政治経済社会

スディール・ヴェンカテッシュ『ヤバい社会学 一日だけのギャング・リーダー』

『ヤバい経済学』の一部の元ネタになったギャング研究の回顧録みたいなもの。『ヤバい経済学』とは全然趣が違うので同じようなものを期待するべきではない。 内容そのものも興味深く、いろんな読み方ができる作品だが、すでに方々で書かれているので他に譲る。 私が惹かれるのは、shorebirdさんが言及しているどこかで終わってしまうことがわかっている物語が醸し出す不思議な雰囲気(書評 「ヤバい社会学」 - sh...
科学技術哲学

空飛ぶスパゲッティモンスター

うろおぼえだが、昔読んだユダヤジョークの本に、確かこういう話があった。(強制収容所にて)看守「ドイツ*1をダメにしやがったのは誰だ!」囚人「はい! ケーキ屋とユダヤ人です!」看守「……なんでケーキ屋なんだ?」囚人「……なんでユダヤ人なんです?」 世の中にはしばしば、何かがないことの証明が不可能だということ*2に依拠する一見もっともらしい主張があって、倫理的にもろくでもないことが多い。 ほとんどの宗...
科学技術哲学

テンプル・グランディン『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』

「動物福祉」にたずさわる「自閉症」の「女性」の「共著」。……何このスピリチュアルアンテナにビンビンくるキーワードの羅列!「おお、彼女こそ動物たちと魂の触れ合いができる天使のようなピュアな心の持ち主! 環境ホルモンまみれのマクドとかむさぼり喰ってる愚民ども今すぐ有機野菜買わないと地獄に堕ちるぞ!」 みたいな内容だったらどうしようと警戒しながら読み始めたので、意外にも大変まともな内容でものすごく得した...
日常の一コマ

ひさびさに体調を崩した

5/11〜5/14にかけて胃腸にくる風邪を引いて寝込んでいた。 その前週の5/7(金)ぐらいから今ひとつな体調で、8日に健康診断に行ってバリウムと下剤を飲んだ。当然お腹は下り気味だったのだが、それが治らない。 下剤が合わなかったのかと思ったが、火曜日から熱も出てきた。どうやら元から胃腸の風邪になりかけだったところに下剤も飲んだので、両方の要因が合わさってしまったらしい。 5/14ぐらいにようやく食...
WEB情報通信

iPadを予約した

iPad - Apple Store (Japan) 会社に届いたiPadの実物を見た。 思ったよりも軽くて速いので、覚悟を決めて自分用の32GB・Wi-Fi版を公式で予約してしまった。 容量は16GBでもよかったかもしれないが、書籍電子化で大量の本とコミックがあるので、多少多めにしておこうかと。 仕事用・趣味用・漫画にそれぞれ10GBも使えるならまず足りなくなるということはあるまい。これで本格的...
政治経済社会

グレゴリー・クラーク『10万年の世界経済史 』

10万年の世界経済史 - 情報の海の漂流者 で知って、面白そうだと思って借りてきた。なかなか面白かった。以下は私の超要約。1800年ぐらいまでの地球の標準的な人類は、1人あたりで見ると、狩猟採集生活をしていた新石器時代と比べて、有意に豊かになっていたとは言えない。ずっと生存スレスレだった。その理由は、技術の緩やかな進歩などによる資源増加は人口の増加で、気候変動や疫病による不作などによる資源減少は人...
科学技術哲学

クリストファー・レーン『乱造される心の病』

私はADHDなどの新しい精神疾患の概念には懐疑的である(参考)が、ちょうどそれに関する話題のようだったので読んだ。 ますます疑念が強まる結果になった。読んでいて楽しい本ではないが、下の目次や抜粋を見て興味を持った人にはおすすめする。目次第1章 心の問題か?脳の問題か?――不安をめぐる一〇〇年の闘い第2章 感情が病状にされる――診断をめぐる闘争第3章 内気は病気になった!――精神医療産業の決定的勝利...
科学技術哲学

カール・ジンマー『大腸菌〜進化のカギを握るミクロな生命体』

カール・ジンマーの本。彼の本はどれも最高に面白いが、今回も期待を裏切らぬ出来。 E.Coliすなわち大腸菌を案内役に、生命科学の基本・その歴史・社会的意義に至るまで幅広く扱っており、かつどの部分を取ってもレベルが高い。非常におすすめ。 一般向け科学啓蒙書として唯一の欠点と思われるのは写真の少なさだろうか。口絵に何枚かだけでもいいので、大腸菌の電子顕微鏡写真とか、鞭毛を動かす分子モーターのCGとか載...