科学技術哲学 東浩紀発言とポストモダン・プレモダンあと還元主義の罠 1.専門家団および公共性の軽侮 ある人が家に入ってくる。机の上の財布をポケットに入れ家を出て行く。この行為は正当か? この問いには、イエスと答えるのもノーと答えるのも馬鹿げている。その家がその人の家であるか、そうでないかによる。前者ならその人は財布を忘れた人であり、後者ならその人は空き巣だ。その前提を知らないままでは正当も不当もありえない。何の話かといえば、 東浩紀の渦状言論: 歴史認識問題に... 2008.12.6 科学技術哲学
科学技術哲学 科学を信仰してるだけです 科学を信仰してるだけじゃん みたいな言い回しが後を絶たないな。 この言い回しそのものがおかしいという事を小学生にも分かるように書きたいのだが、 全然うまい事思いつかねー。 こういうのをうまく説明できる頭の良い人がうらやましいな。 でもあきらめずにもうちょっと考えてみよう。 (科学を信仰してるだけじゃん) 思いつかなくても仕方ない、というか思いついたらすごいよ。それは近代以降の科学哲学の基本だから... 2008.12.4 科学技術哲学
科学技術哲学 ジョナサン・マークス『98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学』 『人間の測りまちがい』の最新分野版とでも言うべき本。チンパンジーのDNAは人間と98%同じなのだから云々、というような主張は一度ぐらい聞いたことがあると思うが、いったいそれはどういう意味なのか? 現代科学ではDNAのわずかな違いが生物にどういう影響をもたらしているかということは、まだまだ研究が始まったばかり。この98%というのは単に、ある塩基配列をそのまま比較しただけの数字にすぎない。 高校で... 2008.4.9 科学技術哲学
科学技術哲学 金庫破りをしないファインマンはありうるか? 天才と○チガイは紙一重のテーマをもうちょっと追及する。 紙一重であることは認めるとして、紙一重である必要はあるんだろうか? つまり、金庫破りで上司を困らせないリチャード・ファインマン、今日にもソ連を核攻撃しろと言わないジョン・フォン・ノイマン、人なつこいクルト・ゲーデル、女性にモテモテ王国のアイザック・ニュートンは存在しうるんだろうか? ある意味ではこの質問に対する答えは明白だ。実際に人格的に... 2007.10.21 科学技術哲学
科学技術哲学 レオナルド・サスキンド『宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す』 『エレガントな宇宙』以来の超弦理論本。なかなかよかった。おすすめ。 生命はごく最近まで歴史上常に、あり得ない驚異であり究極の神秘と思われてきた。科学の進歩とともに今日では生命もその誕生も特に不思議とは思われなくなってしまったが、それでも驚異はステージを一つ繰り上がって保存されている。 「では、なぜそもそも宇宙の物理法則が生命という化学的特性をそれほど不思議ではなくするようなものになっているのか... 2007.9.20 科学技術哲学
科学技術哲学 スティーブン・ジェイ・グールドのエッセイ中で一番好きな部分 紙を整理していたら昔メモったものが出てきた。 収録の本がどれだったか思い出せないがジョー・ディマジオの連続安打の話の最後の部分であるのはほぼ間違いない。 何かで言及する機会がありそうだからここに書き写しておこう。 ある生物種の歴史や、混沌とした世界で途切れずに続いてゆくことが必要なあらゆる自然の現象は安打の連続記録のように進んでいる。全ては限られた賭金で無限の資産を持つ親に立ち向かうギャンブ... 2007.9.18 科学技術哲学
星新一の夢世界 信仰と懐疑の本質を描く 星新一『殉教』 死後の世界と交信できるテレビが発明された。 すでに亡くなった親類縁者・友人達が言うには、死後の世界は無条件にあらゆる苦悩から解放される楽園であるらしい。 それを信じて自殺した人もすぐにテレビの向こう側に現れ「こんなことならもっと早く死ねばよかった。君らも早く来い」「死刑など即刻廃止し少しでも長生きさせる刑に改正すべきだ」などと口々に語り始める。 かくて大半の人間が自殺をとげ、廃墟となった町で... 2007.3.8 星新一の夢世界
政治経済社会 アービンジャー・インスティチュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』 知りもしないのにいつの間にかアマゾンアソシエイトの売り上げの中に入っていたこの本。この手の自己啓発本はまったく読まないのだが買ってみた。 ちょっとは期待したのだがやっぱりあまり面白くなかった。「悪いことは自分のせい、良いことは人のおかげ」という要点をいろんなたとえ話で繰り返しているだけ。 元はアメリカで売れた本らしいが、まあ欧米では斬新に感じるのはわからなくはない。しかし日本ではそんなの啓発さ... 2007.1.26 政治経済社会