響。 軍事支出によって総需要を増やすと、経済を不況ギャップから引っ張り出せるけれど、そうした支出はインフレの原因にもなる。 ミクロ経済学的な要点 生産要素(特に資本と労働)がどれだけ動員されるかは、戦争の... 2009.3.10 政治経済社会
政治経済社会 アラン・B・クルーガー『テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか』 “自爆テロは路上犯罪より投票行動に似ている。” 原題は"What Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出すのか』)だが、著者自ら「"What Doesn't Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出さないのか』)にすべきだったのではないか」と書評されたことを興味深いと言っており、私もそちらの方が適切のように感じる。 テロリストは十分教育を受けており、... 2009.3.9 政治経済社会
映画・ザ・ムービー 他人の不幸はなんとやら『チェンジリング』オススメ度 9/10 『チェンジリング』 大ヒット上映中!(公式) 先日会社の飲み会で薦められたので見てきた。なかなか素晴らしかった。 それまでポスターの印象と「五ヶ月前に失踪した息子が帰ってきたら別人だった」みたいな煽り文句から、完全にB級SFホラーだと思いこんでいたのは内緒である。*1 1920代のロサンゼルスでアンジェリーナ・ジョリーが泣いて泣いて泣きまくる……と書くと冗談みたいだが、ほぼ全て実話に基づくリ... 2009.3.8 映画・ザ・ムービー
科学技術哲学 ニック・レーン『ミトコンドリアが進化を決めた』 『生と死の自然史―進化を統べる酸素』の続編に当たる本。 真核生物とミトコンドリアの進化的起源 老化とフリーラジカルとミトコンドリアとの関わり 内温性(温血)生物のスケーリング則 など。前著からわずかの期間にも次々と知見がアップデートされている感があってとてもエキサイティングだ。老化に関しては統一的に予防や治療ができるようになる可能性が十分あるのは確からしい。現在のところは、 頭や体をよく使うよう... 2009.3.7 科学技術哲学
ゲーム森羅万象 タクティクスオウガがバーチャルコンソールに SFC史上に残る超傑作SRPG『タクティクスオウガ』が2月10日からWiiのバーチャルコンソールで配信されているらしい。 SFCが現役の人はあまりいないだろうし、PSやセガサターン版にはロード時間などでやや問題があるので、この機会に是非プレイしていただきたい。 攻略本はあった方が面白いゲームだと思う。何種類かあるがファミ通のものが圧倒的によい。中でもサターン版は二冊分の内容が一冊にまとまってい... 2009.2.27 ゲーム森羅万象