科学技術哲学 カール・ジンマー『大腸菌〜進化のカギを握るミクロな生命体』 カール・ジンマーの本。彼の本はどれも最高に面白いが、今回も期待を裏切らぬ出来。 E.Coliすなわち大腸菌を案内役に、生命科学の基本・その歴史・社会的意義に至るまで幅広く扱っており、かつどの部分を取ってもレベルが高い。非常におすすめ。 一般向け科学啓蒙書として唯一の欠点と思われるのは写真の少なさだろうか。口絵に何枚かだけでもいいので、大腸菌の電子顕微鏡写真とか、鞭毛を動かす分子モーターのCGとか載... 2010.5.2 科学技術哲学
おすすめ書評まとめ 書評在庫一掃セール2010年4月版 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『南極1号伝説―ダッチワイフの戦後史』★★ 高月靖著。雑学として普通に面白い。「エロと戦争は文明発展の原動力」的な言い方はよくされるが本当だわ... 2010.4.30 おすすめ書評まとめ
科学技術哲学 サイモン・シン『代替医療のトリック』 うちではお馴染みのサイモン・シン4作目。テーマはもちろん代替医療。第1章 いかにして真実を突き止めるか第2章 鍼の真実第3章 ホメオパシーの真実第4章 カイロプラクティックの真実第5章 ハーブ療法の真実第6章 真実は重要か? 原題"Trick or Treatment"は、直訳すれば『詐術か治療か?』だが、ハロウィンの「トリック・オア・トリート(Trick or treat. お菓子をくれなきゃ、... 2010.4.25 科学技術哲学
科学技術哲学 ロバート・N・プロクター『健康帝国ナチス』 藤原辰史『ナチス・ドイツの有機農業―「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』ボリア・サックス 『ナチスと動物―ペット・スケープゴート・ホロコースト』 と合わせて“いまここにいるナチス”三部作と私が勝手に命名しておすすめしている本の中の一冊。全体の趣旨がよくわかるように序文から抜粋。 本書はファシズムについての本である。と同時に、科学についての本でもある。おそらく我々はどちらに関してもかなりの知識が... 2010.4.6 科学技術哲学
科学技術哲学 鹿野司『サはサイエンスのサ』 サはサイエンスのサ:ハヤカワ・オンライン(目次)サはサイエンスのサ くねくね科学探検日記(公式) 巡回先にも入っている『くねくね科学探検日記』の鹿野司によるサイエンスエッセイ集。 語り口は実にくだけた感じで、ネットスラングやマンガネタも入るし、イラストもとり・みきで軽妙な感じだけど、内容そのものは極めて正統派。上のリンクから目次を見てもらえば雰囲気は掴めるだろう。 話題の幅が広いわりに奥も浅くなく... 2010.3.27 科学技術哲学
科学技術哲学 レオナルド・サスキンド『ブラックホール戦争 スティーヴン・ホーキングとの20年越しの闘い』 スーパーロボット大戦とか宇宙戦艦ヤマトとか、そっち方面を連想しそうなタイトルだが、真面目な話。著者は『宇宙のランドスケープ』と同じレオナルド・サスキンド。 これらの単位(プランクの長さ、時間、質量)には驚くべき意味がある。それらは、存在可能ないちばん小さいブラックホールのサイズ、半減期、質量なのだ。 という記述を読んで何か反応する人には是非おすすめ。スティーヴン・ホーキングとの論争の意味だけでなく... 2010.3.24 科学技術哲学
政治経済社会 トニー・ブザン『ザ・マインドマップ』 なんだか有名なので一応目ぐらい通しておくかと図書館で借りてきた。 本そのものはオススメしない。初っ端から脳が脳がと典型的なビジネス本的ノリ全開で、そういうもんだとわかってはいても好意的にはなれない。 「マインドマップは登録商標です」と高らかにうたっているので、望みどおり使ってやらん。こんなもん普通に「図」とか「絵」と呼べばいいのだ。 要するに、この本の主張は一行でまとめられる。もっと紙に色つきの図... 2010.3.20 政治経済社会
文化芸術宗教 田中克彦『エスペラント―異端の言語』 将来書こうと思っている「ひらがな すいしょう」問題*1の下地作りのため適当に選んで読んだだけ。 ……なのだが、正直むかつく。文章を読んでここまで腹が立ったのは何年ぶりか。一言は表出しておかないと収まらぬ。『エスペラント―異端の言語』読了 - じゃがの日記 いまググった中では、一番近い感想はこれ。*1:「ひらがな すいしょう」問題自体に入るには、まだいくつかの前置きが必須なので、現時点では何も言わな... 2010.3.14 文化芸術宗教