哲学

政治経済社会

アービンジャー・インスティチュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

知りもしないのにいつの間にかアマゾンアソシエイトの売り上げの中に入っていたこの本。この手の自己啓発本はまったく読まないのだが買ってみた。 ちょっとは期待したのだがやっぱりあまり面白くなかった。「悪いことは自分のせい、良いことは人のおかげ」という要点をいろんなたとえ話で繰り返しているだけ。 元はアメリカで売れた本らしいが、まあ欧米では斬新に感じるのはわからなくはない。しかし日本ではそんなの啓発される...
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『順列都市』

『スターメイカー』の感想を書いたときに「今現在残されている神秘と最先端のSFは何だろう?」という問いかけをした。 あの時は単なる締めの言葉として深く考えずに適当に書いたのだが、自分で気になってきてしまったので調べたところ最先端のSFの候補の1つであるらしい。読んでみたら確かに面白い。一級品。 セルオートマトンに関する知識があった方がより楽しめそうなので、『ライフゲイムの宇宙』を先に読んでおくといい...
科学技術哲学

水伝問題で非難されるべきは著者ではなく学校教師

前回の続き。水伝はトンデモだということはわかったとしよう。なぜ科学にそんな風に誰かの飯の種を切って捨てる権利があるのだろう。 何が正しくて何が間違っているか判断する方法は色々ある。(あるいはあった。)昔も今も人気がある方法に、真理は聖なる本に書かれている というものがある。優れた哲学者の魂が考えて考えて考えぬけば真理に到達できる とする方法も昔はあった。だが結局はみんなで検証を何度も繰り返せば長い...
科学技術哲学

「水からの伝言」はトンデモの一言で切って捨ててよい

オープニングクイズ。以下の主張は正しいか? ○か×のみで答えなさい。どちらでもない・どちらでもある・場合による等の答えはなし。誰かの真剣な主張を「とんでもないから」といって真面目に受け取らないのは科学的な態度とは言えない科学的な社会では少数派の意見に基づいて行動するからといって弾圧されたり処罰されることはない人格的な神や死後の世界の存在は科学的な観点からすると否定されると言わざるをえない 水からの...
科学技術哲学

電光掲示板は「いつ」動いているのか?

「自分に見えているこの世は全て自分の脳が作り出した幻なのではないか?」というのは、わりとポピュラーな疑問なのではないか。「そんなこと考えたこともない」という素直な人でも比較的簡単に引き込むことができるお気に入りの例を紹介しよう。 最初に言っておくが、リアルで同じ話を何人かに振ってみた経験によると、人によってはかなりショックを受ける。もちろん全然平気な人も多いが。 この先を読むなら覚悟を決めて下さい...
科学技術哲学

自殺せずに生き残っているのはアホばかり?

私は子供のころ「世の中の立派な人・頭のいい人・勇気のある人はとっくの昔にみんな自殺してしまっていて、この世に生き残っているのはみんな意地汚くて頭の悪い意気地無しばかりなのではないか」と半ば本気で考えていたことがある。 なぜって? そうとしか考えられないではないか。鳥や魚や獣はいかなる理由があっても自殺しない。するのは人間だけである。あらゆる生物の中で人間だけが持つ高度な知能・精神などが、その原因で...