小説

おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年6月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』★★★  オリヴァー・サックス著。『動物感覚』でこれだけ読み落としていたことに気づいた。『...
おすすめ書評まとめ

貴志祐介小特集

『新世界より』がめちゃくちゃ面白かったので、作者つながりで読んでいた、貴志祐介特集。比肩するほどのものはなかったけど、まったくの外れもない。 『天使の囀り』★★★  これだけは寄生虫つながりで前から読んでいた。結構好き。ついでに『パラサイト・レックス』は寄生虫関係では随一の超おすすめ本だから、ぜひ読んでおいてほしい。 『青の炎』★★  読んだことがあるのは『天使の囀り』だけかと思っていたが、昔ひぐ...
おすすめ書評まとめ

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア小特集

『動物感覚』でラセンウジバエ*1という単語が出てきたので、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアのことを思い出した。  わりと好きなSF作家で、やたらかっこいいタイトルをつける。思い出しついでに、印象が残っているものだけ厳選して紹介する。 『星ぼしの荒野から』★★★★  なんと言っても白眉は『ラセンウジバエ解決法』。この一本だけでも読んでおく価値はあると思う。映像化されているらしいが、それは見ていない...
文化芸術宗教

貴志祐介『新世界より』

21世紀初頭に超能力の存在が確認されてから1000年後、人類は機械文明を捨て独自の精神文明の世界を築いていた……。  と書くと、なんともそそらない陳腐極まる設定に見えるのだが、実際に読み始めると1ページ目から引き込まれる。随分ひさびさに小説で時間を忘れるぐらい面白かった。  SFでもファンタジーでもありホラーでもあり、冒険活劇でもありジュブナイル小説でもある。1つ1つのネタは陳腐に見えても全体の完...
文化芸術宗教

グレッグ・イーガン『順列都市』から2点抜粋

グレッグ・イーガン『順列都市』から、後々話に使いたいと思っているところ2点を、最低限の説明をつけて抜粋。 《なにも変えない神の教会》  マリアは話しつづける。「『神はなんの違いももたらさない……なぜなら、神こそは万物がいまある姿をとっている理由だからだ』、ですっけ? だから、あたしたちはみんな、宇宙を心静かにうけいれられるってわけね?」  フランチェスカは首を横にふった。「心静かに? いいや。そう...
文化芸術宗教

伊藤計劃『ハーモニー』

いつぞやの表現規制の件周辺で何度かタイトルを小耳に挟んだので読んだ。 『すばらしき新世界』 『1984年』 『エヴァ』 百合(公認)  って感じか。表現規制の件で引かれた文脈はまあわかった。  でも『すばらしき新世界』『1984年』の部分はそのまんま。『エヴァ』の部分は、読んだ人はわかると思うが、「老人」って言葉の使い方とか、結局人類補完計画*1かよとか。  元ネタに対するプラスアルファの部分が百...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年1月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『キサラギ』★★★ キサラギ レビュー - レブログ!  D.IKUSHIMAさん経由。確かになかなか面白い脚本だ。映画も機会があったら見...
文化芸術宗教

田中芳樹『銀河英雄伝説』

銀河英雄伝説 ON THE WEB 銀河英雄伝説 - Wikipedia  ここで言及したので、記憶に上ってきた。  多分一番有名な架空歴史ラノベ。ヤン・ウェンリーってユルいヒーローの先駆けなんじゃないだろうか。  ちゃんと読み直したわけじゃないが、今考えるといろんな意味で「911もオウムもソ連崩壊も起きてないときの小説だなあ」と思う。  「話の展開に詰まったらとりあえず原理主義的宗教のテロで誰か...