おすすめ書評まとめ ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア小特集 『動物感覚』でラセンウジバエ*1という単語が出てきたので、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアのことを思い出した。 わりと好きなSF作家で、やたらかっこいいタイトルをつける。思い出しついでに、印象が残っているものだけ厳選して紹介する。『星ぼしの荒野から』★★★★ なんと言っても白眉は『ラセンウジバエ解決法』。この一本だけでも読んでおく価値はあると思う。映像化されているらしいが、それは見ていない。映像... 2010.6.15 おすすめ書評まとめ文化芸術宗教
文化芸術宗教 貴志祐介『新世界より』 21世紀初頭に超能力の存在が確認されてから1000年後、人類は機械文明を捨て独自の精神文明の世界を築いていた……。 と書くと、なんともそそらない陳腐極まる設定に見えるのだが、実際に読み始めると1ページ目から引き込まれる。随分ひさびさに小説で時間を忘れるぐらい面白かった。 SFでもファンタジーでもありホラーでもあり、冒険活劇でもありジュブナイル小説でもある。1つ1つのネタは陳腐に見えても全体の完成度... 2010.6.3 文化芸術宗教
おすすめ書評まとめ 書評在庫一掃セール2010年5月版 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ』★ ブルース・シューム著。ゲージ理論とか真面目に解説している一般書って貴重なのではないかと。エ... 2010.5.30 おすすめ書評まとめ
科学技術哲学 ダニエル・C・デネット『スウィート・ドリームズ』 目下バカ検知ワードとして大活躍中の「クオリア」についての議論。分子やエネルギーについて何もわからなかった頃の「フロギストン」や「カロリック」DNAや酵素について何もわからなかった頃の「生気」素粒子や時空について何もわからなかった頃の「エーテル」 などと同様に、まだ神経や脳について詳細がわからない時代であるが故に抱くことが可能であるだけのどうでもいい概念だというのが著者の立場。 内容そのものは特に珍... 2010.5.29 科学技術哲学
政治経済社会 山形浩生『要するに』 山形浩生のエッセイ集。話題自体はやや古くなりかけているが、内容は別に古びてはいない。 今回「おっ?」と思ったのはここ。 さて、たぶん実際の世の中の制度設計というのも、このゲームの「おもしろさ」を考えるのと同じことだろう。ゲームも、まったくの自由放任では成立しない。なんらかの制度(つまりルール)があって初めて成立する。でもがちがちに規制しまくっては、ゲームが硬直する。(中略)万人による、さまざまなゲ... 2010.5.27 政治経済社会
科学技術哲学 マーティン・ガードナー『自然界における左と右』 数学者 マーチン・ガードナー氏逝去 - スラッシュドット・ジャパン マーティン・ガードナーの訃報を見たので、ついでに一番記憶に残っている本を紹介。 よくある「鏡はなぜ左右だけ反転させるのか?」的な話から始まってパリティ対称性の破れなどまでカバーしてくれる、この話の決定版的存在。おまけ 左右に腰振るだけなんてゲッダンよりつまらんと思ったら意外な収穫。【ニコニコ動画】おちゃめ機能 歌った 2010.5.26 科学技術哲学
政治経済社会 スディール・ヴェンカテッシュ『ヤバい社会学 一日だけのギャング・リーダー』 『ヤバい経済学』の一部の元ネタになったギャング研究の回顧録みたいなもの。『ヤバい経済学』とは全然趣が違うので同じようなものを期待するべきではない。 内容そのものも興味深く、いろんな読み方ができる作品だが、すでに方々で書かれているので他に譲る。 私が惹かれるのは、shorebirdさんが言及しているどこかで終わってしまうことがわかっている物語が醸し出す不思議な雰囲気(書評 「ヤバい社会学」 - sh... 2010.5.22 政治経済社会
科学技術哲学 テンプル・グランディン『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』 「動物福祉」にたずさわる「自閉症」の「女性」の「共著」。……何このスピリチュアルアンテナにビンビンくるキーワードの羅列!「おお、彼女こそ動物たちと魂の触れ合いができる天使のようなピュアな心の持ち主! 環境ホルモンまみれのマクドとかむさぼり喰ってる愚民ども今すぐ有機野菜買わないと地獄に堕ちるぞ!」 みたいな内容だったらどうしようと警戒しながら読み始めたので、意外にも大変まともな内容でものすごく得した... 2010.5.18 科学技術哲学