小説

文化芸術宗教

田中芳樹『銀河英雄伝説』

銀河英雄伝説 ON THE WEB銀河英雄伝説 - Wikipedia ここで言及したので、記憶に上ってきた。 多分一番有名な架空歴史ラノベ。ヤン・ウェンリーってユルいヒーローの先駆けなんじゃないだろうか。 ちゃんと読み直したわけじゃないが、今考えるといろんな意味で「911もオウムもソ連崩壊も起きてないときの小説だなあ」と思う。 「話の展開に詰まったらとりあえず原理主義的宗教のテロで誰か殺しとけ」...
星新一の夢世界

星新一『趣味』

iPhoneを買って新聞をやめてしまった件で思い出した。 愛する夫のイメージに合わせて家具をいろいろあつらえていたインテリアコーディネートが趣味の妻。ある日、非常に高価な絵を贈られるが家の雰囲気に合わなくて困る。 捨てるわけにもいかないので、しかたなく絵に合わせて額縁を変え、壁紙を変え、家具を入れ替えていく。そしてある日、弁護士に電話して「どうしても夫を取り替えなければならないの!」 ……という話...
文化芸術宗教

鎌池和馬『とある魔術の禁書目録(インデックス)』

ラノベはロードス島戦記と銀英伝ぐらいしか知らない超弱点分野なので、いつか鍛えなければならないと思っていた。 ニコ動のMADが面白かったので、それの原作を読んだ。面白くなると言われている5巻までまとめて読んだ。とりあえず上条さんマジぱねぇっすタグは把握した。 比較対象となる基準点が形成されていないので評価は難しいが、途中でやめずに読めたのだから、なかなか面白いのではないかと思う。これがラノベというも...
文化芸術宗教

そうだ私はダンブルドアの野望の王国が見たかったのだ

必要最低限にしか政治的に正しくないおとぎ話『ハリー・ポッターシリーズ』 神は細部に宿り給う の続きみたいなもの。なんかリアル『野望の王国』な会話が聞こえた気がする 神は細部に宿り給う を書くために『野望の王国』を読んでいたら、ヴォルデモート卿にまったく食指が動かなかった理由がわかった。 私がハリポタシリーズで一番好きなキャラは、断然アルバス・ダンブルドア*1なのだが、途中まで完全無欠の人格者のよう...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2009年10月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『軍事とロジスティクス』★★★ 江畑謙介著。あまり知らない分野なので面白かった。軍事とロジスティクス : 書評 : 本よみうり堂 : YOMI...
文化芸術宗教

必要最低限にしか政治的に正しくないおとぎ話『ハリー・ポッターシリーズ』

固有名詞のセンスが半端じゃない時点で結構面白いだろうということは確信していたのだが、最近ようやく最終巻まで図書館で借りられるようになってきたので、全部読んだ。 どこかで誰かが「魔法界はアムネスティの調査で100位以下になりそうだ」とか書いているのを見て笑ったおぼえがあるが、確かにそんな感じ。大臣の独断で容疑者を処刑したりしちゃうし。 機会均等の原則はしっかり守ってホグワーツの創設者も2/4は女性。...
文化芸術宗教

山本弘『アイの物語』

山本弘つながりで読む。これは確かにすごく面白い。『神は沈黙せず』の時のような引っかかりもないし、迷わずおすすめできる。404 Blog Not Found:感無量 - 書評 - アイの物語 弾さんみたいにベストフィクションとまでは言えないけれども、同じポジティブなAIネタを扱っても、宗教的伝統から来るフランケンシュタイン・コンプレックスからいまだ完全に自由でない(ように思われる)世界の最先端SF作...
文化芸術宗教

テッド・チャン『あなたの人生の物語』

グレッグ・イーガンと並び称されているテッド・チャンの短編集。個人的にはイーガンの方が好きだが、かなり面白かった。 イーガン作品に通底するテーマが「自己同一性とは何か?」だとすれば、チャン作品に通底するテーマは「絶対的に隔絶した存在といかに向き合うか?」*1というものだ。 その隔絶した存在は、作品によって、神だったり・異星人だったり・未来だったり・超人類だったり・数学だったりするけども。『バビロンの...